2023年8月15日火曜日

青い鳥を孵化させる―『ツイッター創業物語』

  ツイッターって便利ですよね。ウォーゲームについてつぶやいたら海外のデザイナーさんから直接レスポンスが来たりとか、意外なところでつながれるのがうれしい。

 そのツイッターがXになってもう青い鳥のアイコンがなくても違和感を覚えなくなったころに何ですけど、そういやツイッターってどういう経緯で生まれたんだっけなと、昔読んだ『Hatching Twitter』という本をざっと読み返してみました。


 この本、和訳は『ツイッター創業物語』ってタイトルになっていて、そのとおりツイッターの立ち上げ時のルポ。でもね、tweetって小鳥のさえずりのことで、hatchって鳥とかを卵から孵化させるって意味があって、『Hatching Twitter』ってタイトルはほんとうまいなーって思っていたんですよね。和訳のタイトルは何のひねりもないものになっていますが、まあ日本のマーケットを考えると仕方なかったんですかね。和訳読んでいないのにいちゃもんつけるようなこと言ってすみません。

 

 まあそれはさておき、この本、面白いんですよ。単純に読み物としてすらすら読んでいけるような書き方しているんですよね。真面目な分析というよりは、コミカルなドラマを見るような感じで読めました。

 もちろん、ツイッターが全然知られていないころから急激に利用者数が増えててんやわんやする様子とか、スタートアップの本として内容的に興味深いです。個人的に、エスタブリッシュメントの中にいるよりは、この先どうなるかわからないけど新しいことをやってみるほうが面白いぜ、という考えに共感するほうなので。まあ、そのおかげで今までやらなくてもいい苦労をしてしまったぜよ…。それと、昔ドイツ人の知り合いに「僕は不安定さ(Instabilität)を楽しみたいんだ」って言ったら、「そういう時は不安定さじゃなくて自由(Freiheit)って言うのよ」って訂正されて、ちょっと違うんだよな…って思ったことがありました。


 そんなことよりも、この本ではTwitterって名づける前からの立ち上げの様子から、2012年初頭あたりまでが描かれています。一応、表紙にはA True Storyって書いてありますし。元従業員など多くの関係者にトータルで数百時間インタビューしたそうです。青い鳥のアイコンが消えてしまったこの時期に読むのはいいんじゃないかな、と。

 あと、本筋とは全然関係ないけど超絶かわいい女性が出てきて、彼女がほほ笑むと通りを走る車がみんな止まってしまうぐらいだった、みたいなこと書かれていて、どんな人だったのか見てみたいぜって思ってしまいました。


 読んでいて思い出したのが、昔仕事でTwitterのことを記事にしないといけなくて調べていたことときのこと。その当時はまだ日本ではマイナーで、でもアメリカのテレビ番組の司会者が番組最後に「Tweet me」って視聴者に言ったりしていて、あーアメリカでは盛り上がっているんだなって思った記憶が。2009年のイラン大統領選のときもその影響力を目の当たりにしたなあ。

 それと、昔Time誌でSNSの記事があって、主要なSNSを図にしていたけどFacebookがSNSのひいじいちゃんって書かれていて、まじ、もうそんなに世代が進んでんのって驚いたことがあった。すんません、情弱なんで。でもそんな新陳代謝栄枯盛衰が激しい世界で生き残っているツイッターってすごいな、と。イーロン・マスクが変なことをしてしまわないように願っています。


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