ライプツィヒの戦いって言ったらナポレオニックに詳しくない自分でも知っているぐらいメジャーな会戦で、たしか1813年のドイツ戦役でのナポレオンの敗北を決定づけたんじゃなかったかな。以前も紹介したけどVaeVictis182号の「Wachau 1813」はこの会戦の初日を扱ったもので、ライプツィヒ南東のナポレオンの攻勢にフォーカスしたもの。Wachauなんて全然知らなかったけど、デザイナーズノートには
Wachau était la dernière occasion de vaincre des coalisés encore partiellement séparés...Et il n'est pas passé très loin de réussir...
(Wachauはまだ集結しきっていない連合軍を撃破する最後のチャンスだった…しかも、勝利にあと一歩のところまでいったのだ…)
なんて書いてある。ここんとこナポレオン関連の本を読んだり、仕事から逃げるためにDSSSMさんが作ってくれた「著作権切れナポレオン戦争関連洋書Wiki」にちょこちょこ書き入れたりしていてナポレオニック熱がちょっと上がってきたので、Wachau1813もやってみた。
初期配置は写真のとおり。ヴィクトール、ケラーマンといった、ナポレオニックに詳しくなくても聞いたことあるような指揮官がユニット化されているのがうれしい。個人的にはポニャトフスキー、それに最近知ったオイゲン・フォン・ヴュルテンベルクが登場しているのがツボかな。ただね、名前の表記がフランス語になっていて、WurtembergとかRaïevskiになっている。自分の限られた知識だと、カタカナにするときも表記が割れているケースがちらほらあるみたいなので、このAARではつづりもカタカナも自分の好きなものを採用することにする。あと、フランス軍には親衛隊もいて、もちろん兵質は最高のAである。気持ちが上がるよね。連合軍側にはロシア軍近衛兵もいる。
なおフランス軍の親衛隊、それにマップ左下、連合軍の近衛兵を含む部隊には行動制限がかかっており、ゲーム前半は移動は1へクスのみ、かつ攻撃もできない。また仏軍には第5ターンにマップ右上からマクドナルド率いる増援が登場する。そのほか両軍ともに、登場する可能性のある増援がある。
1ターンは1時間、各プレイヤーが移動・攻撃を繰り返すという比較的簡単なゲーム。デザイナーズノートでも、短時間でプレイできるって書いている。戦闘は戦力比、地形効果、指揮官の能力、兵質などをDRMにするという、Jours de Gloireシリーズなんかと似ているのだが、2d6なので極端な目が出る可能性がある。
このゲームで重要なのが軍の士気。敵軍の士気をゼロにすると勝利なのだが、連合軍は仏軍の士気を崩壊させなくてもゲーム終了時まで自軍の士気がゼロにならなければ作戦的勝利を得られるので、フランス軍としては攻撃に攻撃を重ねて敵の士気を崩壊させないといけない。しかも一応、第10ターン(18:00)まであるものの、第8ターン(16:00)からターン開始時に2d6を振って2~5だとゲーム終了となっているので、フランス軍としてはいつまで時間があるかわからず一層焦って攻撃せざるを得なくなっている。
士気はゲーム開始時、連合軍は10、フランス軍は9。マップ上の重要地点(Objectif géographique)を占領すると士気が上がり、取られた側は士気が下がる。また戦闘結果表が攻防ともに出血しやすいものとなっているため、戦闘が続くとじわじわと両軍ともに士気が下がるようになっている。なお士気が3以下になった軍は攻防ともに不利なDRMが課されてしまう。
士気が敵より高い軍が主導権を獲得し、各ターン主導権側からプレイする。どういうことかというと、非主導権プレイヤーは相手に損害を与えたり重要地点を占領たりして敵の士気を低下させ、自軍の士気が敵を上回ると、主導権が回ってきて次のターンも続けて先にプレイできるのである。戦況の逆転が表現されやすいのかな。
士気に影響する重要地点はマップ左半分に多くあり、両軍主力もこちらに配置されているため、この方面が主な戦場になる。だが仏軍の増援であるマクドナルドの部隊がマップ右上から登場すると、正面からのぶつかり合いという状況に変化が出ることだろう。
また、Marqueurというチットがあって、各プレイヤーは毎ターン1枚獲得できる。このMarqueur、砲兵の支援やコサック、それに増援の登場などかなり雑多で、まあよく言えば変化に富んでいてプレイに高揚感や緊張感を与えていると思うんだけど、Marqueurって「マーカー」って訳すとなんか味気ないので、このAARでは作戦チットと呼ぶことにする。
(つづく)


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