もう一ヶ月以上前になるけど、7月に参院選があり、その結果はさておき民主主義がきちんと機能するためには不断の努力が必要、と昔習ったことを改めて実感。民主主義と言えばその大きな源泉の一つが古代ギリシア。その古代ギリシアが危機に陥ったのが、紀元前5世紀のペルシア戦争で、東方の大国に対し、アテネの民主主義のみならずギリシアの自由を守った戦いである。民主主義の重要性に思いをはせつつ、この戦争をシミュレートしたゲーム「300」をやってみた。
…というのはウソで、7月発売だったVaeVictis181号の付録が古代戦だったからたまには古代ものをやってみるか、と思った次第。VV181号のゲームは「Hamicar Imperator: La guerre des mercenaires」という、第一次と第二次のポエニ戦争の間の、傭兵の反乱鎮圧をシミュレートしたもの。ハンニバルのお父さんが主役なんだけど、こんな戦いがあったなんて知らなかった。ヒストリカルノート読むだけでも勉強になったなあ。
「300:ギリシア・ペルシア戦争」はボンサイ・ゲームズから出されていて結構いい評価を目にするので、日本のウォーゲーマーの間ではよく知られているんじゃないかと思うけど、システムについてはこちらのブログで簡潔かつ分かりやすく書かれているので興味惹かれた方はこちらをどうぞ。
https://ameblo.jp/syuku-32/entry-12434024481.html
ただ、自分が持っているのはスペインのDraco Ideasから出されたスペイン語版、「300: Tierra y Agua」。日本語のオリジナル版は持っていないだよね。とほほ。このAARでのゲーム用語などの訳は我流なので、オリジナルの日本語と違っている場合があるんじゃないかと思う。
マップや駒はこんな感じ↓。オリジナルの日本語版では赤がペルシア、青がギリシアになっているようだけど、スペイン語版のほうでは逆。なんでだろうね。テルモピュライやマラトンとか、大軍に屈せず闘志に燃えるギリシアのイメージなのかな。
●第一次遠征
ペルシア軍はへレスポントス、今のダーダネルス海峡に架橋してアジアとヨーロッパをつなぐ。このゲームではターンの最後のほうにある補給フェイズ(Fsase de suministros)のときに自軍の重要都市(ciudades importantes)と連絡線(líneas de comunicaciones)がつながっていない陸軍は除去されてしまう。つまりギリシア本土に侵攻したペルシア軍はこの橋が無かったらターンの最後には消えてしまうのである。陸路ではなく海路で連絡線をつなぐこともできるけど、制海権はギリシアが握る可能性が高いので、架橋して陸路での連絡線を確保するのはペルシア軍にとって定石と思われる。
ただしこの橋は高価である。各遠征につき、ペルシア軍はギリシア軍の倍の12タレント(talento)の資金を得るのだが、架橋にはその半分の6タレントを消費してしまうのだ。そのため、本格的な侵攻は次回以降とし、ペルシア軍はへレスポントスを渡ってPella、そしてLarissaに進出するにとどめた。
ちなみにこの橋、史実ではクセルクセス1世が作ったようで、ゲームではpuente de pontonesとあるので多分、船を並べて橋にしたんだろうなあ。あの海峡は見たことあるけど、実際狭いので、物量にものを言わせて橋を作っちゃったんだろうなあ。
ペルシア軍の進出を受けたギリシア軍は、その連絡線を断とうとPellaに強襲上陸を試みる。このゲーム、質のギリシアvs量のペルシアという感じで、ギリシア軍は結構強力である。だがペルシア軍が奮戦、上陸してきたギリシア軍を壊滅させた。
●第二次遠征
敵の攻撃を撃退し幸先のいいスタートを切ったペルシア軍。大軍を徴集してギリシア本土の核心部に侵攻、と思いきや、 引いたカードが「大王の急死」(Muerte Repentina del Gran Rey)。ダレイオス一世が病死し、遠征は取りやめとなった。
●第三次遠征
「まあ大王が急死することだってあるさ」と平静を装いつつ第三次遠征の準備を始めたペルシア軍だが、またも「大王の急死」を引いてしまう。今回はクセルクセス1世が暗殺され、再び遠征は中止。笑いが止まらないギリシア軍プレイヤーに腹立ちをこらえつつ
「逆に考えるんだ。もう大王は死なないからあと2回は確実に遠征ができるんだ」
と自分に言い聞かせるペルシア軍プレイヤーである。
(つづく)










