2025年9月5日金曜日

ギリシア・ペルシア戦争 300: Tierra y Agua (Draco Ideas) AAR part2

   大王の急死で第二次、第三次と立て続けに遠征が中止となったペルシア軍。

「マジかよ、連続して急死ってありえんの?」

とぼやくのだが、実際、このゲームで使用される16枚のカードのうち「大王の急死」は1枚しかない。そのため立て続けに遠征が中止になる可能性は低いんじゃないのか、と思うかもしれないが、このカードを引いたらペルシア軍は持ち札をすべて捨て、それまでの捨て札もすべて山札に戻しシャッフルする。ギリシア軍が例えば4枚の持ち札をキープしている場合、山札は12枚となり、そこからペルシア軍が4,5枚引くと、「大王の急死」に再び出くわす可能性はそんなに低くないんじゃないかな。

 ただ両プレイヤーともカードドリブンどころかカードを使ったゲームには全く慣れておらず、こういった計算は苦手、というかそういう計算をする発想自体を持っていなかったりする。


●第四次遠征

 ペルシア軍は豊富な資金にものを言わせて大軍を徴集。ギリシア軍は要衝テーバイ(Thebai)に鉄壁の守りを敷く。ここはまさにテルモピュライがあった場所のはずで、両軍が雌雄を決するか、と思いきや、ペルシア軍は「土地と水の提供」(Tributo de Tierra y Agua)でデルフォイ(Delphi)を獲得。

「早くかかってこいよ! スパルタ人は決して逃げも降伏もせぬ。それがスパルタの掟だ!!」

「いや、あの映画まだ見てないって言ってじゃん。それにテルモピュライってギリシア軍が全滅するからあんまり縁起よくないんじゃないの?」

とギリシア軍プレイヤーをいなしつつペルシア軍プレイヤーが出したカードは「個別の講和」(Paz Separada)。ペルシアの工作によってスパルタとアテネの同盟が破綻するかも、というカードなのだが、両プレイヤーがサイコロを振りペルシア側が相手より大きい目を出した場合、工作は成功。ギリシア軍プレイヤーは手持ちのカードをすべて明かし、スパルタ系のカードがあればすべて捨てないといけない。

 サイの目はペルシアが上回った。ギリシア軍が手持ちの4枚のカードを見せるが、なんとすべてスパルタ系。

「マジ?! マジでこれ全部捨てないといけないの? 何もできなくなるじゃん!!」

「それがスパルタの掟なんだよ」(←違う)


 スパルタ系のカードは「300のスパルタ兵」(300 Espartanos)や「レオニダス」(Leónidas)やら、名前からして、取っておいていざというときに使いたいカードだったりする。「300のスパルタ兵」は防御時に少数であったとしても敵軍に損害を与えるまでサイコロを3つ振れるという、まさにテルモピュライを彷彿とさせるカード。「レオニダス」のほうは王が戦死するので一度しか使えないのだけど「レオニダスの仇を討て」とか言ってギリシア軍プレイヤーは士気があがるんじゃないかな。チョコも美味しいしね。

 アテネとスパルタとの間で内紛が起こり、ギリシア軍は麻痺状態に。好機とみてとったペルシア軍は、大軍でもってテーバイを攻撃する。だが、3倍の敵を相手にギリシア軍は奮戦、次々とペルシア兵を倒していく。このゲームでのギリシア軍3コマのスタックは恐ろしいほど強力なのだ。だが衆寡敵せず、ギリシア軍は敵に多大な損害を与えたものの次第に消耗していき、退却を余儀なくされた。

 勢いに乗るペルシア軍はアテネに侵攻、2対2と同数の戦いではギリシア軍有利のはずが、スパルタとの内紛にアテネ守備兵は動揺が続いていたかペルシア軍の攻撃を防ぎきれず、重要都市を明け渡してしまった。カードがないギリシアは何も対応することができない。結果、ギリシアが保持しているのはペロポネソス半島の2都市のみ。勝利得点はペルシアの6と、ギリシアが圧倒的に不利である。


●第五次遠征

 ペルシア軍はアジアから徴集した大軍をテーバイに配備。一方のギリシア軍は資金の少なさから兵もカードも少数しか補充できない。

「どうする? 投了する?」

「何言ってるんだ。ペルシャ人たちに支配されたまま、いつまでも奴隷ではいられないだろ? スパルタの死者たちを蘇らせよ! 三百の勇者のうち三人だけでいいんだ!」

「……なにそのノリ。なんかの引用?」

「バイロン。今回は東方の専制国家の支配からギリシアの独立を守るためのゲーム、って言ってたから頑張って調べました」

「時代が2千年以上違うだろ」

「だってバイロンって言ったら『紅の豚』にも出てくるぐらい有名じゃん」

「紀元前5世紀のギリシアの話をしようぜ」


 ギリシア軍は陸軍3コマでもってペルシアの大軍に挑むも、打ち破れずに退却。さらにへレスポントスの橋の焼き討ちを狙って長躯海路からAbydosに奇襲をしかけたものの、あえなく敗退した。最後はスパルタまで陥落し、この戦争はペルシア軍の圧勝となった。あれ、ギリシアの自由と民主主義はどうなんの?

 結構極端な展開になったけど、今回のプレイは先述のようにカードを使うゲームに慣れていないプレイヤー同士の戦いだったので、普通だったらもっと違う駆け引きが起こると思う。プレイ時間が短いからすぐに再戦できるしね。スペインのウォーゲームのコンベンションでこのゲームのトーナメントが開かれたことがあったけど、それもよくわかる気がする。


 オリジナルの日本語版とスペイン語版にどれくらい違いがあるのかどうかはわからないけど、ナクソスNaxosが重要都市から普通の都市に変更されているみたい。オリジナルでは、紀元前490年のダレイオス一世の海上からの侵攻を誘発するために重要都市にしたんだろうか。それを普通の都市にしたのは、バランスをとるためかな。それと、スペイン語版は箱の内側も凝っていて、いわゆるユーロ系が好きな層にもアピールするんじゃないかな。まあ何語版であれ、面白いゲームなんじゃないかと思います。



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