2025年3月27日木曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part6

 ●第5ターン

 最終ターンである。先に動いたのはロシア軍だった。前ターン最後に墓地の攻撃に成功した左翼(マップ下方)のDokhtourovが、今度は教会を守るBruyèresの騎兵を側面から攻撃。仏軍を撃退し、教会の占領に成功する。これでさらにプラス4勝利得点である。さらに露軍右翼のEssenがアイラウ村の奪還を目指したものの、Dorsenneの砲兵が奮戦、至近距離からの砲撃によってロシア軍歩兵の攻撃は退けられた。

 ここで引かれた活性化チットは、親衛擲弾兵第I連隊第I大隊を擁する仏軍Dorsenne。

「来た! 射撃をやめよ、擲弾兵たちよ。親衛隊は銃剣だけで戦うのだ!!」


 以前のブログにも書いたけど、このアイラウの戦いで親衛隊が反撃をするとき、Dorsenneが<<Halte au feu grenadiers, et l'arme au bras, la Vieille Garde ne se bat qu'à la baïonnette!>>(射撃をやめよ、擲弾兵たちよ、そして武器を構えよ。老親衛隊は銃剣だけで戦うのだ!)と言ったそうである。親衛隊で攻撃するときはこのセリフ、言いたくなるよね。


 Dorsenneの言葉に親衛隊は奮起。先ほど教会を占領した露歩兵を蹴散らした。

 さらにDorsenneの活性化チットが引かれ、親衛隊は敵2ユニットを攻撃する。ロシア軍は親衛隊の銃剣突撃を支えきれず、両ユニットとも混乱状態になって後退。親衛隊は戦闘後前進で墓地も奪還する。親衛隊、つえええ。親衛隊に負けじと、アイラウ村の仏砲兵は先ほど混乱状態にしたEssenの歩兵にさらに砲撃を加え、敗走させた。


「ふん、親衛隊が調子に乗っていると防御が手薄になるのを忘れたようだな」

とロシア軍のEssenが空になっている教会を再度占領しようとする。だが非命令下の同部隊はイニシアティブチェックに失敗。激戦で疲弊したか、この好機に動くことができない。ならば左翼(マップ下方)のDokhtourovだ。この部隊も損害が激しいが、最後の力を振り絞って墓地の仏騎兵を攻撃。DRM+1で50%の確率で成功である。だが、これまであまりいいところのなかったBruyèresがここで意地を見せ、ロシア軍の攻撃を撃退した。

 力尽きたロシア軍に仏親衛騎兵が襲いかかる。敗走している歩兵が騎兵の餌食となって次々と壊滅していった。


 こうしてゲーム終了。両軍の勝利得点を比較し、敵よりも7点以上多い側が勝利である。ロシア軍は仏軍4ユニットを壊滅、さらにLarreyを捕虜にして、合計10点。フランス軍はロシア軍の歩兵2ユニット壊滅、擲弾(Grenade)マークがついているユニットを3ユニット壊滅で、計13点。戦いは引き分けとなった。


 いやー、面白かった。戦いは教会と墓地の周辺に限定されてしまったけど、取ったり取られたりで両プレイヤーとも楽しめました。両軍もかなり対照的だし。ロシア軍は数は多いが脆いユニットも多く、一方でフランス軍は騎兵と砲兵も擁しているけれど、使える歩兵は実質的に親衛隊1ユニットのみ。騎兵は士気は高いものの戦闘力が低く、突撃ではなく通常の攻撃では-2DRMとなるため狭い戦場で接敵されると反撃しづらい。さらには脆弱な負傷兵、それに移動不可で敵に取られたら勝利得点を献上してしまうLarreyマーカーなど、ちょっとした味付けが楽しい。

 それに、ナポレオンが皇帝となってから初めて親衛隊の歩兵部隊が投入された戦いだしね。あと、なんと言ってもナポレオンの危機を親衛隊が反撃して救う、というシチュエーションに燃えます。Jours de Gloireシリーズをプレイしたことがある人だったらすぐにできるはず。そもそもJdGシリーズのルールは比較的簡単なので、誰かプレイしませんかね。ミニミニゲームだし。感想を聞いてみたいなあ。

2025年3月22日土曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part5

 ●第3ターン(つづき)

 ロシア軍左翼(マップ下方)のDokhtourovがぐずぐずしている間に、仏Dorsenneの親衛隊がアイラウ村のロシア軍を攻撃。なんなく村を奪還し、露近衛兵は敗走した。やっぱり親衛隊つええ。

 ロシア軍は先ほどの反撃でやや突出した形になっている親衛騎兵のスタックをEssenの3ユニットで攻撃する。親衛騎兵は士気が6と高いものの、2ユニットスでタックしても戦闘力は3しかないのでロシア軍が戦力を集中すると戦力比で不利になる。さらには正面と側面から同時に攻撃を受けたため、さすがの親衛騎兵も後退、うち1ユニットは混乱状態となった。

 このターンの最後、敗走移動で露Dokhtourovの敗走状態の歩兵が盤外に。盤外に出てしまったユニットは壊滅とみなされる。ロシア軍ユニットの半数は士気が3しかなく、混乱からの回復は30%、敗走からは20%の確率でしか成功しない。ロシア軍は損害を受けると結構もろいのである。一方、仏Bruyèresの騎兵の士気は5、親衛騎兵は6と高く、損害を受けてもすぐに立ち直るため粘り強い抵抗をすることができるのだ。


●第4ターン

 戦略イニシアティブを握ったのはフランス軍。Dahlmannを活性化させ、前ターン最後のロシア軍の攻撃で損害を受けた親衛騎兵1ユニットを後方に逃がし、回復を図る。先述のように親衛騎兵は士気が高いため、混乱からの回復も早い。だが壊滅すると5点と通常ユニットの2.5倍だ。またこのゲームでは終了時に敗走状態だと敵の勝利得点となるが、通常のユニットは1点なのに親衛騎兵は4点なのである。戦闘力4,士気8のDorsenneの親衛擲弾兵と違い、親衛騎兵の戦闘力は1や2と低いためロシア軍の反撃の的になりやすく、運用には慎重にならざるを得ないのである。

 親衛騎兵のもう1ユニットは機動力を生かしてマップ上方に回り込み、Essenの右翼を脅かした。さらに続けてDahlmannの活性化チットが引かれる。マップ上方に迂回していた親衛騎兵が、混乱状態のロシア軍近衛兵に突撃! 敗走する露近衛兵を追撃して壊滅させた。一方、先ほど後方に退避させていた混乱状態の親衛騎兵が回復。親衛騎兵の活躍に刺激されたか、仏Soulèsが砲撃でEssenの歩兵を混乱させた。

 ロシア軍Essenも反撃をする。Soulèsの砲兵が単独でいるところに近衛兵が斜面を駆け上がって突進。至近距離からの砲撃にも屈せず、仏砲兵を蹂躙した。仏軍は前線を縮小したものの、親衛擲弾兵がアイラウ村奪還にむかい、親衛騎兵が回復のために後方に下がったり敵陣深く突撃したりしていると、どうしても防御に手薄なところが出てきてしまうのである。

 だがまたも親衛隊がその凶悪さを発揮する。Soulèsの砲兵を壊滅させた露近衛兵に対し斜面下から攻撃。近衛兵は敗走していった。

「やっぱり親衛隊は頼りになるなー。ロシア軍は反撃もできないだろ」

と調子にのる仏軍プレイヤー。だがここでロシア軍左翼(マップ下方)のDokhtourovが活性化、イニシアティブチェックに成功し、墓地を守るBruyèresの騎兵に一気に迫った。

「親衛隊にかなわないんだったら、親衛隊のいないところを突けばいいのさ」

「強力な仏軍のいないところを攻撃、前進するって、ライヘンバッハ・プラン?」

ロシア軍の攻撃を支えきれず、Bruyèresの騎兵は後退。Dokhtourovの歩兵が墓地1へクスを占領した。


 激戦が続き、両軍ともに消耗が激しい。残るはあと1ターン。墓地を占領したロシア軍は、このままゲーム終了まで保持していれば4勝利得点が得られる。仏軍の反撃に耐えることができるか。


つづく

2025年3月18日火曜日

「グデーリアン最後の賭け」(BANZAI 24) の自転車兵ユニットについて

  遅ればせながらMixi2に登録してみまして。それでウォーゲーム関連のコミュニティを覗いてみたら、先月発売になったBANZAIマガジン第24号「グデーリアン最後の賭け」のユニットについての話題がありまして。自転車の兵科記号のユニットはどういう連隊なんでしょうか、というものでした。

 このゲーム、現在はポーランド領となっているバルト海沿岸のポンメルンを舞台に、1945年2月に行われたドイツ軍による攻勢Unternehmen Sonnenwendeと、その後のソ連軍の攻撃を扱っているんですけど、自転車の部隊が出てくるなんて末期戦らしいですね。なお「グデ―リアン最後の賭け」は公式サイトでルールのほか、カウンターシートなどが公開されています。

BANZAIマガジン第24号(グデーリアン最後の賭け)

 ゲームではドイツ軍に自転車兵のユニットが2つ出てきて、兵科記号はそのまんま自転車のシルエット。Mixi2の書き込みはこれらのユニットについての質問だと思うんですけど、第10自転車猟兵旅団のこととか書き込まれる方もいて、勉強になりました。

 で、自分も興味を惹かれて調べてみました。仕事から逃避モードだったんで、こういう調べものが進むこと進むこと。ゲームでは自転車兵として5Jag/104PJという大隊規模のユニットと139/233という連隊規模のユニットが登場するんですが、自分、WW2はよく知らないんですよね…。でも、1945年1月から自転車で移動するPanzerjagd-Kommandoが編成されるようになった、と書いているサイトがありました。

Panzer-Jagd-Brigaden

 Panzerjagd-Kommandoって戦車駆逐コマンドと訳せばいいのかな。コマンドは中隊に統合され、Panzer-Jagd-Brigadeも創設されるようになったそうですけど、Panzer-Jagd-Brigadeって戦車駆逐旅団でいいのかな。で、そのPanzer-Jagd-Brigadeの一つにPanzerjagd-Brigade 104(第104戦車駆逐旅団)というのがあって、自転車兵ユニット5Jag/104PJはPanzerjagd-Brigade 104のPanzerjagd-Abteilung 5ではないかと。Panzerjagd-Abteilungは戦車駆逐大隊でいいのかなあ。

 もう一つの自転車ユニット139/233ですけど、ネットサーフしていたら『第二次世界大戦1939-1945におけるドイツ国防軍と武装SSの組織と軍隊』という本を見つけました。連邦公文書館所蔵の文書に基づいた本のようなんですけど、Unternehmen Sonnenwendeに参加していたとされるHolstein装甲師団について「1945年2月10日にデンマークで編成。233予備装甲師団の機動力のある部隊をすべて受け継いだ」とあって、同師団に所属する部隊としてPanzergrenadier-Rgt. 139 I., IIが挙げられています。これが139/233ユニットではないかと。Unternehmen Sonnenwendeのときは233装甲師団ではなくHolstein装甲師団じゃないかなと思うんですが、誰かご存じないですかね。末期だからドイツ軍側も呼称がいろいろと混乱していたのかなあ。
で、また既出サイトLexikon der Wehrmachtになってしまうんですけど、Panzer-Grenadier-Regiment 139は第一大隊が自転車大隊、第二大隊が自動車化大隊だって書かれてますね。なので233装甲師団の第139装甲擲弾兵連隊がゲームでは自転車兵とされたのではないかと。

それと、ドイツ国防軍の自転車利用についてはこの記事が面白かったです
なぜ独国防軍は自転車に注力したのか

第二次世界大戦において自転車(Drahtesels)は大きな役割を果たしたが、ドイツにおいては顕著だった―だが、ほとんど忘れ去られている。
とのことで、WW2において独軍がどれだけ自転車を活用したかが書かれています。末期戦の自転車兵部隊って、物資も枯渇してるんだろうなという悲壮感を感じるんですけど、戦争初期から使われていたと知って安心。でも、1943年以降は自転車を使っている兵の写真が撮られることはほとんどなくなったそうで、敵がほとんど自動車化されているのに自軍が自転車に乗っている様子を見せないようにしたのでは、なんて趣旨のことが書かれています。やっぱり末期戦の自転車兵はそういう存在だったんですかね…。

 そういえばもうそろそろ発売になるVaeVictis179号「Opération Gemse 1945は「グデ―リアン最後の賭け」と同じく1945年の2月から3月にかけての東部戦線。ソビエト軍の攻勢と独軍の反撃を扱っています。場所は現在のポーランドの南東、ドイツとチェコよりのところのようですね。このゲームにも自転車に乗っている兵のイラストのユニットがあるようで、ヒストリカルノートを読むのが楽しみです。

(追記)
1945年3月ゼーロウ高地に向かう国民突撃隊だそうです。「グデ―リアン最後の賭け」に登場する自転車兵もこんな感じだったんじゃないでしょうか。

Panzerjagd-Kommandoに関してはAusgestattet waren die Mannschaften mit je einem Sturmgewehr, zwei Panzerfäusten und einem Fahrradって既出サイトPanzer-Jagd-Brigadenに書かれていましたが、まさにそういう装備ですよね。



2025年3月14日金曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part4

 ●第2ターン(つづき)

 ロシア軍Essenの攻撃によって窮地に陥ったナポレオン。

「頼む、親衛騎兵、動いてくれ! 皇帝を守るのが親衛隊だろ!!」

 そんな仏軍プレイヤーの願いもむなしく、引かれた活性化チットはロシア軍のEssen。当然、ナポレオンを守る負傷兵に追い打ちをかける。なすすべもなく負傷兵は壊滅、ナポレオンは混乱状態の砲兵とともに退却する。さらにロシア軍は、Dorsenneの砲兵が守るアイラウ村へクスを2ユニットで攻撃。仏軍の砲撃をかいくぐって露近衛兵が村に突入、占領した。アイラウ村は各ヘクス1勝利得点となるため、教会ともどもこのままゲーム終了時まで保持すればロシア軍はかなり有利となる。

 仏親衛騎兵のDahlmannの活性化チットがまだ引かれずに残っているが、Jours de Gloireシリーズでは最後に残った活性化チットはプレイされず、ターン終了となる。

「おいおい、親衛騎兵が動かなかったじゃん。どうなってんだ?!」


●第3ターン

 ナポレオンが危うい状態が続いており、戦略イニシアティブを決めるサイコロに両プレイヤーとも気合が入る。

「本当に頼む、親衛隊、動いてくれ!」

 皇帝の危機に兵たちが奮い立ったか、イニシアティブを得たのは仏軍となった。

「おっしゃ、ラ・ギャルド・ア・ドネ!!」

 Dorsenneの部隊が活性化し、親衛隊が動く。ちなみにLa Garde a donné!(親衛隊が動いた!)というのは以前のブログに書いたけど、Bulletin de la Grande Armée(大陸軍広報)の決まり文句La Garde n'a pas donné.(親衛隊は投入されなかった)を踏まえているようで、ヒストリカルノートの見出しになっていたもの。仏軍プレイヤーはこの言葉を言いたくてうずうずしていたらしい。

 このDorsenneの親衛擲弾兵第I連隊第I大隊、兵質(Valeur d'engagement)は7、士気(Cohésion)は8という化け物である。非命令下でも攻撃時の兵質チェックは80%の確率で成功するし、露近衛兵に対する攻撃時には士気差で+4のDRMが付く。逆に露軍が攻撃しようとすると最低でも3ユニットはかき集めてこないといけないが、たとえ戦闘結果で士気チェックが出ても親衛隊は90%で無傷なのである。

 親衛隊は教会を守る露近衛兵を攻撃、突破(Choc de rupture)となって追撃、追い打ちをかける。近衛兵はたまらず敗走していった。

 そしてDahlmannの親衛騎兵が続く。前ターンのアイラウ村攻撃のために側面をさらけ出す形になっていた露軍歩兵を攻撃、敵を退却させた。

「がははは、見たか! やっぱり皇帝が危機のときに頼りになるのは親衛隊だな」

「前のターンで頼む、動いてくれ、とか言っていたのに動かなかったのを忘れた?」


 さらに仏軍はSoulèsが砲撃でEssenの近衛兵を混乱状態に。親衛隊の擲弾兵と騎兵の攻撃に加えて砲撃と、ロシア軍は殴られっぱなしだったがやっとEssenの活性化が回ってくる。敵の反撃に怯んでられるかと、単独でいたDorsenneの砲兵の側面に回り込んで攻撃、壊滅させた。やはり仏軍はユニット数が少ないため、親衛擲弾兵を反撃に使い、2ユニットいる親衛騎兵も反撃のためにスタックさせるとどうしても防御が手薄なところが出てしまうのである。

 教会と墓地ががら空きになっている仏軍は、右翼(マップ下方)のBruyèresをその防御に回す。露左翼(マップ下方)のDokhtourovは仏騎兵を追って墓地を目指すものの、非命令下なので進軍が遅い。接敵できるマップ下方の仏騎兵を歩兵2ユニットで攻撃。この騎兵は何度も回復に失敗して混乱状態のままなのだ。だが露歩兵の両ユニットとも兵質チェックに失敗、攻撃ができない。再び活性化したDokhtourovはもう一度2ユニットで混乱状態の騎兵を攻撃しようとするも、またも兵質チェックに失敗。ゲーム開始時の素早い行動とは対照的に、動きが鈍くなってきたDokhtourovである。


つづく

2025年3月11日火曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part3

 ●第2ターン(つづき)

 敵の攻撃で損害を被った仏軍右翼(マップ下方)のBruyères騎兵部隊。やられっぱなしになってたまるか。自軍Dorsenneの砲撃で混乱状態となり回復のため後退していた露軍歩兵にむかって、Bruyèresの騎兵1ユニットが突撃。当然敗走させたものの、追撃(Pousuite)は露Essenの部隊によって押しとどめられたうえに、突撃後の士気チェックに失敗して混乱状態になってしまった。

「げ、もしかしてエッセン、このターンはまだ動いていない?」

 そして待ち受けていたかのようにこのタイミングで露軍Essenの活性化が回ってくる。先ほどの突撃で突出した仏騎兵を集中攻撃で敗走させた。そして近衛兵1ユニットがアイラウ村の教会にとりつく。

 この教会は先述のとおりロシア軍が占領・保持していると4勝利得点を得られる。それだけでなく、ここには初期配置で軍医のLarreyマーカーと負傷兵(Blessés)ユニットが配置されている。デザイナーズノートによると、このマーカーは軍医のLarreyと重傷で動けない兵たちを表しており、移動不可でロシア軍が捕虜にすると2勝利得点となるため、ロシア軍としてはねらい目なのである。


 この軍医Dominique-Jean Larreyは近代的な軍医のさきがけとも言われるそうで、ナポレオンの戦役にずっと従軍し、敵味方関係なく戦場で負傷した兵の治療に当たった。救急車やトリアージなど近代的な医療システムの構築を行い、負傷兵を素早く救護するため救急車として馬に牽かせた荷車を導入したのだが、これは馬に牽かれた砲がartillerie volante(直訳すると「空飛ぶ砲」)と呼ばれていたことからambulances volantes(空飛ぶ救急車)と言われるようになったらしい。

 

 教会とLarreyを守っている仏負傷兵ユニットは攻撃不可で戦闘力1、士気も2とかなり脆弱なうえ、敗走すると壊滅となる。さらにこのユニットを通過した友軍ユニットは混乱状態になってしまううえ、移動はターン最後の敗走フェイズ(Phase de déroute et de démoralisation)にしか行えないため、結構邪魔と言えば邪魔である。第1ターンの最後に後方に下げておいて第2ターンの初めに他のユニットを教会の守備に入れればよかったのだが、

「やっぱ負傷兵は軍医を守るべきでしょう。だからそのままにしておいたんだよ」

と強がる仏軍プレイヤー。実際、仏軍にはDorsenneの強力な親衛隊がいるものの1ユニットだけだ。他は騎兵が8ユニットと負傷兵、あとは砲兵である。砲兵は単独でいるとZOCがないだけでなく、攻撃を受けた際に対応射撃(Tir de réaction)で敵を撃退できたらいいものの失敗すれば即壊滅で、悪天候で砲撃に-1の不利なサイの目修正が付くことを考えると砲兵は他のユニットとスタックしていないと心もとない。一方で露軍は歩兵12ユニットを擁しているため、仏軍は負傷兵を後方に下げる余裕はあまりなく、砲兵と一緒に教会を守らせておいたほうがいいのかもしれない。

 

 露近衛兵が、負傷兵が守っている教会を攻撃する。Soulèsの砲兵が必死に砲撃を加えるものの、近衛兵は意に介さず教会に突入。負傷兵と砲兵は混乱状態になって隣のナポレオンのもとに逃げ込んだ。露軍は教会を占領、Larreyは捕虜となった。

「おいおい、近代的軍医の祖がつかまっちゃったじゃん! 一緒にいた動けない重傷の兵たちは、ロシア軍からどんな目にあわされるのか……」

「いやいや、それよりナポレオンのことを心配しろよ。皇帝を守っているのは混乱状態の負傷兵って、かなりヤバくないか?」

 このターン、まだ引かれていない活性化チットはロシア軍のEssenと、仏親衛騎兵のDahlmann。次に動くのはどっちだ? そして、皇帝は助かるのか?


つづく



2025年3月6日木曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part2

 ●第2ターン

 このターン、戦略イニシアティブ(initiative stratégique)を握ったのはロシア軍だった。Jours de Gloireシリーズでは戦略イニシアティブを得たプレイヤーは最初に活性化する部隊を選ぶことができる。ロシア軍は左翼(マップ下方)のDokhtourovを活性化。非命令下だったが指揮官のイニシアティブチェックに成功して前進、仏Bruyèresの騎兵部隊にとりつき、一部の兵は敵騎兵の側面に回り込んだ。

「なんで騎兵が歩兵に回り込まれるんだ?!」

とぼやく仏軍プレイヤー。

「吹雪で仏軍は行動に支障が生じるだろうけど、ロシア軍は普通に動けるってことなんじゃないの。まあイニシアティブチェックに失敗したら何もできなかったわけだから、こっちもリスクをとってるんだよ」

 ちなみに今回もプレイヤーは「La Garde avance!」のときと同じメンツで、いつもは中世の会戦級ばかりやっているのでナポレオニックの用兵はほとんどわかっていない。

 ロシア軍はまずは2ユニットで敵騎兵防御ライン中央付近を攻撃。Bruyèresの仏騎兵はすべて士気(Cohésion)は5と高いものの、戦闘力(Points de force)はほとんどのユニットが1と低いためまともに戦うと不利と判断、機動力を生かして戦闘回避。JdGでは騎兵が歩兵の攻撃を受けた場合、戦闘回避(Refus de choc)を行うことができるのだ。だがその結果、仏騎兵部隊の右端のユニットが包囲されてしまう。ここでも攻撃を受けた仏騎兵は戦闘回避を行うものの、包囲されていため混乱状態に。さらに戦闘回避後の士気チェック(test de cohésion, TdC)にも失敗して敗走(Déroute)してしまった。

 仏軍はSoulèsが砲兵2ユニットで砲撃を行うが、効果なし。このゲームでは悪天候を反映して、砲撃には-1の不利な修正が課せられるのだ。そしてSoulèsが連続して活性化するものの、これまた砲撃は効果なし。

「もう砲兵はいいから、親衛隊を使わせてよ!」

 Soulèsの部隊には砲兵のほかに親衛隊4ユニットが所属しているのだが、先述のように投入すると勝利得点がかなりマイナスとなってしまうのである。

 露軍歩兵の果敢な機動で損害を被った仏右翼(マップ下方)のBruyèresに活性化が回ってくる。ほとんどのユニットは接敵されており突撃が行えない状態だが、先ほど戦闘回避で後退していた騎兵がDokhtourovの歩兵に突撃。

「おいおい、ドクトゥーロフの部隊は無傷だぜ。そんなところに1ユニットで正面から突っ込んでいいの?」

「騎兵が防御に徹するなんてやってられないだろ。殴られたら殴り返せ!……と言いたいところだけど、ドクトゥーロフの部隊は非命令下で活性化も一回終わっているでしょ。突っ込んでいっても反撃にあう可能性は高くない…はず」

 騎兵は通常の攻撃(Choc)だと-2の不利なDRMが付くため、突撃できるときは突撃しておいた方がいいとも仏軍プレイヤーは思ったらしい。

 突撃を受けた露軍歩兵は混乱状態になって後退。だが突撃終了時に課される士気チェックに失敗し、仏騎兵も混乱状態になってしまった。

 続いてDorsenneの部隊が連続して活性化。Soulès同様に執拗な砲撃を行い、やっと敵1ユニットを混乱状態にする。アイラウの吹雪はそれほど激しいのか。

 仏軍が効果のない砲撃を続けている隙に、再び露軍左翼(マップ下方)のDokhtourovが動く。突撃して混乱状態になった仏騎兵を包囲し、2ユニットで集中攻撃。Dokhtourovは非命令下なので各攻撃ユニットは兵質チェック(test d’engagement)を行って実際に攻撃できるかどうか判定しないといけない。1ユニットが失敗したものの、もう1ユニットの攻撃で仏騎兵を壊滅させた。


つづく

2025年3月1日土曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part1

  以前ブログに書いたけど、VaeVictis誌最新号はアイラウの親衛隊を描いた「La Garde veille!」。アイラウて言ったら吹雪の中、仏軍が苦戦したことで有名のようだけど、いつものようによく知らないのでヒストリカルノートを読み返してみた。

 ロシア軍に押され気味になった仏軍は中央でオージュローの第VII軍団を投入。だが猛吹雪のために誤って敵の真正面に出てしまった仏第VII軍団はロシア軍の猛攻をくらって敗走、仏軍中央に大きな穴が生じた。これぞ好機と、ロシア軍はナポレオンとその幕僚たちがいるアイラウ村に向かって総攻撃をしかける。ナポレオンは退却するか親衛隊を投入するかの選択を迫られた…

 というのが今回プレイする「La Garde veille!」のアイラウ墓地シナリオ。危機に陥ったナポレオンを救うため、親衛隊がロシア軍に反撃するという燃えるシチュエーションである。ゲームは以前AARを書いた「La Garde avance!」と同じくJours de Gloire(JdG)シリーズ。1へクス100m、1ターン15分と「La Garde avance!」とほぼ同じスケールである。

 仏軍は騎兵、砲兵、歩兵と一見兵種のバランスが取れているように見えるうえ、後方に超強力な親衛隊5ユニットが控えている。だが、実際のアイラウ戦ではこれらの部隊は戦闘に参加しなかったようで、このゲームでは投入できるようになっているものの、勝利得点でかなりのペナルティが課されるため仏軍は安易に使えない。そのため、仏軍が実質的に使える歩兵はDorsenneの部隊の親衛擲弾兵第I連隊第I大隊の1ユニットだけだ。 

 一方、ロシア軍は2部隊からなりすべて歩兵で構成されている。両部隊とも6ユニットあるが、右翼(マップ上方)のEssenの部隊ほうがやや質が高い。デザイナーズノートによると、アイラウ戦のロシア軍部隊についてははっきりわかっていないのだが、テストプレイチームの一員がロシア語の資料にあたったおかげでこのゲームの2つのシナリオに登場するロシア軍の戦闘序列に根拠を持てたそうだ。

 マップ中央やや左寄り、上端から中央にかけてがアイラウ村である。村を守っていた第IV軍団の部隊は、このシナリオでシミュレートする戦いには直接は加わっていなかった。だが仏軍の反撃の左翼をカバーする働きがあったそうで、これを表すために(先日のブログでも書いたけど)ユニット化されずにマップ上で赤いシルエットで表され、村へクス固有の防御値になっている。

 ナポレオンのいるマップ中央部には教会と墓地2へクスがあり、ロシア軍はゲーム終了時に占領しているとヘクスごとに4勝利得点を得られる。また教会に置かれている移動不可の軍医Larreyマーカーもロシア軍の得点源なので、マップ中央部目指してロシア軍は攻撃を仕掛けることになる。


●第1ターン

 ロシア軍が前進を開始する。フランス軍はSoulèsの砲兵でナポレオン前面の防御態勢を強化。そしてBruyèresの騎兵部隊で右翼(マップ下方)をカバー。ロシア軍右翼(マップ上方)のEssenは非命令下(Sans Ordres)だったが指揮官のイニシアティブ値(Valeur d'initiative)を使ったチェックに成功、命令下の左翼Dokhtourovにさほど遅れることなく前進した。

 このシナリオでのロシア軍総指揮官(général en chef)Dokhtourovの命令値(Potentiel d’ordre)は1なので、ロシア軍は2つの部隊のうちどちらかしか命令下(Ordres Reçus)にできない。非命令下だと移動力が半減など行動に制限が出てしまうので、どちらの部隊を命令下にするかロシア軍は悩みどころである。ただし露軍の両部隊とも2枚の活性化チット(Marqueur d’Activation, MA)うち1枚はイニシアティブ値4で、総指揮官の指揮範囲にいるとDokhtourovのダイス修正値(Modificateur au dé, MD)1が加わって、非命令下の部隊でも60%の確率で命令下にすることができる。一方のナポレオンの命令値は2であるうえダイス修正値も2なので、部隊運用の柔軟性はフランス軍のほうがかなり上である。

(なおJdGのルールに関しては以前、「La Garde avance!」のAARを書いたときに結構触れたのでそっちを見てみてください。それと用語の訳については、これも「La Garde avance!」のAAR同様に自分の好きな言葉を当てています。

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ①)


つづく





親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part6

 ●第5ターン  最終ターンである。先に動いたのはロシア軍だった。前ターン最後に墓地の攻撃に成功した左翼(マップ下方)のDokhtourovが、今度は教会を守るBruyèresの騎兵を側面から攻撃。仏軍を撃退し、教会の占領に成功する。これでさらにプラス4勝利得点である。さらに露軍...