SNSマストアタックの知り合いnyaoさんに教えていただいた漫画「アンナ・コムネナ」が面白かったのでMen of IronシリーズのInfidelをやってみることにした。
アンナ・コムネナってあれでしょ、知ってますよ。ええっと、千年続いたビザンツ帝国の歴史の中で、ビザンツ皇族にして女性歴史家として後世に名を残している女性でしょ。哲学や神学、医学などさまざまな学問に造詣が深いことで知られる才媛でしたよね、と慌ててWikiを見て一人で知ったかぶりをしつつ、家にあるビザンツ関連の本をいくつかめくってみたら、全部に出てました、アンナ・コムネナ。
本を読むだけだと無味乾燥だった知識が、漫画のおかげで生き生きとしたものになっていって、いやー、ノリのいい漫画って素晴らしい。nyaoさんありがとうございます。ローズマリー・サトクリフが、歴史小説なんて無意味でしょと学者に批判されたときに、小説は歴史に命を与え血を通わせてくれるのですって感じで反論していたそうだけど、漫画も含めほんとそのとおりだと思います。
でもInfidelって十字軍の戦いなんですよ。十字軍は教皇ウルバヌス2世がクレルモンの公会議で呼びかけて始まったって高校の世界史で習ったけな。ビザンツの女性史家とどんな関係があるかというと、トルコ系の勢力に圧迫されていたビザンツ帝国が西欧に支援を要請したのが十字軍のそもそものきっかけ。そのときローマ教皇に援軍を頼んだビザンツ皇帝がアンナ・コムネナの父、アレクシオスI世なのである ―― ということをすっかり忘れていたんだけど、「アンナ・コムネナ」を読んで思い出しました。
アレクシオスとしては西欧からの援軍でもってトルコ軍に打撃を与えたのち適当なところで手を打つつもりだったようで、本によっては夷をもって夷を制するというビザンツの伝統的な対外政策と書いている。だがアレクシオスの想定に反して西方のカトリック世界では宗教的熱狂の渦が巻き起こり、異教徒を殲滅し聖地を奪還するために数万の軍隊がやってきたのだった。漫画「アンナ・コムネナ」でもその辺りのことが描かれていますね。
この第一回十字軍がアンナのいるコンスタンティノープルを経由してイェルサレムに向けて進軍していた時に起こったのが、今回プレイするDorylaeumの戦い。場所は現在のトルコ、アナトリア半島北西部だ。ちなみに同じころの日本は平安時代。中国は北宋で、もうすぐ豹子頭林冲や花和尚魯智深など百八人の豪傑が暴れまわるようになる。なお、使ったのはいつものとおりMen of IronのTri-pack版である。
ところでDorylaeumってどう読むんでしょうね。塩野七生の「十字軍物語」ではドリレウムとなっているけど、デュリュラエウムって書いてある本もあるし。Wikiではドリュラエウムって表記になっていて、なんとなく言いやすいのでここではドリュラエウムにします。
初期配置は写真のとおり。マップ上方の水色のユニットがトルコ軍、下の青いユニットが十字軍である。大量の騎兵で襲い掛かるトルコ軍に対し、十字軍は自軍前面(マップ上方)に2列に並んだ騎士たちが歩兵部隊を守っている。
Men of Iron Tri-packに入っている三つのゲームMen of Iron, InfidelそしてBlood&Rosesのうち、Infidelは他の2作と大きく違う雰囲気を感じる。十字軍とイスラム諸国という異質な軍隊がぶつかり合うのだけれど、イスラム側は弓騎兵が、十字軍では騎士が活躍し機動戦が展開する、という点がInfidelを特徴づけているんじゃないかなと。
その騎士(Knight, KN)がとにかく強力である。例えばこのドリュラエウムの戦いでの敵トルコ軍主力は中弓騎兵(Medium Cavalry Archers, MC/A)だが、騎士が中弓騎兵を白兵戦(Schock)で攻撃する場合、サイの目+2、逆に中弓騎兵が騎士を攻撃する場合は-3となる。さらに騎士は射撃されてもサイの目-1が適用される(サイの目は射撃、白兵戦ともに大きいほうが攻撃側に有利)。
また通常のユニットは混乱状態で攻撃を受けると敗走(Retire)しやすくなるのだが、騎士は敗走せずに1へクス退却で済ませられる。さらに指揮官の指揮範囲にいなくても基本的にペナルティなく行動できる。エトセトラ、エトセトラ……
このように騎士は凶悪なまでの攻撃力と粘り強い防御力を兼ね備えている。ずらっと並んだ十字軍の騎士にまともに攻撃をしかけてもトルコ軍の脆弱な騎兵集団には勝ち目はなさそうで、実際ドリュラエウムの戦いのAARをちらほら見てみると、騎士の強力な攻撃によってトルコ軍が粉砕され、すべて十字軍が勝利していた。トルコ軍としては騎士にどう対処するかが問題となる。
つづく
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