2025年3月6日木曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part2

 ●第2ターン

 このターン、戦略イニシアティブ(initiative stratégique)を握ったのはロシア軍だった。Jours de Gloireシリーズでは戦略イニシアティブを得たプレイヤーは最初に活性化する部隊を選ぶことができる。ロシア軍は左翼(マップ下方)のDokhtourovを活性化。非命令下だったが指揮官のイニシアティブチェックに成功して前進、仏Bruyèresの騎兵部隊にとりつき、一部の兵は敵騎兵の側面に回り込んだ。

「なんで騎兵が歩兵に回り込まれるんだ?!」

とぼやく仏軍プレイヤー。

「吹雪で仏軍は行動に支障が生じるだろうけど、ロシア軍は普通に動けるってことなんじゃないの。まあイニシアティブチェックに失敗したら何もできなかったわけだから、こっちもリスクをとってるんだよ」

 ちなみに今回もプレイヤーは「La Garde avance!」のときと同じメンツで、いつもは中世の会戦級ばかりやっているのでナポレオニックの用兵はほとんどわかっていない。

 ロシア軍はまずは2ユニットで敵騎兵防御ライン中央付近を攻撃。Bruyèresの仏騎兵はすべて士気(Cohésion)は5と高いものの、戦闘力(Points de force)はほとんどのユニットが1と低いためまともに戦うと不利と判断、機動力を生かして戦闘回避。JdGでは騎兵が歩兵の攻撃を受けた場合、戦闘回避(Refus de choc)を行うことができるのだ。だがその結果、仏騎兵部隊の右端のユニットが包囲されてしまう。ここでも攻撃を受けた仏騎兵は戦闘回避を行うものの、包囲されていため混乱状態に。さらに戦闘回避後の士気チェック(test de cohésion, TdC)にも失敗して敗走(Déroute)してしまった。

 仏軍はSoulèsが砲兵2ユニットで砲撃を行うが、効果なし。このゲームでは悪天候を反映して、砲撃には-1の不利な修正が課せられるのだ。そしてSoulèsが連続して活性化するものの、これまた砲撃は効果なし。

「もう砲兵はいいから、親衛隊を使わせてよ!」

 Soulèsの部隊には砲兵のほかに親衛隊4ユニットが所属しているのだが、先述のように投入すると勝利得点がかなりマイナスとなってしまうのである。

 露軍歩兵の果敢な機動で損害を被った仏右翼(マップ下方)のBruyèresに活性化が回ってくる。ほとんどのユニットは接敵されており突撃が行えない状態だが、先ほど戦闘回避で後退していた騎兵がDokhtourovの歩兵に突撃。

「おいおい、ドクトゥーロフの部隊は無傷だぜ。そんなところに1ユニットで正面から突っ込んでいいの?」

「騎兵が防御に徹するなんてやってられないだろ。殴られたら殴り返せ!……と言いたいところだけど、ドクトゥーロフの部隊は非命令下で活性化も一回終わっているでしょ。突っ込んでいっても反撃にあう可能性は高くない…はず」

 騎兵は通常の攻撃(Choc)だと-2の不利なDRMが付くため、突撃できるときは突撃しておいた方がいいとも仏軍プレイヤーは思ったらしい。

 突撃を受けた露軍歩兵は混乱状態になって後退。だが突撃終了時に課される士気チェックに失敗し、仏騎兵も混乱状態になってしまった。

 続いてDorsenneの部隊が連続して活性化。Soulès同様に執拗な砲撃を行い、やっと敵1ユニットを混乱状態にする。アイラウの吹雪はそれほど激しいのか。

 仏軍が効果のない砲撃を続けている隙に、再び露軍左翼(マップ下方)のDokhtourovが動く。突撃して混乱状態になった仏騎兵を包囲し、2ユニットで集中攻撃。Dokhtourovは非命令下なので各攻撃ユニットは兵質チェック(test d’engagement)を行って実際に攻撃できるかどうか判定しないといけない。1ユニットが失敗したものの、もう1ユニットの攻撃で仏騎兵を壊滅させた。


つづく

2025年3月1日土曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part1

  以前ブログに書いたけど、VaeVictis誌最新号はアイラウの親衛隊を描いた「La Garde veille!」。アイラウて言ったら吹雪の中、仏軍が苦戦したことで有名のようだけど、いつものようによく知らないのでヒストリカルノートを読み返してみた。

 ロシア軍に押され気味になった仏軍は中央でオージュローの第VII軍団を投入。だが猛吹雪のために誤って敵の真正面に出てしまった仏第VII軍団はロシア軍の猛攻をくらって敗走、仏軍中央に大きな穴が生じた。これぞ好機と、ロシア軍はナポレオンとその幕僚たちがいるアイラウ村に向かって総攻撃をしかける。ナポレオンは退却するか親衛隊を投入するかの選択を迫られた…

 というのが今回プレイする「La Garde veille!」のアイラウ墓地シナリオ。危機に陥ったナポレオンを救うため、親衛隊がロシア軍に反撃するという燃えるシチュエーションである。ゲームは以前AARを書いた「La Garde avance!」と同じくJours de Gloire(JdG)シリーズ。1へクス100m、1ターン15分と「La Garde avance!」とほぼ同じスケールである。

 仏軍は騎兵、砲兵、歩兵と一見兵種のバランスが取れているように見えるうえ、後方に超強力な親衛隊5ユニットが控えている。だが、実際のアイラウ戦ではこれらの部隊は戦闘に参加しなかったようで、このゲームでは投入できるようになっているものの、勝利得点でかなりのペナルティが課されるため仏軍は安易に使えない。そのため、仏軍が実質的に使える歩兵はDorsenneの部隊の親衛擲弾兵第I連隊第I大隊の1ユニットだけだ。 

 一方、ロシア軍は2部隊からなりすべて歩兵で構成されている。両部隊とも6ユニットあるが、右翼(マップ上方)のEssenの部隊ほうがやや質が高い。デザイナーズノートによると、アイラウ戦のロシア軍部隊についてははっきりわかっていないのだが、テストプレイチームの一員がロシア語の資料にあたったおかげでこのゲームの2つのシナリオに登場するロシア軍の戦闘序列に根拠を持てたそうだ。

 マップ中央やや左寄り、上端から中央にかけてがアイラウ村である。村を守っていた第IV軍団の部隊は、このシナリオでシミュレートする戦いには直接は加わっていなかった。だが仏軍の反撃の左翼をカバーする働きがあったそうで、これを表すために(先日のブログでも書いたけど)ユニット化されずにマップ上で赤いシルエットで表され、村へクス固有の防御値になっている。

 ナポレオンのいるマップ中央部には教会と墓地2へクスがあり、ロシア軍はゲーム終了時に占領しているとヘクスごとに4勝利得点を得られる。また教会に置かれている移動不可の軍医Larreyマーカーもロシア軍の得点源なので、マップ中央部目指してロシア軍は攻撃を仕掛けることになる。


●第1ターン

 ロシア軍が前進を開始する。フランス軍はSoulèsの砲兵でナポレオン前面の防御態勢を強化。そしてBruyèresの騎兵部隊で右翼(マップ下方)をカバー。ロシア軍右翼(マップ上方)のEssenは非命令下(Sans Ordres)だったが指揮官のイニシアティブ値(Valeur d'initiative)を使ったチェックに成功、命令下の左翼Dokhtourovにさほど遅れることなく前進した。

 このシナリオでのロシア軍総指揮官(général en chef)Dokhtourovの命令値(Potentiel d’ordre)は1なので、ロシア軍は2つの部隊のうちどちらかしか命令下(Ordres Reçus)にできない。非命令下だと移動力が半減など行動に制限が出てしまうので、どちらの部隊を命令下にするかロシア軍は悩みどころである。ただし露軍の両部隊とも2枚の活性化チット(Marqueur d’Activation, MA)うち1枚はイニシアティブ値4で、総指揮官の指揮範囲にいるとDokhtourovのダイス修正値(Modificateur au dé, MD)1が加わって、非命令下の部隊でも60%の確率で命令下にすることができる。一方のナポレオンの命令値は2であるうえダイス修正値も2なので、部隊運用の柔軟性はフランス軍のほうがかなり上である。

(なおJdGのルールに関しては以前、「La Garde avance!」のAARを書いたときに結構触れたのでそっちを見てみてください。それと用語の訳については、これも「La Garde avance!」のAAR同様に自分の好きな言葉を当てています。

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ①)


つづく





親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part2

 ●第2ターン  このターン、戦略イニシアティブ(initiative stratégique)を握ったのはロシア軍だった。Jours de Gloireシリーズでは戦略イニシアティブを得たプレイヤーは最初に活性化する部隊を選ぶことができる。ロシア軍は左翼(マップ下方)のDokh...