ついにクヌートが動いた。エドモンドに命ぜられて反撃したエアドリックだったが、クヌート直属部隊の攻撃に動揺したのだろう。裏切りチットが初めて引かれた。
このシナリオではゲーム開始時、ヴァイキング側が裏切りチットを、アングロサクソン軍が忠誠チットを、何個選んだか相手にわからないようにして同じカップにいれる。アングロサクソン軍ターンの終了時にランダムに一つ引き、裏切りチットが2回引かれた時点でエアドリックの裏切りが生じるため、裏切りチットが多いほうがエアドリックが早く消える可能性が高くなるし、逆に忠誠チットが多いとなかなか裏切らない。その一方で、多くのチットを入れれば入れるほど相手プレイヤーの勝利得点になるので、単に多く入れればいいわけではない。
なお忠誠チット、裏切りチットというのは便宜的に訳しただけで、実際は忠誠チットは射撃の際に使うsuppression markerを流用し、忠誠チットはraven markerという特殊なマーカーを使う。
ravenはワタリカラスで、ヴァイキングにとってカラスは特別な鳥。北欧神話の主神オーディンには2羽のカラスが付き添っていて世界中の情報をもたらす。それにヴァイキングは航海にカラスを連れていき、陸地がどこにあるかわからなくなるとカラスを放したらしい。カラスは本能的に陸地に向かって飛んでいくので、そうやって陸地の方向を知ったそうだ。
このようにカラスは知恵の象徴みたいなものだったようで、このゲームで敵を裏切らせるのがraven markerなのもなんか納得。なお、raven makerはAssandun 1016が収録されている「The Great Heathen Army」の他のシナリオでもいろんなイベントを引き起こすチットとして使われている。
そういえば映画「The Northman」でもカラスがいい仕事をしていましたね。ヴィンランド・サガのシーズン1のオープニング曲でも歌詞にカラスが入っているし。というかそもそも曲名が「Dark Crow」か。
裏切りチットが引かれたのを見て、「敵は動揺しているぞ、たたみこめ!」とクヌートが一斉攻撃の命を下す。エアドリックの古参兵2ユニットが壊滅。エアドリックも必死に反撃し敵を道連れにしていった。
損害を受けてもクヌートは攻撃の手を緩めず、エアドリック隊の戦列に穴をあける。だが斜面上への攻撃のため戦闘後前進ができない。ヴァイキングたちが丘の上になだれ込んでくる前にエアドリックは後方のユニットを投入して斜面の防衛ラインを維持しようとしたのだが、ここでヴァイキング・プレイヤーが待ったをかけた。これまで温存していたイニシアティブ・マーカーを使用。連続してヴァイキングのターンとなった。
「Shields & Swords II」シリーズでは、イニシアティブ・マーカーを持っているプレイヤーは自軍ターン終了時に使用することで、もう一度自軍ターンを行うことができる。いわばダブルターンである。容易に想像できるようにタイミングよく使用すると破壊的な効果が生じる。なお、使用するとイニシアティブ・マーカーは相手プレイヤーに渡ってしまうため、今度は相手からダブルターンをくらう可能性がある。このマーカーをどう使うかでプレイヤーの性格というかプレイスタイルが結構あらわれるんじゃないかな。
変節漢エアドリックはこの戦いも及び腰で参加していたのだろう。クヌートの激しい攻撃にエアドリックは怯んでしまい、クヌートはその隙を突く ― という形になったイニシアティブマーカーの使用。敵の士気は低いぞ、このまま雪崩こめ、とばかりに敵戦列の裂け目から兵たちが斜面を駆け上がり、猛攻撃を加える。エアドリックの部隊の被害は甚大になり、残るは徴集兵のみとなった。
つづく
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