「Napoleon 1815」(Shakos)と言ったら小さなウォーゲーム屋さんで日本語版が出ていますが、「Napoleon 1815」のマップに苺が描かれているのはなぜ? というつぶやきがあったので興味をひかれて調べてみました。
昨日、Napoleon 1815を観戦していて気になったのが、マップに描かれた苺🍓
— kimataka (@kimataka1) August 20, 2023
なぜ? 🤔 pic.twitter.com/E90Uthg0Ke
どうやらグルーシーに由来するんじゃないかなと。ブリュッヒャーを探していたグルーシーが、ワーテルローの砲声が聞こえてきたのにゆっくり食後のデザートのイチゴを食べていて戦いに参加できなかったと伝えられているようで、Les fraises de Grouchy(グルーシーのイチゴ)っていう言葉もあるようです。
Wikiにもこのことが書かれていますね。
Emmanuel de Grouchy — Wikipédia (wikipedia.org)
↓ここのイラストでは「元帥! 苺で遊ぶのはおやめください。間に合いません」って言われていますね。
Site en maintenance | historia.fr
(すみません、サイトはメインテナンス中になっていますね)
『グルーシーの苺、もしくはワーテルローにおけるナポレオンの敗北の秘密』なんて本も出ているようです。
日本語の書籍にはこのグルーシーのエピソードが書かれているんでしょうか。ご存じの方、いらっしゃったら教えていただけると嬉しいです。
ちなみに、ベルギー南部ワロン地方は苺がよく採れ、ワーテルローがあった6月は苺が美味しい季節だそうです。Napoleon 1815のマップにはNamurが含まれていますが、その南近郊にはイチゴ博物館があります。
Musée de la Fraise | Fraise Wépion | Namur | Belgique (museedelafraise.com)
グルーシーの故事にちなんで、ワーテルロー戦のゲームをやるときは英軍プレイヤーは相手のためにイチゴを用意してあげるといいのでは。仏軍プレイヤーに「ゆっくり召し上がれ」って言うと盛り上がるかもしれませんね。
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8月23日追記
Twitterでグルーシーについて教えていただきました。
R/Dさんが「グルーシーの2日間」という詳細なブログ記事を書いておられまして、ちょっと詳細すぎるきらいはありますが(^_^;、結論部分の5(の最後)と6は読みやすくてオススメです。こちらも広く知られて欲しいです。https://t.co/SaxPf9tBDGhttps://t.co/u86LRU4ewm
— DSSSM (@DSSSM00) August 21, 2023
この「グルーシーの2日間」は、詳細な分析をもとに、グルーシーを無能と決めつけるのはよくないのでは、とざっくりいうとそんな内容なんですが、ちょっと調べて、こんな記事を見つけました。
「ワーテルロー:グルーシーが敗因だったのか?」っていう記事で、筆者はdirecteur de la Fondation Napoléonなのでナポレオン財団の理事って言えばいいんですかね。ナポレオンの回顧録以来、ワーテルローはグルーシーのせいで負けたと歴史家は考えていたけど、近年はワーテルローの敗因をグルーシーに帰す傾向が弱まっているそうです。
その理由として以下のことを挙げています。
①Lignyの戦いの後、普軍追撃の命令をナポレオンが下すのが遅かった
②ナポレオンはグルーシーを呼び戻すよう明確に指示したことはなかった
③グルーシーがWaterlooに行くにはDyle川を渡る必要があり、10キロ離れたWavreの橋を確保しないといけなかったが、普軍はそこを固く防御していた。なので、(上記「グルーシーの2日間」にもあるように)グルーシーは到底ワーテルローの戦いには間に合わなかっただろう。
そもそもナポレオンはウェリントンのことを舐めていて、ワーテルローの朝、スールトがグルーシーを呼び戻すように進言したところ、却下したそうです。その際、「Ce sera l'affaire d'un déjeuner」と言ったそうですけど、意訳すると「朝飯前だ」ぐらいの感じですかね。
みなさんもワーテルロー戦のゲームで仏軍をプレイするときは皇帝になった気分で「ス・スラ・ラフェル・ダン・デジュネ」って言ってみてください。…、いや、そんなこと言っちゃダメだろ。
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