2022年7月29日金曜日

スコットランドの独立のために-Freeedooom!!  Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ③

  自由活性を得たイングランド軍はエドワード二世(水色)を活性化させ、混乱状態の槍兵の回復に努めるとともに、右翼(マップ上方)の長弓兵2ユニットを前線に出す。そして敵の中央主力が出遅れているのを見たグロスター伯(黄色)が、重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)で左右に突撃を仕掛ける。槍兵(Pike, PK)1ユニットが壊滅、1ユニットが敗走(Retired)した。

 だがスコットランド軍の中央主力を率いるロバート一世(黄色)が即座に反撃。グロスター隊のMMを1ユニット壊滅させた。


 このスコットランド王ロバート一世、映画「ブレイブハート」ではいまいち頼りないというか優柔不断な感じで描かれているが、この戦いのときは脂ののった40歳で、少数の兵でイングランドの大軍に立ち向かっている。このゲームで描かれている戦いの前日に行われた前哨戦では、敵指揮官と一騎打ちをおこなって戦斧で相手の頭を真っ二つに叩き割り、スコットランド軍の士気を大いに高めたそうだ。

 ロバート一世はバノックバーンの大勝によってイングランドの脅威を打ち払っただけでなく、独立した王国としてのスコットランドを確立しているのである。スコットランド人にとってこの勝利は神話のごとく語り継がれるものになったらしい。ウィリアム・ウォレスよりすごいんじゃないの。

 ちなみにイングランドは1066年のノルマンコンクエストでフランスからノルマン系の貴族が多くわたってきたが、スコットランドもノルマン系の貴族が多かったらしい。ロバート一世のブルース家もノルマン系だそうだ。なんか、一騎打ちをやって斧で相手の頭を叩き割るなんて、荒ぶるヴァイキングの血が脈々と受け継がれている感じ。「ヴィンランド・サガ」でも結構斧を使ってますよね。3世紀ぐらい時代が離れているけど。

 さらにちなみに、ヴァイキングと言えば映画「The Northman」が公開されましたね。https://www.focusfeatures.com/the-northman 

アムレートというスカンディナヴィアの伝説上の人物をもとにした映画だそうだけど、このアムレート、シェイクスピアの「ハムレット」の主人公の原型となったと言われている。


 閑話休題。他の部隊もロバート一世に続け、活性化値の高さは伊達じゃないはず、と言いたいところなんだけど、継続活性に失敗。60%の確率で成功するはずなんだけどな。

スコットランド軍、イングランド軍ともに継続活性に失敗し続け、交互に1部隊ずつの活性化が続く。イングランド軍は両翼の長弓兵の部隊で射撃、スコットランド軍も両翼の部隊で射撃&白兵戦。だが両軍ともに相手に大きな損害を与えることができない。


 イングランド軍は先ほど突撃したグロスター伯の重装騎兵部隊(黄色)を動かす。中央から左右に分かれるように攻撃していったため、左翼方面(マップ下方)に混乱状態で残っていた1ユニットを部隊主力のほうに退避させるとともに、右翼方面で攻撃。混乱状態だった槍兵を敗走、長弓兵を壊滅させる。さらに継続攻撃(Continued Attack)で敵マレー伯のもとまで切り込み、戦斧兵(Axe Infantry, AX)を混乱状態にした。

 重装騎兵部隊の猛攻にスコットランド軍は冷静に対処。突出してきた重騎兵を包囲攻撃で敗走させる。そして右翼(マップ下方)のキャリック伯が前面のイングランド軍左翼に射撃&白兵戦攻撃。ここのクリフォード隊(青)には長弓兵4ユニット、クロスボウ2ユニットがあったのだが、長弓兵は半減、さらに残っているユニットも半数が混乱状態となった。


 左翼が押され気味なのを見て、イングランド軍は増援をマップ右下端から登場させる。増援はエドワード隊(水色)に所属していて本隊とは離れた位置に現れることになるが、長弓兵3ユニットが含まれているため、長弓兵が消耗している左翼を強化できるはずだ。

 そうはさせるか、とスコットランド軍はSeizureカウンターを使って継続奪取(Seizure)を試みる。増援が攻撃してくる前に敵左翼にさらなる損害を与えてモメンタムを維持するのだ。だが70%の確率で成功するはずだったが、失敗。自由活性を得たイングランド軍はエドワード二世を活性化させる。増援として登場した長弓兵3ユニットが急進、スコットランド軍右翼キャリック伯の長弓兵を敗走、槍兵を壊滅させた。


 初期配置では分散していたエドワード隊(水色)も、エドワードの周りに集まって混乱状態から回復してきている。スコットランド軍は右翼に現れた敵増援の長弓兵に加え、エドワード本隊の多数の槍兵が戦闘に参加するようになったらかなり苦戦することになるだろう。そうならないうちに高い活性化値を生かして戦いのイニシアティブを握り、イングランド軍に有効な対応をする余裕を与えないようにしたい。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月27日水曜日

スコットランドの独立のために-Freeedooom!!  Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ②

  両プレイヤーがサイコロを振り、イングランド軍先攻となった。まずはエドワード二世(水色)を活性化。混乱状態(Disordered)で散らばっている多数の槍兵(Pike, PK)を集結させるとともに、マップ右下にある増援登場へクスをエドワード隊の槍兵が塞いでいるため、空けて増援が登場できるようにするためだ。

 増援は長弓兵(Longbow, LB)3ユニットと槍兵4ユニット。槍兵は他のユニット同様混乱状態で登場しエドワードの指揮範囲に入らないと回復できない。しかも指揮範囲外状態(Out of Command)のユニットは接敵できないため、はっきり言って増援の槍兵には期待ができない。だが長弓兵3ユニットは強力だ。指揮範囲外でも射撃ができるので、スコットランド軍右翼(マップ下方)を脅かすことができる。

 続けてグロスター伯の部隊(黄色)を継続活性。一人突出しているグロスター伯ギルバート・ド・クレア(Gilbert de Clare, 8th Earl of Gloucester)を自部隊のところまで退避させる。さらに左翼(マップ下方)のロバート・クリフォード(Robert Clifford, 1st Baron de Clifford)の長弓兵中心の部隊(青)が継続活性に成功。長弓兵とクロスボウを前進させて戦列を引く。


 イングランド軍が着々と態勢を整えていったが、やっとスコットランド軍に自由活性が移る。スコットランド軍の槍兵はシルトロン(Schiltron)という防御隊形で初期配置されている。シルトロン状態の場合、移動や攻撃はできないが、戦闘結果で退却が出ても無視できるうえ、他のシルトロン状態のユニットと隣接している場合、側面(flank hex)も前面(front hex)として扱われて攻撃を受けても不利なサイの目が発生しない。さらには重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)はシルトロンの槍兵の前面から突撃(Charge)はかけられないうえ、白兵戦(Shock)で攻撃しようとしても白兵戦忌避チェック(Shock Reluctance DR)に成功しないといけない。

 というようにシルトロンはいろいろと防御に有利なうえ、スコットランド軍はかっちり戦列を引いており両翼は小川(Burn)などによって守られている。このまま固く守っていたらいいんじゃないのと思ってしまうんだけど、この戦いではスコットランド軍は積極的に攻撃をしかけないといけない。そもそも時間制限(Timed Engagement)がスコットランド側にかけられているうえ、守っているだけだと分散して混乱状態だったイングランド軍の多数の槍兵が態勢を整えるだけでなく、長弓兵による射撃で一方的に損害を受けることになりかねない。スコットランド軍としては、自軍指揮官の高い活性化値を生かして積極的に攻撃していく必要があるのだ。


 スコットランド軍右翼(マップ下方)のキャリック伯エドワード・ブルース(Edward Bruce, Earl of Carrick)の部隊(緑)がシルトロン状態を解除して前進し、長弓兵は敵と射撃戦を開始する。ちなみにこのエドワードは中央で主力を率いるスコットランド王ロバート一世の弟である。

そして左翼(マップ上方)のマレー伯トーマス・ランドルフ(Thomas Randolph, 1st Earl of Moray)の部隊(水色)が動く。長弓兵で射撃戦を仕掛けたのち、槍兵が前進して白兵戦に持ち込む。


 Men of Ironシリーズでは敵の長弓兵など射撃ユニット(Missile Unit)の前面へクスに移動した場合、対応射撃(Reaction Fire)を受ける。隣接へクスへの長弓兵の射撃は+2DRMとなり、70%の確率で混乱してしまう。対応射撃を受けたのち、混乱状態で白兵戦を仕掛けると-2DRMと不利になるのだが、MoIシリーズの白兵戦では攻守の兵種の組み合わせでサイの目修正が発生し、槍兵が長弓兵を攻撃する場合は+2となるので混乱状態での攻撃の-2は相殺される。さらに長弓兵の白兵戦防御DRM(Shock Defense DRM)は+1なので、それらを合計すると混乱状態で攻撃しても+1のサイの目修正となるのだ。

 長弓兵の数で劣るスコットランド軍としては射撃戦だけやっていると不利になる。そのためスコットランド軍は長弓兵からの対応射撃を受けながらも積極的に突っ込んでいったのだ。長弓兵に突進していくというとクレシーやポワティエ、アザンクールの悲惨な結果が思い浮かぶけれど、あれはすべて思い上がったフランス軍の愚行、じゃなかった長弓兵が防御に適した地形に陣取っていたときの話。このバノックバーンでは長弓兵は平地(Clear)にいるため白兵戦の攻撃をもろに受ける。

 ただし敵の対応射撃で混乱状態になったユニットは、射撃にはかなり脆弱になり、白兵戦ののちイングランド軍に活性化が移ると長弓兵のいい餌食になってしまう。だがスコットランド軍は高い活性化値を誇るのだ。継続活性でたたみかけ、敵に対応する余裕を持たせることなく複数の方面で圧迫し続ければいい。


 という目論見で積極的に打って出て、槍兵3ユニットが敵長弓兵に接敵する。1ユニットが対応射撃で混乱状態になったが、他の2ユニットは無傷。ラッキー。だが続く白兵戦ではサイの目が悪く、長弓兵に対する3つの攻撃がすべて失敗におわる。さらには継続活性に失敗、イングランド軍に自由活性が移る。あれ、やばいんでないの。



つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月25日月曜日

スコットランドの独立のために-Freeedooom!!  Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ①

  スコットランドといえば、ウィスキー、それにええと、なんか寒そうなところ? あ、そうだ、バグパイプもスコットランドでしょ? ぐらいしかイメージが浮かばなくて、2014年に独立を問う住民投票を実施というニュースを見たときには、なんで独立なの、とピンとこなかった。高校の世界史で、エリザベス女王の後にイングランドと同君連合になってステュアート朝が成立したって習ったのは覚えているけど、思い出せるのはそれぐらい。

 ステュアート朝までのスコットランドの歴史をちょっと調べてみると、一応独立した王国としてずっと続いていたらしい。でもまあ基本、イングランドにやられっぱなしというか、イングランドの目が大陸に向いているときにフランスと組んで後ろからちょろちょろと手を出したり、薔薇戦争などイングランド内部のごたごたに乗じて兵を出したりするけれど、イングランドが本気で攻めてきたらあっという間に負けてしまう、という感じの歴史らしい(スコットランドのみなさん、ごめんなさい)。


 そんなスコットランドにとって貴重な勝利が、1314年のバノックバーンの戦いなのである。このバノックバーンでイングランドに負けていたら、ウェールズ同様イングランドの植民地になっていただろう、と書いている本もあったりする。

 前述の2014年の住民投票はバノックバーン700周年にあたり、おそらくスコットランド人のイングランドに対する敵愾心、じゃなかった独立心が刺激されたんでしょうな。バノックバーン関連の本もいくつかこの年に出版されている。

 イングランド出身の知り合いは「え、スコットランド独立の住民投票? いや……現実的じゃないというか、独立したって経済的にやっていけないでしょ」とちょっとあきれ顔で言っていたけど、スコットランド人にしてみたら経済ではなくプライドの問題なのでしょう。

 イングランドに大勝しスコットランドの独立を守ったバノックバーンの戦いは、SPI/S&TのThe Great Medieval BattlesシリーズやポーランドのTaktyka i Strategiaからもゲームが出されている。BGGかどこかで、スコットランド人としては買わざるを得ないと書いている人もいたな。


 でもスコットランドでイングランドに立ち向かったと言えば映画「ブレイブハート」のウィリアム・ウォレスでしょ、と思うかもしれない。けれど、ウォレスが活躍したのはバノックバーンのちょい前。スコットランドに侵略し「スコットランド人への鉄槌(Hammer of the Scots)」と呼ばれるイングランド王エドワード一世に対してウォレスは立ち上がったものの、最後は捕らえられ、「フリーダーム!」と叫んで処刑される。で、あの映画の最後に描かれているのがバノックバーンである。(ちなみに、Hammer of the Scotsというゲームもある)


 というわけで、Men of Iron Tri-Packのバノックバーンをやってみることにした。MoIは正直、バランスがよくないシナリオが結構あるが、このバノックバーンはバランスが取れているらしい。そもそも、最初の活性化も両軍がサイコロを振って大きめを出したほうから始める、というもの。初期配置は写真のとおり。兵数で勝るうえに長弓兵の数も多く、さらには強力な騎兵も擁するイングランド軍に対し、指揮官の活性化値の高さで対抗するスコットランド軍という戦いになる。なお、スコットランド軍の槍兵(Pike, PK)はシルトロン(Schiltron)という防御隊形となっている。



 イングランド軍最大兵力を率いるのがイングランド王エドワード二世(水色)なのだが、活性化値が2と低いうえに、指揮範囲も2しかない。そのうえ麾下の部隊は戦場に広く散らばっており、その大兵力を有効に活用すのはむずかしい。

 さらに、混乱状態で行軍した挙句に前夜は湿地帯で野営したことを反映して、イングランド軍の槍兵(Pike, PK)はすべて混乱状態でゲームを開始する。そして最初の混乱状態からの回復には、自隊指揮官の指揮範囲にいないと回復できないという特別ルールがある。士気範囲2しかないエドワード二世が自隊の槍兵を混乱状態から回復させるには結構時間がかかるはずだ。


 一方のスコットランド軍は、総指揮官(Overall Commander, OC)ロバート一世(King Robert I)の活性化値が5,さらに他の2人の指揮官の活性化値は4と高い。しかもロバート一世は活性修正(Effectiveness)という値も持ち、指揮範囲内にいる指揮官は継続活性のサイの目が1有利になる。見てのとおり戦場は広くないので2人の指揮官はロバート一世の指揮範囲にとどまり続けるだろうから、実質的にスコットランド軍は3人の指揮官全員が活性化値5ということになるのだ。

 ちなみに、イングランド軍の指揮官の活性化値は、2しかないエドワード二世のほか、騎兵部隊の指揮官二人が4,長弓兵部隊の指揮官二人が3である。


 スコットランド軍の不利な点と言えば兵数で負けているということ。特に長弓兵の数ではスコットランド軍6に対しイングランド軍は計16もある。騎兵に関しても、イングランド軍には重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)がいるのに対し、スコットランド軍はHobilarという軽騎兵が2ユニットしかいない。ただ両側を川に挟まれた比較的狭い戦場であることを考えると、騎兵が活躍できる余地はそれほどなく、スコットランド軍にとっては敵長弓兵にどう対処するかが問題になる。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月21日木曜日

アンナ・コムネナに見送られて Dorylaeum 1097 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack(GMT) AAR ⑥

  トルコ軍の騎兵集団の前に、歩兵部隊が危うくなっている十字軍。増援としてマップ右端から現れたサン・ジル隊がトルコ軍左翼のハサン隊に突撃する。接近戦に弱いトルコ軍は騎士によって瞬殺され、敗走していく。異教徒どもめ、騎士の威力を見たか。反撃ののろしだ!


 トルコ軍はサン・ジルの攻撃を受けたハサン隊が反撃。騎士の集団相手に戦っても負けることは目に見えているのだが、少しでも損害を与え攻撃力をそぎ、時間を稼ぐのだ。その間に中央の部隊が十字軍の歩兵どもを駆逐してくれるはず。ハサンよ、頼む。

トルコ軍はさらに気合で継続活性に成功。中央主力のアルスラン隊が射撃と白兵戦で歩兵部隊を次々に壊滅させていく。ロベール隊もついに全滅し、十字軍の累積FP65に上った。10面体サイコロを振って出た目を足して、敗走レベルの70を越えれば十字軍の負けとなり、トルコ軍は勝利するのである。

 一方トルコ軍の累積FPはいまだ21。敗走レベルの45まではまだ余裕がある。左翼のハサン隊が敵増援部隊を足止めしている間に十字軍にとどめを刺すのだ。


 このままではやばい十字軍。全力で攻撃しなくては。アデマール隊が突撃でハサン隊の軽弓騎兵を壊滅させていく。自由活性の際の敗北チェックものりきり、サン・ジル隊が継続活性に成功。アデマール隊に続きハサン隊に突撃していき、トルコ軍の累積FPは27に。

このまま十字軍騎士集団に好きなようにさせていてはまずい。トルコ軍はSeizureカウンターを使用して継続奪取(Seizure)を試みる。成功確率70%だったが、失敗。十字軍が自由活性を得て、アデマールが再び突撃でハサン隊に壊滅的打撃を与える。ハサン隊の軍旗まで敗走していた2ユニットも壊滅。トルコ軍のFPは33に上った。

 自由活性化のあとの敗北チェックに望みをつなぐトルコ軍。だがサイの目は4で十字軍は崩壊せず。早くこっちに活性化が回ってきてくれと焦るトルコ軍だが、サン・ジルが継続活性に成功する。活性化値5は伊達じゃない。騎士の破壊力を見せてやる!

 十字軍の増援騎士集団の連続攻撃でハサン隊はほぼ壊滅。トルコ軍の左翼は崩壊した。増援部隊の活性化値の高さを生かした4回連続の騎士集団の攻撃はすさまじく、トルコ軍の累計FPは21から一気に37になった。


 やっと自由活性を得たトルコ軍。右翼(マップ左方)ダニシメンド隊の軽弓騎兵で囲んでボエモンドの最後の騎士を射撃で壊滅させようとするが、スカ。ボエモンド隊最後の意地を見せる。だが歩兵を射撃で混乱させていった。

 ここで敗北チェック。トルコ軍の累計FPは37,敗走レベルは45だ。振ったサイの目は8でぎりぎりセーフ。あぶねー。そして二度敗北チェックをしのいだ十字軍だが、累積FPが65でサイの目は、6。十字軍の敗北となった。

 今回はトルコ軍が勝てたけど、いやー、もう、騎士凶悪。突撃から継続攻撃で切り込んでくるのは当たり前だし。十字軍側の継続活性のサイの目が悪くて、初期配置のロベール隊とエドモンド隊が連携して反撃できていなかったけど、もしこの二つの騎士集団が連続して攻撃できていたら早い段階でトルコ軍もかなりの損害を受けていたはず。それに十字軍の援軍の登場がもう少し早かったら勝敗はどうなっていたことかわからない。ヒヤヒヤものの勝利でした。

 アンナは歴史書「アクレシアス」でこの戦いについて、ローマとケルトの勝利って書いている。ローマはビザンツ、ケルトは西欧人のことだけど、ほとんどビザンツ軍は参加してないじゃん。今回のようにトルコ軍の勝利に終わっていたら、ラテン(西欧のこと)の蛮族たちはお父様の賢明な忠告を聞かずに攻めていき、トルコの蛮族に敗れたって書くのかな。何はともあれ、このあと第四回十字軍によってコンスタンティノープルを取られたり、ずっと四方を蛮族に囲まれたりしながらもビザンツ帝国は生き残り、さらに約350年の命脈を保つのでした。


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月17日日曜日

アンナ・コムネナに見送られて Dorylaeum 1097 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ⑤

  援軍があと少しで来る。それまで耐えるんだ! と、十字軍のロベール隊が必死の反撃。混乱状態での攻撃だったがさすがは騎士、2ユニットを敗走させた。

 だがトルコ軍主力のアルスラン隊が数の暴力をふるう。騎士が3ユニット壊滅し、十字軍の累計FPは46に上った。もう騎士もほとんど残っていない。あとは歩兵どもを駆逐するのみ。この開けた地形で、騎士の援護のない歩兵など赤子同然よ。


 窮地に立たされた十字軍だが、トルコ軍が継続活性に失敗し、自由活性を得た。増援登場チェックである。これまで4回失敗しているためサイの目7以上で成功する。主よ、我らを異教徒どもから救いたまえ! と振ったサイコロは8。おおおおお、援軍が来たぞ‼

 

活性化値5を誇るサン・ジルが騎士6ユニットを率いて駆け付けた。援軍の登場に勇気づけられたか、ボエモンド隊が突撃、さらに継続攻撃で敵軍深くに切り込んでいく。これまでさんざん袋叩きにしてくれたな。増援さえくればこっちのもんじゃー‼


 増援は1部隊ごとに自由活性を使わないと登場できないため、逐次投入となる。トルコ軍としては敵が本格的な反撃に出る前に、十字軍を崩壊に追いやらなければ勝利は望めない。

 トルコ軍はロベールやボエモンドの残存騎士ユニットに射撃と白兵戦をしかけるものの、多くが失敗。1ユニットを壊滅させるにおわった。だが数の多さを利用して、ほかの中弓騎兵は十字軍歩兵部隊に攻撃をしかける。射撃で混乱させた後、白兵戦で敵陣に突入。十字軍なんぞ、騎士以外は恐るるに足らんわ!


 トルコ軍が十字軍の歩兵部隊に迫り、「きゃー、ラテンの蛮族はやられてもいいから、ローマの軍隊は無事でいてー!!」とアンナちゃんが言いそうなシチュエーションである(当時、ビザンツでは自分たちをローマ、西欧人をラテンと呼んでいました)。この戦いの十字軍の歩兵部隊には、ビザンツが道案内としてつけたタティキオス(Tatikios)の小部隊もいる。漫画「アンナ・コムネナ」では皇帝アレクシオスがタッちゃんって言っていますね。

 アンナ・コムネナの著書「アレクシオス」では西欧人のことをときどき蛮族って呼んでいて、金に貪欲って何回も繰り返し書いているし、アンナ様はかなり西欧人のことが嫌いだったんでしょうなあ。


 十字軍はサン・ジルに続いて騎士9ユニットを率いて司教アデマールが到着。だが登場エリアには歩兵部隊がいて増援が一気に展開できない。


 このマップ右下の増援登場エリア近くにいる歩兵部隊は、隠者ピエールの率いていた民衆十字軍である。諸侯たちの軍隊が来るより先にやってきたのだが、ほとんどが農民や都市の下層民で武器も持たず、コンスタンティノープルに来る途中でも略奪を繰り返していたらしい。漫画「アンナ・コムネナ」では「村を襲って住民を串刺しにしたり火あぶりにしたり赤ちゃんを切り刻んだりするなんて!」と十字軍にドン引きしているけれど、「アレクシアス」では隠者ピエールに率いられた十字軍のこととして書いている。このドリュラエウムの戦いの前に皇帝アレクシオスの忠告も聞かずにアナトリア半島に渡ってトルコ軍に虐殺されており、その生き残りが第一回十字軍について行っていたのだ。


 このゲームでは民衆十字軍は足手まといというかはっきり言って邪魔で、一部槍兵(Pike, PK)がいるものの、多くはCamp Followerといって要は軍隊について行っている一般民衆だから戦闘の役に立つことはほぼ皆無。十字軍プレイヤーとしてはクレシーのクロスボウのごとく騎士で踏みつぶしていきたいのだが、巡礼を守るはずの十字軍がそれじゃ本末転倒でしょ。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月15日金曜日

(幕間)アンナ・コムネナのお父様の若かりし頃 - Kalavryai 1078 (VaeVictis 87)

  ドリュラエウムの戦いのAARが途中だけれども、ちょっとアンナ様ネタを。


 十字軍とセルジューク・トルコ軍が衝突したドリュラエウムの戦いの約20年前。まだ20代の将軍だったアレクシオス・コムネノスは、バルカン半島で起きたビザンツ帝国に対する反乱の討伐に派遣される。兵の数でも質でも劣っていたにもかかわらず、カラヴリエの戦いで反乱軍を打ち破ったこの若き将軍が、のちの皇帝アレクシオス一世、つまりアンナ・コムネナの父親である。

 反乱を起こしたニケフォロス・ブリュエンニオスは一万二千の兵を集め、しかもその多くは戦闘経験豊かな兵士。一方、アレクシオス側は二、三百のノルマン人傭兵のほか、アナトリアから派遣された部隊やセルジューク・トルコからの援軍二千など雑多な部隊で構成されていた。アンナによると、不死隊と呼ばれる部隊もいたそうだけど、名前だけで戦闘経験はほぼゼロだったそうだ。ビザンツの最盛期となったバシレイオス2世の治世から約50年、帝国の栄光は過去の遠いものとなり、実際このカラヴリエの戦いの数年前にあったマンジケルトの戦いではビザンツ軍はセルジューク・トルコに大敗している。

 だがカラヴリエの戦いではブリュエンニオス側の同盟者である遊牧民ペチュネグ人が勝手に略奪行為に走ったり、アレクシオスが待ち伏せ攻撃をしかけたりして皇帝軍の勝利となる。アンナの書いた歴史書「アレクシアス」では結構な分量を割いてこの戦闘について描写しているけど、そりゃお父様の活躍場面ですからね。

 ちなみに負けたニケフォロス・ブリュエンニオスは当時の皇帝の命令で目をつぶされるが、その同名の孫がアンナ・コムネナの夫なのである。このことは漫画「アンナ・コムネナ」でも触れられていますね。


 このカラヴリエの戦いがVae Victis誌87号の付録ゲームとなっている。買った当時、ユニットを自作して2,3回プレイした記憶はあるけれど、ふーん、ビザンツね、まあいろいろ反乱があったでしょうね、ぐらいにしか思っていなかった。アンナ様、ごめんなさい、あなたのお父様だなんて思っていませんでした。で、今回nyaoさんが漫画「アンナ・コムネナ」を紹介してくれたおかげで久しぶりに取り出してみる気になったわけである。



 ゲーム自体はÀ la charge(犠牲において)というシリーズの最初期のもので、中世の会戦を簡単なルールで再現している。ユニット数は20数個、マップも小さいミニゲームだ。皇帝軍の伏兵やペチュネグ人の裏切りルールもある。アンナのパパの野戦修正値(スタックしているユニットの戦闘力にプラスする)は2で、敵のブリュエンニオスは1。やっぱりお父様、若い時からすごいんだわ! とアンナ様が喜びそうなレーティングである。


 漫画「アンナ・コムネナ」は早々に売り切れて重版出来となったみたいだから、VaeVictisもこのゲームを再販して「アンナ・コムネナのお父様の活躍がここに!」みたいな感じで宣伝すればあの漫画のファンに売れるはず。いや、売れないだろうな…。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月13日水曜日

アンナ・コムネナに見送られて Dorylaeum 1097 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack(GMT) AAR ④

  トルコ軍の弓騎兵の大群によってさすがの十字軍の騎士も次々と壊滅し、騎士集団の指揮官が二人とも討ち死にしてしまった。Men of Ironシリーズでは指揮官が戦死した場合、副官(Replacement leader)が次の自軍移動フェイズに登場する(副官が用意されていない指揮官もいる)。活性化値が1低いため、副官に率いられた部隊は積極的な行動がしにくくなる。

 副官の指揮のもと、ロベール隊は右翼が後退、左翼は混乱状態のユニットの回復に努める。自隊の活性化中に敵に接敵せずに移動も何もしなければ混乱状態から回復できるのだが、ボエモンド隊が多大な損害を被りつつも積極的に反撃してくれていたおかげでロベール隊とトルコ軍弓騎兵の間にわずかながら間合いが生じていたのだ。騎士が正常状態になれば、突撃にカウンターチャージなど再び強烈な攻撃力を発揮することができる。

 

 一方トルコ軍は、騎士たちに反撃の機会を与えてはならないと、中央主力のアルスラン隊でロベール隊に膨大な量の弓矢を降り注ぐ。ロベール隊戦列最右翼の騎士を混乱させ退却させれば、戦列の亀裂が広がってそこからなだれ込めるのだ。だが、7回射撃を行っても騎士は無傷。ええい、連邦のモビルスーツは化け物か!! 結局、包囲して騎士を1ユニット屠ったものの、射撃・白兵戦ともにサイの目が振るわず思うように十字軍に損害を与えられない。



 トルコ軍は続けて右翼(マップ左方)のダニシメンドの軽弓騎兵を動かす。ダニシメンドはトルコ軍中央主力を率いるアルスランとは仇敵の間柄だったそうで、それを反映してか活性化値が2と低い。だがMen of Ironシリーズでは総指揮官(Overall Commander, OC)には活性修正(effectiveness)という値があり、士気範囲にいる他の指揮官の活性化チェックのサイの目を有利にする。トルコ軍の総指揮官アルスランは活性修正は-1(サイの目が1有利になる)なので、トルコ軍は両翼の部隊指揮官がアルスランの士気範囲にいるように部隊を展開しているのだ。


 ゲーム開始直後からトルコ軍の怒涛の攻撃を受け、十字軍は20ユニットある騎士の半数以上が壊滅した。残っているユニットも多くが混乱状態だ。このままではトルコ軍騎兵集団の波に飲み込まれてしまう。

だが、十字軍には援軍があるのだ。実際のドリュラエウムの戦いでも、離れた位置にいた十字軍の別動隊が駆け付け、ボエモンドたちの窮地を救いトルコ軍を敗走させている。


 このゲームの十字軍の援軍は強力で、5部隊で計32ユニットもあり、しかもそれがすべて騎士なのである。


 指揮官の活性化値も高く、トゥールーズ伯レーモン・ド・サン・ジル(Raymond IV, Count of Toulouse)にいたっては5だ。この援軍とまともに戦ってはトルコ軍に勝ち目はない。初っ端から全力で攻撃したのも、増援が現れる前に十字軍に大きな損害を与えておく必要があったからだ。


 アンナ・コムネナの著書「アレクシアス」には、増援部隊を率いる指揮官たちも登場する。第一回十字軍はビザンツ皇帝の要請から始まったということもあって、まずはコンスタンティノープルにやってきたのだが、ゲームで増援部隊として登場するロレーヌ公ゴドフロワ・ド・ブイヨン(Godfrey of Bouillon)は皇帝に忠誠を誓うことを要求されたが従わず、コンスタンティノープルを攻め始めるということをしている。

 漫画「アンナ・コムネナ」にもその辺のことが結構描かれていますね。十字軍を迎え撃つ夫ブリュエンニオスの凛々しい甲冑姿を見て「え? なに? 今の誰? アポローン!?」と美男の代名詞になっていたらしい古代ギリシアの神にたとえているシーンがあるけれど、歴史書「アレクシアス」でもちゃんとそういうことを書き残しています。ブリュエンニオス君、十年ぐらい前だったらリア充爆発しろって書き込まれてたでしょうな。

 アンナは、十字軍の中にはエルサレムに巡礼に行くふりをしながら皇帝を失脚させコンスタンティノープルを奪おうとしている連中もいる(特にボエモンド)とまで書いている。このゲームで増援部隊として登場するフランス王弟のユーグ(Hugh Capet, Count of Vermandois)なんかは、えらく尊大な態度だったらしい。でもコンスタンティノープルを攻めるゴドフロワを止めようとしたそうです。

 トゥールーズ伯レーモン・ド・サン・ジルに関しては、どんな時でも真実を尊重し、どの西欧人よりもあらゆる面で優れていると例外的にべた褒めだ。塩野七生は人望がなかったって書いてるけど。


 このゲームでは十字軍は自由活性を得るたびに増援の登場チェックを行える。10面体サイコロを振って11以上が出たら援軍到着である。え、11なんて出ないでしょ、と思ってしまうんだけど、チェックに失敗するたびにサイの目が1ずつ有利になるため、時間がたてばたつほど増援が現れる可能性が高くなるのだ。


 十字軍は騎士集団が半壊し、残るユニットもほとんどが混乱状態で反撃能力は激減してしまった。そして後方の歩兵部隊にトルコ軍の騎兵が迫る。


 十字軍の救援部隊は間に合うのか?!


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月9日土曜日

アンナ・コムネナに見送られて Dorylaeum 1097 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ③

  中央の主力アルスラン隊30ユニットが全力で攻撃をしかけたトルコ軍。ここでさらにたたみかけられればいいのだが、予想どおり他の指揮官は動かず、十字軍に自由活性が移る。


 十字軍騎士集団の第二列、ボエモンド(Bohemund I, Prince of Taranto)の部隊が左右に大きく展開、アルスラン隊を両翼から攻撃する。騎士の攻撃はすさまじく、継続攻撃(Continued Attack)も得てトルコ軍に次々に損害を与えていった。ほんと、中弓騎兵ってまともに戦ったら騎士には全くかなわない。騎士の集団って怖いよー。



 だがトルコ軍もやり返す。なにせハイパーアグレッシブに攻撃しないといけないからね。反撃してきたボエモンド隊の騎士をアルスラン隊が囲み、数にものを言わせて壊滅させていく。さらには左翼(マップ右方)のハサン(Hasan, Emir of Cappadocia)の部隊が前進、十字軍右翼に圧力をかける。


 ボエモンド隊は果敢に反撃。殴られたら殴り返す。ノルマン人をなめんじゃねえぞ。騎士3ユニットの突撃、継続攻撃でトルコ軍中央アルスラン隊の右翼が大損害を受けた。


 漫画「アンナ・コムネナ」ではアンナが十字軍の残虐行為にドン引きし、十字軍本隊が来ても信用しちゃダメ、と父アレクシオスに言うシーンがあって、

「中にはお父様の宿敵だったノルマン人ロベール・ギスカールの息子もいるんでしょ? 奴は絶対にこの都市の女王(コンスタンティノープル)を奪おうとたくらんでいるわ!」

というセリフがある。ここで言われているロベール・ギスカールの息子というのが、このボエモンドである。

 ロベール・ギスカールは兄弟でシチリア島と南伊を征服しさらにギリシアに攻めていくのだが、当時の南伊の先っぽとギリシアはビザンツ領で、ビザンツ帝国にとってはロベール・ギスカールは西から襲来した蛮族。その息子のボエモンドも父に従ってギリシアでビザンツ軍とガンガンやりあっていた。


 アンナの著書「アレクシアス」でもそのへんのことが書かれている。当然ボエモンドのことをよく描いているはずがなく、生まれつき嘘つきで信用なんかできなくて、十字軍に参加している性悪な連中のなかでも特に悪い、と言いたい放題。ただ見た目に関してはいい感じで描写しているけど。

 ところで塩野七生の「十字軍物語」ではボエモンドのことをプーリア公と書いていて、以前アンティオキアの戦いのAARを書いたときはその表現に従ったけど、ほかの本ではたいていタラント公って書いてあって、プーリア公としているのはなかったです。ロベール・ギスカールの死後、プーリア公を継いだのはボエモンドの異母兄弟のルッジェーロのはずなんだけどな。


 中央での殴り合が続いた両軍だが、トルコ軍は右翼(マップ左方)のダニシメンド(Gazi, Emir of the Danishmend)の軽弓騎兵集団を動かす。軽弓騎兵(Light Cavalry Archers, LC/A)は白兵戦で攻撃はできず射撃しかできないのだが、ボエモンド隊(緑)の左翼を包囲して連続射撃、騎士2ユニットを壊滅させる。ボエモンド隊は残存4ユニット、しかも半分は混乱状態だ。強力な騎士ばかりといえど、隊の攻撃力はかなり落ちている。

 さらにトルコ軍は継続活性に成功。中央のアルスラン隊が騎士を包囲攻撃し、3ユニットを壊滅させた。


 騎士は壊滅したときの敗走ポイント(FP)が3と高い。一方、弓兵(Archers, A)や槍兵(Pike, PK)など歩兵ユニットのFPは1だ。騎士に対して全力で攻撃し壊滅させていく、というトルコ軍の方針は、十字軍から打撃力を奪っていくだけでなく、累積FPも多くなるという利点がある。もしロベール隊とボエモンド隊の騎士計20ユニットを壊滅できれば、それだけでFP60になり勝利にかなり近づくのだ。歩兵なんかにかまっている場合じゃないぜ。

 

 トルコ軍の波状攻撃によって、十字軍は甚大な損害を受けた。騎士集団を率いていたロベールは包囲され射撃を受けて戦死、ボエモンドも包囲攻撃で戦死し、十字軍の累積FPは28となった。


 ちなみにこのロベール、ノルマンコンクエストでイングランドを征服したウィリアム一世(ギョーム二世)の長男である。弟のウィリアム二世やヘンリー一世とイングランド王位を争ったけど、最後は負けてノルマンディー公の位を奪われている。


 ボエモンドは史実ではこのドリュラエウムの戦いの後シリア方面に進出し、アンティオキア公となって周囲のイスラム勢力と争うだけでなく、ビザンツにも攻めていっている。最終的にはビザンツに負けるのだけれど、アンナ・コムネナの著書「アレクシアス」ではアンナの旦那のニケフォロス・ブリュエンニオスの説得によって最終的にボエモンドが降伏を決めたと、夫のいいところに触れている。史実では夫婦仲がよかったそうだけれども、アンナちゃん、漫画でも旦那のこと大好きだもんね。

 ボエモンドが降伏を決めたあと、「アレクシアス」には皇帝アレクシオスがボエモンドに飲ませた条件というか降伏文書的なものがこれでもかというぐらい長々と引用されていて、なんと言うか、ざまーみろという気持ちがひしひしと伝わってきますよアンナ様。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月7日木曜日

アンナ・コムネナに見送られて Dorylaeum 1097 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack(GMT) AAR ②

  アンナ・コムネナが書いた歴史書「アレクシアス」によると、ドリュラエウムの戦いではトルコ軍は十字軍をなめてかかり、行軍中の敵前衛を発見するとすぐに攻撃したそうだ。

 ちなみにアンナ・コムネナは漫画に描かれているように基本的にお父様素敵という姿勢で、「アレクシアス」でも冷静な著述を心がけると言いつついろんなところで父である皇帝アレクシオスを賛美している。

 ドリュラエウムの戦いの記述でも、お父様の忠告を聞かなかったばっかりに損害を被っちゃって、やっぱりお父様の賢明な助言が正しかったことが証明されたわ、みたいな感じのことを書いている。アンナちゃん、後世に著作が残るんだから自重したほうがいいんじゃあないでしょうか。まあでも、父親を称賛しているということはご自分で認めてますけど。


 いや、でも、このゲームのトルコ軍としては十字軍をなめてかかるなんてとてもできませんよ。十字軍には強力な騎士の集団がいるというだけでも厄介なのに、トルコ軍にとってさらに不利なことに、自軍の指揮官の活性化値が低い。中央で30ユニットという大部隊を率いるアルスラン(Kilij Arslan I)は3、ほかの三人の指揮官は2だ。やる気あんのかと言いたくなるレベルである。機動戦を展開しようにも動かない可能性が高いし、連携攻撃も計算に入れがたい。


 そしてトルコ軍にとってダメ押しなのが、十字軍の敗走レベル(Flight Level)の高さである。Men of Ironシリーズでは自軍ユニットが壊滅したり敗走していくごとに敗走ポイント(Flight Point, FP)が蓄積していき、累積FPとサイの目を足して敗走レベルを超えた側が負けになる。

 つまり敗走レベルが高い軍はなかなか負けないのだが、例えば前回AARを書いたテュークスベリーの戦いではランカスター軍が20、ヨーク軍が22だ。で、このドリュラエウムの戦いの十字軍は70である。え、70?! 誤植じゃないよね、と思わず二度見してしまう高さである。


 こんなに不利な条件が重なってトルコ軍は勝てるのか。強力な騎士集団を前にすると、トルコ軍は快速を生かして敵陣の左右に回りこみたくなる。十字軍後方(マップ下方)の歩兵集団は弓騎兵に対してはほぼ無力だからだ。

 だがトルコ軍は指揮官の活性化値が低いため、あっという間に騎士たちに捕捉されて強烈な打撃を食らってしまうだろう。実際、練習でソロプレイしているときにそのとおりの展開になりました。

 BGGにも書かれていたが、トルコ軍は損害を恐れず最初からハイパーアグレッシブに攻撃しないといけないのだ。史実のドリュラエウムの戦いは、行軍する十字軍に対しセルジューク・トルコ軍が待ち伏せ攻撃、というものだった。トルコ軍が積極的に攻撃しなくてどうする。

 

 ということで、トルコ軍はゲーム開始からアルスランが率いる中央の弓騎兵集団が十字軍の騎士の戦列に全力で攻撃をしかけることにする。

 弓騎兵が隣接した騎士を射撃する場合、40%の確率で騎士は混乱状態になる。さらに、通常は射撃をしたユニットは移動が終了となるのだが、弓騎兵は移動が続けられるため、射撃して離脱、次の弓騎兵が移動してきて射撃、という連続射撃ができる。


 一方、騎士は射撃を受けるとカウンターチャージ(Counter-Charge)をすることができる。カウンターチャージを受けた弓騎兵は移動終了となるため騎士から離脱ができなくなる、という効果だけでなく、射撃を解決した後で騎士が弓騎兵に突撃(Charge)できる。もし射撃を受けて混乱状態になっても、カウンターチャージを宣言していれば騎士は白兵戦(Shock)で攻撃できるのだ。

 

 ゲームはトルコ軍の活性化から始まる。トルコ軍弓騎兵の大群が次々と十字軍の騎士に射撃を浴びせかせ、さすがの騎士も多くのユニットが混乱状態になる。十字軍は積極的にカウンターチャージで反撃、トルコ軍側にも損害が出る。指揮官ノルマンディー公ロベール二世(Robert II, Duke of Normandy)が陣頭に立った強力な突撃は弓騎兵を混乱状態で退却させる。やっぱり騎士最強。


 が、これがトルコ軍のねらいなのである。このゲームでは戦闘後前進は強制なので、弓騎兵を蹴散らした騎士は戦列から飛び出ることになる。そうして突出した騎士をトルコ軍は大量の中弓騎兵(Medium Cavalry Archers, MC/A)で囲み、射撃で混乱状態にしたのち、包囲状態で白兵戦を仕掛けるのだ。



 いくら強力な騎士でも、囲まれて退路を断たれれば退却できずに壊滅する。中騎兵が騎士を攻撃する場合は-3の不利なサイの目修正がつくとはいえ、3,4ユニットで包囲攻撃をしかければ数の優位と二方向以上からの攻撃で逆に有利になるのだ。

 敵の陣形を乱し、囲んで袋叩きにする。これこそが非力な中弓騎兵が騎士に対抗できる方法であり、そのために少々の犠牲をいとわず射撃を仕掛けて敵のカウンターチャージを誘発したのである。


 包囲攻撃を受けたロベール直属の騎士は壊滅。ロベールはからくも逃げ延びた。十字軍の最前列をなすロベール隊の騎士は、トルコ軍の射撃で半数が混乱状態である。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月5日火曜日

アンナ・コムネナに見送られて Dorylaeum 1097 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack(GMT) AAR ①

  SNSマストアタックの知り合いnyaoさんに教えていただいた漫画「アンナ・コムネナ」が面白かったのでMen of IronシリーズのInfidelをやってみることにした。

 アンナ・コムネナってあれでしょ、知ってますよ。ええっと、千年続いたビザンツ帝国の歴史の中で、ビザンツ皇族にして女性歴史家として後世に名を残している女性でしょ。哲学や神学、医学などさまざまな学問に造詣が深いことで知られる才媛でしたよね、と慌ててWikiを見て一人で知ったかぶりをしつつ、家にあるビザンツ関連の本をいくつかめくってみたら、全部に出てました、アンナ・コムネナ。


 本を読むだけだと無味乾燥だった知識が、漫画のおかげで生き生きとしたものになっていって、いやー、ノリのいい漫画って素晴らしい。nyaoさんありがとうございます。ローズマリー・サトクリフが、歴史小説なんて無意味でしょと学者に批判されたときに、小説は歴史に命を与え血を通わせてくれるのですって感じで反論していたそうだけど、漫画も含めほんとそのとおりだと思います。


 でもInfidelって十字軍の戦いなんですよ。十字軍は教皇ウルバヌス2世がクレルモンの公会議で呼びかけて始まったって高校の世界史で習ったけな。ビザンツの女性史家とどんな関係があるかというと、トルコ系の勢力に圧迫されていたビザンツ帝国が西欧に支援を要請したのが十字軍のそもそものきっかけ。そのときローマ教皇に援軍を頼んだビザンツ皇帝がアンナ・コムネナの父、アレクシオスI世なのである ―― ということをすっかり忘れていたんだけど、「アンナ・コムネナ」を読んで思い出しました。

 アレクシオスとしては西欧からの援軍でもってトルコ軍に打撃を与えたのち適当なところで手を打つつもりだったようで、本によっては夷をもって夷を制するというビザンツの伝統的な対外政策と書いている。だがアレクシオスの想定に反して西方のカトリック世界では宗教的熱狂の渦が巻き起こり、異教徒を殲滅し聖地を奪還するために数万の軍隊がやってきたのだった。漫画「アンナ・コムネナ」でもその辺りのことが描かれていますね。


 この第一回十字軍がアンナのいるコンスタンティノープルを経由してイェルサレムに向けて進軍していた時に起こったのが、今回プレイするDorylaeumの戦い。場所は現在のトルコ、アナトリア半島北西部だ。ちなみに同じころの日本は平安時代。中国は北宋で、もうすぐ豹子頭林冲や花和尚魯智深など百八人の豪傑が暴れまわるようになる。なお、使ったのはいつものとおりMen of IronのTri-pack版である。

 ところでDorylaeumってどう読むんでしょうね。塩野七生の「十字軍物語」ではドリレウムとなっているけど、デュリュラエウムって書いてある本もあるし。Wikiではドリュラエウムって表記になっていて、なんとなく言いやすいのでここではドリュラエウムにします。


 初期配置は写真のとおり。マップ上方の水色のユニットがトルコ軍、下の青いユニットが十字軍である。大量の騎兵で襲い掛かるトルコ軍に対し、十字軍は自軍前面(マップ上方)に2列に並んだ騎士たちが歩兵部隊を守っている。

 Men of Iron Tri-packに入っている三つのゲームMen of Iron, InfidelそしてBlood&Rosesのうち、Infidelは他の2作と大きく違う雰囲気を感じる。十字軍とイスラム諸国という異質な軍隊がぶつかり合うのだけれど、イスラム側は弓騎兵が、十字軍では騎士が活躍し機動戦が展開する、という点がInfidelを特徴づけているんじゃないかなと。

 

 その騎士(Knight, KN)がとにかく強力である。例えばこのドリュラエウムの戦いでの敵トルコ軍主力は中弓騎兵(Medium Cavalry Archers, MC/A)だが、騎士が中弓騎兵を白兵戦(Schock)で攻撃する場合、サイの目+2、逆に中弓騎兵が騎士を攻撃する場合は-3となる。さらに騎士は射撃されてもサイの目-1が適用される(サイの目は射撃、白兵戦ともに大きいほうが攻撃側に有利)。

 また通常のユニットは混乱状態で攻撃を受けると敗走(Retire)しやすくなるのだが、騎士は敗走せずに1へクス退却で済ませられる。さらに指揮官の指揮範囲にいなくても基本的にペナルティなく行動できる。エトセトラ、エトセトラ……


 このように騎士は凶悪なまでの攻撃力と粘り強い防御力を兼ね備えている。ずらっと並んだ十字軍の騎士にまともに攻撃をしかけてもトルコ軍の脆弱な騎兵集団には勝ち目はなさそうで、実際ドリュラエウムの戦いのAARをちらほら見てみると、騎士の強力な攻撃によってトルコ軍が粉砕され、すべて十字軍が勝利していた。トルコ軍としては騎士にどう対処するかが問題となる。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月3日日曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ⑤

  ランカスター軍のサマセット公の攻撃で大損害を受けていたヨーク軍のリチャードだが、ウェンロックがサマセット公に続くことなく日和見しているすきに、後方に退避する。そして真打、イングランド王エドワード四世がやっと本格的に動く。別に弟を盾にしていたわけじゃないからね。ヒーローは遅れてやってくるものなのだよ。イケメンで鳴らしたエドワードだが、見掛け倒しじゃないところを証明してくれよう。

 射撃と白兵戦で次々と敵に損害を与えていくエドワード隊。ランカスター軍の累積FPは13に上った。

 ランカスター軍の敗北レベル(Flight Level)は20で、累積FPに10面体サイコロの目を足してこの数値を越えたら負けてしまう。自軍が崩壊する前にヨーク軍を倒すのだ。ウェンロック隊そしてサマセット隊がヨーク軍左翼に必死の攻撃を加える。


 イケメンが何だと言うのだ。毎年2月14日の民の苦しみがわからぬ奴に、王たる資格はないっ! イケメンもろともバレンタインを粉砕せよ!! ……いや、それゲームが違うから。

 生垣地帯で死闘を繰り広げる両軍。ヨーク軍はこれまでほとんど動かなかった右翼のヘイスティングス隊を投入。ランカスター軍左翼に弓矢と砲弾を浴びせかける。ヘイスティングスはエドワード四世の忠臣で、王の危機に奮い立たないわけがない。でも十年ぐらい後にはチャードによって反逆の罪を着せられ処刑されるから、王弟は助けないほうがいいんじゃないのと言いたくなる。

 ヘイスティング隊に続きエドワード隊が追い打ちの射撃を加え、ランカスター軍のFPは19に。これまで2度、敗北チェック(Loss Check)をしのいできたランカスター軍だが、さすがにやばい。一方ヨーク軍のFPは14、敗北レベルは22だ。とにかくヨーク軍に損害を与えるのだ。

 ウェンロック隊の攻撃でヨーク軍のFPは15に。敗北チェックを20%の確率でしのいだランカスター軍は、軍旗(Standard)の元まで敗走していたリチャード隊の2ユニットをサマセット隊の長弓兵とHandgunで壊滅させる。ヨーク軍のFPは17になった。両軍ともボロボロである。


 ヨーク軍に自由活性が移り、ヘイスティングス隊が猛攻を加える。そして迎えた敗北チェック。ヨーク軍のサイの目は4でセーフ。一方、崩壊寸前になりながらもこれまで耐えてきたランカスター軍のサイの目は、3。敗走レベルを超えたため、死闘を制したのはヨーク軍となった。


 ランカスター派の貴族たちは敗走中に殺されるか、つかまって斬首されるか、ということになるでしょう。ウェンロックはサマセット公に頭を割られるはず。こうしてイングランドでは不満の冬が去り、ヨークの太陽のもとで輝かしい夏を迎えるのでした。めでたしめでたし……って感じで内戦が半分で終わっていたらよかったんですけどね。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月1日金曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ④

  ランカスター軍の右翼サマセットと中央ウェンロックの攻撃によって隊が分断されているリチャード。サマセット隊に必死の反撃を試みる。続いて、弟の窮地をエドワードが救出しようとするが、そうはさせないとランカスター軍はSeizureカウンターで継続奪取。

 と思いきや、ヨーク軍が奪取無効(Seizure Negation)のSeizureカウンターを出してランカスター軍の試みを無効化。簡単に戦いの主導権を渡すもんか。ヨーク家兄弟の団結を見せてやる、とエドワードが継続活性チェック。だが、失敗。おいおいしっかりしてよ、お兄ちゃん。奪取無効のカウンターを出した意味ないじゃないですか。
 
 このエドワード四世、長身のイケメンでモテモテだったそうである。軍事や内政の才能にも恵まれていたらしいけど女癖が悪く、キングメーカー・ウォリックがフランス王の義妹との結婚話を進めていたのに、勝手にエリザベス・ウッドヴィルという身分の低い女性と結婚してしまう。エリザベスは超絶美人だったらしいけど、王様としてはそんなことしちゃいかんでしょ。ウォリックが裏切るわけだよ。ウッドヴィル家は調子に乗っちゃうし。
 しかし、ヨーク家に復讐するためにあえてエドワードの王妃になるっていう「薔薇王の葬列」のエリザベスの設定は、なんか映画「乱」の楓の方を彷彿とさせますな。まあ、「乱」もシェイクスピアがもとになっているから、つながりがあるっちゃああると言えるのかな。

 ヨーク軍の継続活性失敗によって自由活性を得たランカスター軍。エドワードがぐずぐずしているうちに弟を仕留めてしまえ、とサマセット隊の長弓兵が弓矢の雨を降らせ、リチャード隊の兵士が倒れていく。リチャードを守っていた重武装の歩兵DMまでもが壊滅した。射撃のサイの目は9だったので指揮官の戦死チェックがあったが、リチャードはからくも生き延び自軍騎兵ユニットのもとに逃げ込む。

 リチャード隊が危ない状態に陥っているを見て、ヨーク軍はSeijureカウンターで継続奪取。リチャード隊が反撃に転じる。砲兵、それに銃のごく初期の形であるHandgun(HG)という、火器の連続射撃。炎のにおいが染みついてむせる、じゃなかった火薬の煙のにおいが染みついてむせるような射撃をランカスター軍に浴びせかけたのち、リチャード自ら騎兵を率いてサマセット隊の長弓兵を蹴散らす。やっぱりリチャードには騎兵が似合う。ボズワースとかね。

 ここで今度はランカスター軍がSeizureカウンターで継続奪取。やられたらやり返すのみ。さらに、動揺(Unsteady Troops)というSeizureカウンターを使い、リチャード隊の歩兵1ユニットを混乱状態にさせる。これでランカスター軍はSeizureカウンターを使い果たした。だがリチャード隊を崩せばエドワードの後ろに回り込める。出し惜しみせずにたたみかけるのだ。

 ランカスター朝の重鎮ボーフォート家の名誉にかけて、サマセット公が陣頭指揮を執る。射撃と白兵戦のコンボでリチャード隊はほぼ壊滅し、ヨーク軍の左翼は崩壊した。これでヨークの敗走ポイント(FP)は11となりランカスターと並んだ。

 ヨークの簒奪者に鉄槌を下す好機だ。サマセット公に続け、ウェンロック。だが、継続活性に失敗してウェンロックは動かず。おいー‼ 斧で脳天叩き割られたいのかー‼


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

マーケット・ガーデン80周年なので読んでみた、『9月に雪なんて降らない』

 1944年9月17日の午後、アルンヘムに駐留していた独国防軍砲兵士官のJoseph Enthammer中尉は晴れわたった空を凝視していた。自分が目にしているものが信じられなかったのだ。 上空には 白い「雪」が漂っているように見えた。「ありえない」とその士官は思った。「9月に雪な...