クヌートの機を逃さない猛攻で斜面のエアドリックの防衛線は崩壊、エアドリック隊は約半数が壊滅した。苦しくなってきたアングロサクソン軍。こうなったらクヌートはうち捨てておけ。トルケルの首をとるのだ! 剛勇王エドモンドが消耗したトルケルの部隊に襲いかかる。
エドモンドはさらに、先ほど自軍にまわってきたイニシアティブマーカーを使用。ダブルターンでヴァイキングたちに対応する隙を与えずさらなる猛攻を加える。猛将エドモンドの麾下の兵たちが一斉攻撃し、トルケルの部隊は約6割が壊滅した。残るユニットも高地上から追いやられたうえ、すべてステップロスという惨憺たる状態だ。
おし、エアドリックの残存部隊でクヌートの相手をさせておいて、その間にトルケルにとどめを! そう勢い込んだアングロサクソン軍だったが、なんとここで2つ目の裏切りチットが引かれる。痛恨のエアドリック寝返り! エアドリックの残存部隊は我先にと逃げ去り、戦場から消えていった。
「このタイミングで、マジかよ! エアドリック許すまじ!!」
「ふっ。余の計算どおりの展開となったな」(←ヴァイキング・プレイヤーが小野賢章のクヌートっぽく言おうと頑張ってました)
裏切りが生じた時点で、ゲーム開始時に両軍がカップに入れたチットを確認して勝利得点が計算される。それに壊滅させたエドモンド部隊の4ユニットの得点を加えると、ヴァイキングは30点となり勝利条件を満たして勝ちとなった。
こうしてクヌートはイングランド王となり、以後約20年にわたって君臨。イングランドやデンマークのみならずノルウェー、スウェーデンに勢力を拡大して北海帝国を築くのでした。その間、トルフィンは自由の身になってアイスランドに戻ったと思ったらバルト海やらミクラガルドに行ったりするわけですね。キエフを経由してミクラガルドまで行く様子を外伝みたいな感じで描いてくれないかなー。そこにアンナ・コムネナ様も登場したら自分としては言うことありません。
ところでこのゲームのタイトルThe Great Heathen Armyは「大異教徒軍」とも訳されるそうだけど、865年に大挙してイングランドに押し寄せたヴァイキングのこと。ヴァイキングは787年から繰り返しイングランドを襲撃していて、大異教徒軍襲来はその約90年後のことだけど、デーン人が支配下においたイングランド東部はデーンロウと呼ばれるようになります。876年にはアルフレッド大王がエサンドゥンの戦いでデーン人に大勝(ちなみにこの戦いも「The Great Heathen Army」に収録されています。エディントンの戦いとも呼ばれているようですね)したりするけど、基本的にイングランドの東半分はデーン人の支配下のまま。937年にはブルンナンブルフの戦いでイングランド側が決定的な勝利を収めデーン勢力は追っ払われますが、980年にはまたデーン人が来襲するようになり、トルフィンの時代を迎えるわけですね。
デーン人の攻撃にさらされて、エドモンド剛勇王の父エゼルレッドはデーンゲルドと呼ばれる大金を支払ってデーン人から平和を買いますが、エゼルレッドは無策王(the Unready)と呼ばれる無能な王様だったようで、1002年にはイングランドにいるデーン人を皆殺しにしようとします。おいおい、そんな無茶したらいかんだろ。
ヴィンランド・サガ第一巻の終わりにも、「その日は土曜日でヴァイキングたちは土曜日に風呂に入る。彼らのその習慣をイングランド人は知っていた」と、イングランド軍がヴァイキングに襲い掛かる様子が描かれていますね。村に斥候に出て負傷したトルフィンを助けたイングランドの女性も、洗濯しながらエゼルレッドのことを批判したりしてますし。「逃げろって言っただろ?! イングランド語でちゃんと!!」とトルフィンが叫ぶあの女性です。ああ、いかん、また物語に引きずり込まれる…。
なお、「The Great Heathen Army」はWargame VaultでPnP版を買いました。8つのシナリオが入って$12なのでお財布に優しい。ユニットとマップを自作するのも楽しかったりします。ウォーゲーマーの中でヴィンランド・サガ好きの人がどれくらいいるかわかりませんが、歴史書を読むのもいいけどあの漫画を読んでからこのゲームをプレイすると盛り上がること間違いなしじゃないかと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿