2026年9月3日木曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part2

 ●第2ターン

  反乱軍には砲兵支援マーカーと航空支援マーカーがそれぞれ1つ増援として登場。初期配置の砲兵マーカー1と併せて3個に増えたが、やっと共和国軍の半分である。 

 前ターンに紫へクスQuijorna(マップ左方中央)を占領した共和国軍は、主攻勢軸を南東方向(マップ右下)へと変え、全力で南下する。黄色ヘクスのSevilla la Nueva(マップ下端中央)の前面まで迫り、第15師団が戦車、それに航空支援も投入して敵を後退させた。共和国軍の戦車ユニットは攻撃の際1シフト有利にできるので、攻撃の際には欠かせない(ただし1つの戦闘に対し使用できる戦車ユニットは1つのみ)。ヒストリカルノートによると、ブルネテの戦いには多数の戦車が投入された。2年後に起こる第二次世界大戦よりも第一次世界大戦に近い形で運用されていたものの、両軍とも、この戦いまでの数か月間で砲兵や航空戦力との協調など戦術面を発展させていたそうだ。WWIからWWIIへの過渡期って感じだったのかな。

 さらに上記攻撃の東方(マップ右方)では第11師団の歩兵2ユニットが攻撃。戦力比は2:1にしかならないところ、戦車、それに航空支援マーカーを最大の3個叩き込む。守る反乱軍は精鋭部隊で、そのボーナスを利用してなんとか5:1まで比を落とした。このゲームではユニットは標準部隊と精鋭部隊に分かれ(精鋭部隊にはユニット右上にマークがついている)、戦闘に参加している自軍ステップの半数以上が精鋭であれば、1シフト有利にできるのだ(ただし損害が発生した場合は精鋭ユニットに優先的に適用される)。だが精鋭部隊の奮戦もむなしく、共和国軍のサイの目は6。反乱軍は損害を被って退却した。

 マップ中央Brunete方面に夜間浸透していた第11師団の主力は東方(マップ右方)に突進、渡河点を守っていた反乱軍を4ユニットで包囲する。この周辺は河川が流れているうえに森林地帯が広がっているため機動が阻害されると思いきや、このゲームでは歩兵でも8移動力を持つのだ。反乱軍は精鋭ボーマスを活用し、なけなしの砲兵・航空支援を投入して必死の抵抗を試みるも、共和国軍の圧倒的な兵力に加えて戦車や砲兵・航空支援、それに4ヘクスからの攻撃による1シフトが加わった攻撃にはなすすべもなく、退却。敵ZOCへの退却のためステップロスを被った。

 なお、共和国軍、反乱軍ともにほとんどのユニットが歩兵。それらが移動力8もあるということは攻撃側が柔軟かつ大幅に攻勢地点を変更できる一方、防御側も機動的な対応が可能になっている。共和国軍は南東方面に全力で前進していったが、目標へクスがこちら方面にあるというだけでなく、敵を東西に分断して柔軟な兵力の運用をさせないという意図もあったらしい。

 北東方面(マップ右上)では、河川沿いの守備隊を掃討。この方面には反乱軍が初期配置で3ユニットいるのだが、特別ルールで共和国軍が4へクス以内に近づかない限り移動できない。共和国軍としては敵を刺激せずに攻撃態勢を整えたわけである。

 紫へクスVillanueva de la Cañnada(マップ中央上寄り)では、前ターンに包囲して補給切れにしていた反乱軍ユニットを壊滅させる。なお、このゲームは全移動力を使ってZOCtoZOCの移動が可能である。さらに補給判定は自軍ターンの最後なので、第1ターンに反乱軍はここのユニットを移動させ包囲下から脱出させることもできたのだが、正直なところZOCtoZOCの移動が可能ということを忘れていたらしい。だがそうやって包囲を脱して補給下にしても、再び包囲され増援や戦車ユニットも投入されれば5:1の攻撃を食らうことになるので、少し足止めができたぐらいの違いしかなかったと思われる。


 共和国軍の攻勢に押され続けている反乱軍だが、東方(マップ右方)から第11師団の5ユニットが登場。この方面でもなんとか戦線を張る。またマップ下方や左方からも計3ユニットの増援が駆け付け、薄い防御ラインが強化された。



 このターン、共和国軍が4つの紫へクスを占領したため、サイコロを振って黄色の4ヘクスのうちどれが目標となるかを決める。マップ右上のLas Rozas、もしくはマップ中央下のSevilla la Nuevaになる可能性はそれぞれ6分の1。一方、河川・森林地帯を越えたところにあるマップ右端中央のBoadilla del Monteと右下のVillaviciosa de Odónはそれぞれ3分の1だ。どの目標へクスに決まったかはゲーム終了時まで反乱軍には秘匿されるため、防御側としては敵の攻勢意図が不確かなまま守る必要がある。


つづく

2026年8月30日日曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part1

  今年はスペイン内戦ぼっ発から90年。「ランド・アンド・フリーダム」の日本語版も出ることだし、スペイン内戦のゲームが盛り上がってくれるといいな、と思ってるんですけどね。スペイン内戦の共和国軍の攻勢と反乱軍の反攻を扱ったALEA最新号の「Brunete 1937」という作戦級ゲームがあって、先日、某ゲーム会での対戦相手を募ったんだけど、反応がゼロ。やっぱり日本ではスペイン内戦はマイナーなのかな…と意気消沈していたんですが、つい最近Xでこんなポストを見まして。

 そうだよね、面白いよねって以前から思っていたんだけど、そんなこと作戦級が不得意な自分が言っても説得力ないなあと気が引けてました…。でもこのポストに勇気づけられて、AARを書いてみることにしましたよ。発売後すぐにプレイして一応AAR用に記録とっていたんだけど、Bruneteのあった7月にブログを、と思っていたら猛暑でモラルチェックに失敗し続けてたんだよね…。

 「Brunete 1937」はいわゆるIGOUGOシステムで、戦闘は戦力比。そこに砲兵の支援やらが加わるという、いたってスタンダードな作戦級という感じ。デザイナーは日本語版も出た『九州侵攻: オリンピック作戦』のアントニオ・ロドリゲス氏と言えば、ああ、あのゲームだったらプレイしたことあるっていう人も多いんじゃないかな。1へクスは約1km、1ターンは1日。全14ターンだが、今回は6ターンの共和国軍の攻勢シナリオをやってみた。

 

 初期配置は写真のとおり。なおBruneteに配置されている共和国軍6ユニットは夜間に浸透してきた部隊で、第1ターンは特殊な移動となる(後述)。

 共和国軍は紫で囲まれた4つのヘクスを占領したうえで、もう一つ、黄色のヘクスを占領しないといけないのだが、どれが目標になるかは紫の4へクスを占領した後にランダムに決まる。なお、黄色の目標へクスを占領できなくても、紫の4つを維持したうえで、黄色の点線で囲まれた3つの頂点へクスを保持していれば引き分けとなる。パッと見てわかるように、南方(マップ下方)と東方(マップ右方)の端のほうに黄色の目標へクスがあり、引き分けの条件となる黄色の山頂へクスも2つはマップ東方にあるので、共和国軍は右と下にむかってがんがん攻勢をかけていかないといけない。


●第1ターン

 まずは第1ターンの特別ルールによる、共和国軍第11師団6ユニットのブルネテへの夜間浸透移動。敵に発見されるかどうかで結構その後の展開が変わるんだけど、無事浸透成功。サイコロを2個振って出た目の合計分を、6ユニットに振り分けて移動させる。なおこれらのユニットは第1ターンの移動はこれ以上できない。

 共和国軍は主力が紫のヘクスの一つであるマップ左方のQuijornaを強襲。ここを占領しないと、夜間浸透したBrunete周辺の6ユニットに補給が通じないのだ。戦車、それに砲兵の支援を受けて猛攻、守備隊を追いやる。またその情報、黄色の山頂へクスの1つLos Llanosも包囲攻撃であっさり陥落。、またマップ上方の紫へクスVillanueva del Pardilloでは反乱軍はなけなしの砲兵支援も投入したものの、戦力比は4:1に。だが結果は両軍1ステップロス、さらに共和国軍の戦車は除去され3ターン後に復帰という結果になった。もう一つの紫へクスである中央のVillanueva de la Canadaは包囲にとどめる。補給切れになれば戦力が半減するため、次ターンに屠ればいい。

 反乱軍には増援が計5ユニット登場するものの、平地が広がる戦場に薄い戦線を張るのがやっとである。戦力比を有利にする航空・砲兵の支援マーカーも共和国軍は計6個あるのに対し、反乱軍はたったの1。ゲーム初期はどうしても劣勢にならざるを得ない。

つづく

2026年8月28日金曜日

薔薇戦争のキープレイヤーを追う - "The Wars and Roses: The Key Players in the Struggle for Supremacy"

  薔薇戦争って言ったら日本語だとあんまり本が出ていないですけど、英語だとかなりあってどれを読めばいいか迷うんですよね。そりゃね、イギリスの内戦ですしね、それにシェイクスピアも何作かで題材にしているし。大量に書籍が出ていてもおかしくない。

 以前、「Plantagenet」(GMT)のデザイナーFrancisco Gradaille氏が『Battle Royal』と『Blood Royal』という本をTwitterでおススメしてくれて、この二冊は面白かったです。やっぱりウォーゲーマーが勧める本がいいよな、と思っていたんですけど、先日、「Plantagenet」のBackground Bookを見させてもらえる機会がありまして。そこでいくつか挙げられていたもののなかからそのまんまずばりのタイトル『The Wars of the Roses』というのを選んで読んでみました。



 この本、副題的にThe key players in the Struggle for Supremacyってついているんですけど、「Plantagenet」のBackground BookによるとThe lives of the main actors in the war, and with them we understand how their personality shaped the conflict.だとのこと。ほうほう。『Battle Royal』『Blood Royal』は結構軍事面にフォーカスしていたけど、こっちは個人なのね。まあでも主要登場人物一人一人を章立てて描写しているのではなく、薔薇戦争の流れを個人にフォーカスして述べていくって感じでした。ヨーク公リチャードや王妃マーガレット・オブ・アンジュー、キングメーカーのウォリックなどは当然なんですけど、ちょっとヨーク派寄りの印象。もちろんあくまで残っている資料に基づいてヨーク公とかを擁護しているんですけどね。例えば第一次セント・オールバンズの戦いに関して、If Richard, Duke of York, wanted the throne, he had only to finish the work an arrow had begun by widening the wound at the king's neck within the silent, unseeing walls of a tanner's house in St Albans. In fact, it was during the following Parliament under York's auspices that Henry's son, Edward, was created Prince of Wales, a move that effectively ended debate about York's own pretentions to be heir apparent.って感じで、最初っから王位を狙っていたのならこうしたはずだけど実際はこう行動した、みたいな叙述が結構目に入ったかな。

 あと、イギリスってマティルダとか結構女性君主が活躍するというか辣腕を振るうイメージがあったんですけど、Margaret had underestimated just how much her gender undermined her position.っていう指摘が意外でした。それとヘンリー六世に関しては結構批判的でした。King Henry must shoulder a large portion of the blame for the nation's dissent into anarchy.とか。そりゃそうか。

 薔薇戦争の主要人物って言ったら自分的にはなんつってもリチャード三世。「Men of Iron」の「Blood&Roses」で一番好きなのはボズワースで、AAR2回も書いちゃったし。

即ち聴かん: 「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

即ち聴かん: 失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

 この本では父親同様、リチャード三世をかなり擁護する感じで書いていました。ボズワースでも、シェイクスピアのあの有名なセリフ"A horse! A horse! My kingdom for a horse!"のシーンを引用して、

Richard asks for a horse not to make his escape, as Catesby believes, but to return to the battle. He is determined to kill Richmond (Henry Tudor), having killed five men already that he believed to be the earl. Even Shakespeare did not deny Richard his valiant end, though the passage has been misquoted to paint Richard as a coward.

って指摘していて、そうだよな、自ら突撃して戦死するような勇敢な王だったんだよなって胸アツになりましたよ。うーん、また「Blood&Roses」のボズワースやってみるかな。

2026年7月30日木曜日

文豪デュマの父にして黒人奴隷の子、そしてナポレオンの将軍だった人物の一生とは ー 『ナポレオンに背いた「黒い将軍」:忘れられた英雄アレックス・デュマ』

 DSSSMさんが主宰されているDiscordサーバー「全日本ナポレオン戦争フォーラム」っていうのがあるんですけど、


そこでデュマ将軍についての話題が出ていまして。ん? デュマ? あの「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」のデュマとなんか関係があるのかな、と思ってちょっと調べてみたら、父親でした。文豪の父がナポレオンの将軍だったっていうだけでも興味を惹かれたんですが、デュマ将軍のほうは母親が黒人奴隷だったそうです。うおーなんか面白そう、と思いDSSMさんが紹介されていた『ナポレオンに背いた「黒い将軍」:忘れられた英雄アレックス・デュマ』(のもとの本の"The Black Count")を読んでみました。


 いやこれがまた面白かったです。週末で一気読みしてしまいましたよ。デュマ将軍、個人としての戦闘力が高くて一人で敵を何人も相手にしたりしているんですけど、指揮官としても有能でどんどん昇進していって、It would be 150 years before another black officer in the West would rise so high.なんて書かれています。ほかにも、He inspired respect among subordinates, was known for both his sense of fair play and his toughness, and had shown keen organizational abilitiesとか、1797年戦役ではオーストリア軍を激しく追撃して、敵からdie schwarze Teufel(黒い悪魔)って呼ばれたとか。連邦の白い悪魔なみに強かったんですかね。でもTeufelって男性名詞じゃなかったっけ?

 しかも単に軍人として優秀だっただけでなく、フランス革命の理念を重んじ、Mr. Humanity(仏語だとMonsieur de l'Humanité)って呼ばれていたとか。世界に先駆けて人種差別を廃絶し、有色人種であっても白人と同等に認められるようになったフランス革命は、デュマにとっては命を懸けるに値するものだった、みたいなことも書かれてました。

 でもね、そこで影を落としてくるのがナポレオンなんですよ。Napoleon played a double game. ... he made a proclamation to the people of Saint-Domingue: "Remember, brave Negros, that the French people alone recognize your liberty and your equal rights." ...  Barely a month in power, Napoleon was planning a full-scale military invasion of Saint-Dominque.とかね。あ、Saint-Domingueというのは仏領ハイチで、デュマ将軍の出身地です。当時のフランスにとっては、the basis of French wealth was black slavery in the coloniesで、By the mid- to late eighteenth century, the Saint-Domingue colony, ... accounted for two-thirds of France's overseas trade. It was the world's largest sugar exporter and produced more of valuable white powder than all the British West Indian colonies combined.だそうで、このあたりについてはね、『砂糖の世界史』っていう良書があるので読み返したいと思います。

 まあとにかく当時のカリブ海の植民地は莫大な富を生み出していて、そりゃ奴隷制を復活して砂糖のプランテーションで超過酷な労働を再開しようとするのは、国の経済を考えるプラスで、大軍を送ってでもペイする、ということなんでしょうけどね。

 ここらへんは書いていると暗くなるのでこの辺にしますが、ピューリッツァー賞も受賞しているこの作品、ナポレオニックに興味がなくても読み物としても楽しめるのでオススメです。


2026年7月11日土曜日

最後のイギリス征服『The Norman Conquest』

  明日の日本時間未明、サッカーのワールドカップ準々決勝でノルウェー対イングランド戦がありますね。こんな時にはあれですよ、Men of Ironシリーズ「Norman Conquests」に入っているFulfordやStamford Bridgeをやるしかないですよ。イングランドに侵攻したノルウェー軍を、イングランド王ハロルドが撃退した戦い。でもあのゲーム、離れたところにしまっていて、こんなめったにないタイミングだというのにプレイできないという状態で歯噛みしています。

 その代わり、『The Norman Conquest』という本を読み返してみました。ノルマン・コンクエストと言ったら世界史の教科書にも確か載っているぐらい有名ですよね。1066年にノルマンディー公ギョームがイングランドにわたり、ヘイスティングスの戦いで勝利してイングランドを征服するという。でもなんでノルウェー軍と関係があんの? というと、フランスからの侵攻に備えてイングランド南岸で待機していたハラルドが、北イングランドに突如攻め込んできたノルウェー軍に対して急遽北進、打ち破ったと思ったら今度はギョームが上陸してきて、ハラルドは急いでとって返してヘイスティングスで雌雄を決する、という流れがあったんですよね。ノルウェー軍の侵攻はハラルドにとって想定外だったようで、この本にはThis dramatic turn of events, more than anything else, shows how totally unexpected an attack from the north had been.なんて書かれています。

 


 タイトルはノルマン・コンクエストですが、11世紀初頭あたりからイングランドとノルマンディーの状況を書いていてい、ギョームのイングランド侵攻がなかなか始まらないんですよね。まあ、11世紀初頭って言ったらトルフィンがイングランドで活躍していた時代だからいいんですけど。クヌートについても頻繁に触れられています。by the time of his death in 1035, Cnut had transformed the English aristocracy. The old guard of earldormen - descended from royalty, close-knit and long-established - were gone, killed off in the course of the bloody Danish takeover. But gone too, for the most part, were the Danes who had initially replaced them. By the end of his reign, most of England was back under the command of Englishmenとかね。で、本の半分ぐらいになってやっとノルマン・コンクエストが始まります。まあエドワード証聖王のこととか全然知らなかったんで勉強になってよかったんですが。


 しかしなんでハラルドやギョーム(ウィリアム)がイングランド王になれたのかぴんと来なかったんですけど、English kingship was elective - a reign began when the new ruler was recognized by his leading subjectsと書かれていてなるほどね、と思いました。ほかのところでも王位継承について3つの要素を挙げていてa close blood link with the previous kingは当然として、a prospective king ... designated as such by his predecessorというののほかに、一番重要な要素としてelectionと述べていました。もちろん、not in the wide sense in which we use the term todayって断っていますが。

 おもしろかったのがウィリアム征服王がイングランドにchivalryを持ち込んだという指摘でした。ウィリアムってそんなイメージ全くなかったもので…。それまでのイングランドは降伏した相手を殺しまくっていたけれど、ウィリアムは一人も殺していない、そしてchivalryの普及とともに奴隷制も衰退していったってのが意外でした。

 あと、ノルマン・コンクエスト以降、ノルマン人が貴族層をほぼ独占するようになるわけですが、以降のアイデンティティの変遷もざっと書いてくれています。社会の下層ではノルマン人とイングランド人の混交が進んだものの、上層部ではstill hesitated to identify wholeheartedly with Englandなんて書いていて、リチャード獅子心王の「You English are too timid.」という言葉は、獅子心王がイングランド人としてのアイデンティティを持っていなかったということを暗に示している、みたいなことを言っています。でもその後のジョン王のときには変化が進み、王は海外への兵役や重税を課し、As a consequence he succeeded in creating a sense of common identity in England of a kind not seen before the Conquest, as men of all degrees came together to resist the power of the Crown.と書いているんですけど、いかにもイギリス人らしい書き方だなあって思いました。

 約350ページあって、他にもふんふんと勉強になることばかりだったんですが、4年に1度しかないワールドカップの、ノルェイ対イングランドという組み合わせの前に読み返せてよかったです。

2026年7月4日土曜日

ヴィスワ川の奇跡と、赤軍とポーランド軍の壮大なシーソーゲーム 『ワルシャワ1920』

  以前読んだ"1812: Napoleon's Fatal March on Moscow"が読みやすかったので、この筆者、他になんか書いていないかなと思って探してみたら"Warsaw 1920"って本を見つけました。筆者のAdam Zamoyskiはポーランド語とロシア語に堪能のようなので、両国の資料を渉猟して書いたのかな、と期待して読んでみたんですよね。それにAdam Zamoyskiの両親はポーランド出身。1920年のワルシャワって言ったら、ヴィスワ川の奇跡で、ワルシャワ前面まで赤軍に攻め込まれたポーランドが劇的な反撃で攻勢に転じる、という逆転劇を、ポーランドにルーツを持つ筆者がどんなふうに描くのか楽しみーと思って読みました。



 まあでもね、ヴィスワ川まで赤軍が迫ったと聞くと、どうしてもアンジェイ・ワイダの「地下水道」のこのシーンを思い出しちゃんですよね…。全然文脈が違うんですけど。



 この本、序文にはSince the political and diplomatic background has been extensively covered by others ... ,  I have concentrated on the military operations, and in particular on providing a synthesis accessible to the general reader and a succinct overview of what happened and how.なんて書いてあって、おお、ウォーゲーマー向けじゃんとうれしくなりました。そもそもこの戦いのことは全然知らなくて、アントニー・ビーヴァ―の"Russia: Revolution and Civil War 1917-1921"ではThe Miracle on the Vistula  August-September 1920って章を読んだことがあるぐらい。なので軍事面に絞って簡単に書かれている本って自分にはありがたかったです。


 冒頭のほうで赤軍とポーランド軍の兵や装備について説明してくれているんですけど、方や革命後の内戦期、方や第一次世界大戦後に独立したばっかりということで、両軍ともにまあ雑多な感じ。The only really successful combination of firepower with mobility was the Russian tachanka.なんて書いてあって、タチャンカって何? って思ったらこんなのだったんですね。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%AB

それと、The twenty-year-old Vassili Chuikov and the young Georgi Zhukov, ... had already been given regiments to command.なんてこともちらっと書いてあってちょっとうれしくなりました。


 1920年はポーランドがキエフあたりまで攻め込んだ後、逆にワルシャワまで赤軍が迫り、さらにポーランドが反撃という激しいシーソーゲームだったようですけど、なんでそんなふうになったのかなって思っていたら、地形や補給状況などのほかに、ロシア内戦について

Desertion was instinctive when things started going badly. Entire divisions changed sides, and some managed to change back again when the fortunes of war deserted their new ally. This meant a minor setback, if unchecked, could turn a recently victorious army into a disintegrating rabble within a short space of time.

って書かれていて、そういう要素も影響したのかなって思いました。ロシア兵には赤軍への忠誠はまだがっちり浸透していなかったんでしょうかね。


 筆者のルーツからしてポーランドに肩入れした内容になっているのかな、と思ったんですけど、読んだ印象だと中立的な視点で書いているように感じました。まあこの当時の政治状況は全然知らないんですけどね。1920年4月にポーランドが攻勢を開始したことについては、The Polish offensive ... appeared to the outside world as an unprovoked invasion of Russia.なんて書いてあったのも意外でした。まだ欧米諸国や日本が干渉戦争や白軍への軍事支援を続けていたころじゃないの?


 序文で軍事面に集中した、なんて言っているとおり、適度に戦況図が載っていて両軍の動きがよくわかりました。でもね、a kind of encounter that had been banished from Europe with Napoleonなんて書いてあるエピソードがあって、どういうこと? って思っていたら、騎兵同士がサーベルで一騎討をするんですよね。ポーランド軍と赤軍が対峙していて、すでに夕暮れ時なんですが、A colourfully-dressed rider galloped out of the swarm of Cossacks on a magnificent black charger and, waving his sabre above his head, shoutedって感じで戦いを挑むんですよね。その挑戦を受けたポーランド軍の士官がサーベルを左手に持ち、右手とともに十字を作って敵騎兵に向かっていくという、なんか映画のワンシーンになりそうなことが描かれていました。


 まあほかにも、ワルシャワ攻防戦はポーランド軍もぎりぎりでしのいでいたとか、トハチェフスキーは意外と後方から指揮していたんだなとか、知らないことばかりで最後まで飽きなかったです。文章もうまいし。本文は140ページ弱しかないのでサクッと読めます。1920年のヴィスワ川の奇跡について知りたい人にはお勧めなんじゃないでしょうか。


2026年6月19日金曜日

Battle of Imaichi (Chronicles of the Tosando - The Boshin War: Tactical Battalion-Scale Combat) AAR part5

 - Turn 6

 The coalition focused on retreat while the New Government gave chase. As mentioned before, movement off the roads is heavily restricted, and enemy FZs made maneuvering difficult for both sides. The New Government launched attacks in both the west and east, but neither achieved any results.

 On the eastern flank of the battlefield, there was a village hex where the coalition had established its headquarters, marked by a specific coalition marker. If the New Government could occupy that hex, the Direct Command chit of the coalition would be immediately removed from the game, reducing their tactical flexibility. The New Government was eager to secure that village as soon as possible, but the coalition's defensive FZs effectively prevented the enemy from entering that hex.


 Nearly until the Boshin War (戊辰戦争) broke out in 1868, Japan had enjoyed peaceful stability for about two and a half centuries. However, as pressure from Western powers mounted during the mid-19th century, the Bakufu and several domains, particularly the western ones that would later form the New Government, made desperate efforts to quickly modernize their militaries. They trained their troops in Western tactics and imported modern firearms. As a result, the elite forces of both the Bakufu and the New Government domains possessed state-of-the-art weapons, whereas some conservative domains still relied on centuries-old traditional arms. In this game, this stark disparity is brilliantly represented by each unit's Firepower 火力 (FP) attribute, which in this scenario ranges from a low of 1 to a high of 3.


- Turn 7

 The coalition’s Movement chit was drawn and played after the New Government’s, allowing the coalition to cleanly disengage from their pursuers. In the west, two New Government units conducted another intensive assault against the elite dark blue coalition unit, but the battle-hardened defenders held their ground and remained completely intact.


- Turn 8

 The final turn. This time, the coalition's Movement chit was drawn and played before the New Government’s. All blue and light blue coalition units safely crossed the river to the north, successfully slipping away from the pursuing New Government forces.



 The battle concluded. The New Government earned 3 VPs by securing the three hexes of Imaichi, while the coalition matched them with 3 VPs for their safe retreat. The match ended in a well-fought draw.


 "The Boshin War: Grand Tactical Battalion-Scale Combat" (大隊級戊辰戦争) features relatively simple rules. It lacks complex mechanics like unit facing, for example, but its Fire Zone system is unique for simulating 1860s warfare. Additionally, the chit-pull system provides a wonderful mix of excitement and tactical frustration. 

 As mentioned before, "The Boshin War: Grand Tactical Battalion-Scale Combat" (大隊級戊辰戦争) is a spin-off of "The Boshin War 1868." Since the scenario book, "Chronicles of the Tosando" (東山道戦記), which includes this Battle of Imaichi, utilizes the counters from the original game, it faced certain design restrictions in terms of physical components. Yet, if unshackled from this limitation, this compelling game system has the potential to produce even more deeply engaging and attractive battles. It remains unclear whether additional standalone scenarios will be published in the future, but one can only hope.

 

2026年6月12日金曜日

Battle of Imaichi (Chronicles of the Tosando - The Boshin War: Tactical Battalion-Scale Combat) AAR part4

 - Turn 4

 The Shogunate coalition pushed a red New Government unit back into Imaichi. The latter immediately counterattacked, but to no avail. Using  Direct Command chit, one of the two coalition units assaulted the unfortified Imaichi hex and succeeded once again, leaving the red defender Suppressed. Meanwhile, the coalition dispatched two units to the east to intercept enemy reinforcements expected to arrive next turn. The New Government forces in the center of the battlefield continued to harass the enemy's flank.



- Turn 5

 The New Government reinforcements (a red unit and a beige one) arrived from the east. The first chit played was the New Government Direct Command, which they immediately used to rally the Suppressed red unit in Imaichi. Had the coalition Combat or Direct Command chit been played first, the coalition could have driven the defender out and occupied the hex. The coalition launched another assault on that hex anyway, but a successful counterattack by two New Government units forced the elite dark blue coalition unit to retreat in a Suppressed state.

 With the tide of battle turning, the coalition withdrew the Suppressed unit to the north side of the river. This river crossing forced the unit to undergo a Cohesion Check, because a Suppressed unit has only 1 MP, meaning it had to execute an All-out Movement (全力移動). Fortunately, the retreating unit boasted a Cohesion 練度 rating of 4, the highest in this scenario, and with support from an adjacent friendly unit, it easily passed the check.



 In this scenario, the coalition needs to evacuate its units to the north side of the river. Any units remaining on the south side at the end of the game are still considered safely retreated if they can trace a Line of Communication (LOC) to the north. However, if that LOC does not pass through a bridge, and/or if the units are still within an enemy FZ, they must undergo a Cohesion Check. Any failed checks award Victory Points (VPs) to the enemy. This rule means the coalition must maintain a clear path to a bridge and ideally keep their distance from the enemy. Yet, the unpredictable chit-pull system makes conducting an orderly retreat exceptionally difficult, mirroring the chaos of a real battlefield retreat.

 Both sides earn VPs by controlling the hexes of Imaichi at the end of the game, which explains why the coalition had been persistently assaulting one of its hexes. VPs can also be earned by inflicting strength losses on the enemy. However, the coalition’s pressing need to retreat made it difficult for them to execute a sustained, powerful attack, while the New Government failed to gain an absolute upper hand even with their reinforcements. Consequently, neither side was likely to inflict significant casualties on the other. Furthermore, the unpredictability of the chit-pull system reduced the possibility of launching successive, heavy attacks.


2026年6月5日金曜日

Battle of Imaichi (Chronicles of the Tosando - The Boshin War: Tactical Battalion-Scale Combat) AAR part3

 - Turn 3

 The coalition played Direct Command chit, and one dark blue unit assaulted Imaichi. Defying the steep odds, the attack succeeded, and the red defender became Suppressed.

 In this game, when the number of successful hits exceeds the defender’s successful defense rolls, the defender must absorb the difference through retreat, SP loss, and/or becoming Suppressed. The Suppressed status represents a unit being pinned down by enemy fire or suffering from a breakdown in the chain of command, rendering it temporarily ineffective. However, the New Government forces quickly rallied the Suppressed red unit and launched a counterattack with another red unit against one of the besieging coalition forces. This counteroffensive succeeded, forcing the coalition unit to retreat.

 Anticipating the arrival of New Government reinforcements from the east, part of the coalition force redeployed eastward to protect its rear. Meanwhile, the two New Government units positioned south of the town attempted to flank the enemy. Yet, hampered by their limited movement capability, they were unable to move adjacent to the coalition forces.


 One of the most distinctive features of this game is the Fire Zone (FZ) system. Instead of the traditional Zone of Control (ZOC), each unit exerts FZ into its surrounding hexes. This FZ heavily restricts enemy movement: entering or leaving an enemy FZ requires a unit to expend additional Movement Points (MPs) equal to the Firepower 火力 (FP) of that enemy unit, on top of the standard terrain movement cost. Given that the base movement allowance for most units is a mere 4 MPs, this effectively locks down enemy maneuverability. If a unit lacks the necessary MPs to make such a move, it can opt for an All-out Movement (全力移動). However, doing so forces the unit to undergo a Cohesion Check. According to the designer's notes in the rulebook, the FZ represents the suppression range relative to the effective firing range of infantry rifles. The FZ restrictions simulate the tactical difficulty of deploying into combat columns and engaging in a firefight.

 Interestingly, in this game, attackers never suffer casualties during actual combat resolution, regardless of the odds or how formidable the defensive position is. Instead, the deadly nature of defensive fire is abstracted through the difficulty of entering an FZ and the risks of All-out Movement (全力移動), which can inflict severe damage if a Cohesion Check fails. Furthermore, FZs play a critical role during combat aftermath. A defender can choose to retreat to mitigate damage, and a victorious attacker must advance into the vacated hex. In both instances, enemy FZs must be respected. If a retreating defender or an advancing attacker is forced to execute an All-out Movement (全力移動) through an enemy FZ, they must pass a Cohesion Check. Failure results in taking damage. Consequently, an impetuous attack, even if apparently successful, does not always yield a favorable outcome for the attacker.



2026年5月30日土曜日

クラウゼヴィッツが論じる1814年フランス国内戦役

 DSSSMさんがナポレオニックの同人誌をつい先日出されましたね。

ゲットしたというポストを結構見たんですけど、ナポレオニック好きな人がこれをきっかけにウォーゲームに興味を持ってくれるといいなー。そういや1814年のフランス国内戦役についてクラウゼヴィッツがなんか書いていたなと思い出して、『Übersicht des Feldzugs von 1814 in Frankreich』(1814年フランス戦役の概要)を読んでみました。

 これ、以前もざっと目を通したことがあって、両軍の動きを淡々と述べているっていう印象があったんですけど、今回読んでみてもやっぱりそんな感じ。Übersichtだから仕方ないかな、って思ったんですけどね、やっぱりクラウゼヴィッツの鋭い分析が読んでみたい、と思ってちょっと探してみたらありましたよ、『Strategische Kritik von Feldzuge von 1814 in Frankreich』(1814年フランス戦役の戦略的批判)。これは『Übersicht des Feldzugs von 1814 in Frankreich』と同じく、1812年から1815年の戦役について書かれた『Der Feldzug 1812 in Russland und die Befreiungskriege von 1813-15』に含まれているんですよね。以前Übersichtのほうを読んだときは見落としていましたよ。ははは。


 読んでみるとこれがまた面白い。Übersichtのほうの素っ気ない書き方は何だったの、って感じです。冒頭から戦役開始時の動きについて、連合軍は連絡線の観点からはスイスを通過する必要なかったし、ナポレオンは戦力を分散させすぎって感じで批判しています。スペインやらイタリアやらベルギーやらに多くの兵を残していたことはganz entschiedene Fehler, entsprungen aus Übermut und Geringschätzung des Feindes(決定的なミスで、傲慢さと敵の過小評価から生まれたものだ)って書いていて、クラウゼヴィッツ先生、厳しい~。さらに、士気では自軍が勝っているとナポレオンが考えるのはわかるが、ライプツィヒで圧倒的な敵には勝てないと学んだはずだし、ライプツィヒ後の戦役では自軍の将軍は敵の将軍よりも優れていないとわかったはずだ、と追い打ちをかけています。

 まあこんな感じでズバズバ述べているところが出てくるので読んでいて飽きないんですけど、シュワルツェンベルグに対してはもう容赦なくて、優柔不断さを何度も批判しています。freilich kann man die Art, mit der Schwarzenberg dabei verfuhr, nicht billigen ... Anstatt seine Überlegenheit zu benutzen, um den Gegner von allen Seiten zu umfassen und ihm durch einen großen Sieg Verluste beizubringen, behielt er noch eine beträchtliche Truppenmasse ganz außerhalb des Schlachtfeldes, und delegiert gewissermaßen einen seiner Feldherren (Blücher) mit einem Teil seiner Kräfte, um eine Schlacht zu versuchen. って述べた後、

Ein solches Beispiel war noch neu in der Geschichte.

ぐはー、厳しいわー。でも批判ばかりじゃなくて、例えばラ・ロティエール戦の後にナポレオンがブルッヒャーに向かったのは正しかったと理由を挙げて論じて、Dieser Zug Bonapartes an die Marne ist das Beste im ganzen Kriege.なんて賞賛してました。

 1814年戦役と言えばナポレオンがその冴えを見せつけたシャンポベールからヴォーシャンのいわゆる六日間戦役ですが、戦役のちょっと前の2月8日の状況から一章を使って、11~13日を中心に結構詳しく論じていて、読んでいてワクワクしました。まあでも、そのあとシュワルツェンベルグに向かわずにブリュッヒャーを追撃していたらボヘミア軍もどうなっていたかわからない、みたいなことを別の個所で述べています。ただこれは士気の面を考えたらのことであって、士気は戦争中には正確には測れないものだからナポレオンが徹底的な追撃をしなかったのは完全な誤りとは言えないってフォローしていますが。『戦争論』のほうではもう少しはっきりと、追撃していたらWir halten uns überzeugt, daß ein gänzlicher Umschwung des Feldzuges eingetreten und die große Armee, statt nach Paris zu gehen, über den Rhein zurückgekehrt wäre.って書いていますね。

 それと、ラ・ロティエール戦の後、ナポレオンは守りに入ってもよかったかもしれないという状況で攻勢に転じたのは、weil es ihm wie Leuten seiner Art immer natürlicher war der Gefahr trotzig entgegenzugehen, als ihr vorsichtig auszuweichen, sie mit Leidenschaft zu bekämpfen, statt mit Klugheit.なんてあって、そういえば1815年戦役についてもクラウゼヴィッツがウェリントンの分散配置を批判したところで、ナポレオンのことがわかっていない、他の将軍と違って一点集中に賭けるんだ、みたいなことを書いていたのを思い出しました。

 でもいつものことなんですけど、こういうのを読んでいると自分の知識不足を痛感させられるんですよね。Allen Strategen hätte die Dresdener Schlacht und ihre Folgen deutlich vorgeschwebt.と書かれても、え、ドレスデンの戦いってええと……ってなっちゃたし。それにDie große Armeeって何度か出てきて、ん? 大陸軍? 連合軍のことを述べている文脈なのに?って混乱しちゃいましたよ。主力っていう意味でボヘミア軍を指していたのね…。そもそも1814年戦役の流れやら地理がまだよくわかっていなくて、ナポレオンや連合軍の動きが述べられるたんびに地図を見返したりこの戦役の解説をネットで探さなくてはなりませんでしたよ。とほほ。『Übersicht des Feldzugs von 1814 in Frankreich』が淡々としていて物足りないなんて言ってすんませんでした、って何度も頭を下げながら読みました。

2026年5月28日木曜日

Battle of Imaichi (Chronicles of the Tosando - The Boshin War: Tactical Battalion-Scale Combat) AAR part2

 - Turn 1

 The former Bakufu coalition forces rushed toward Imaichi and launched an assault on one of its fortified hexes. This aggressive opening was driven by a specific scenario rule: if the coalition fails to attack Imaichi's fortified hexes during the game, the New Government automatically receives a bonus Victory Point (VP). In response, the red New Government forces tightly defended the town, and the coalition’s opening assaults failed to yield any meaningful results.


 This game is driven by a chit-pull system. Each side possesses three chits: Movement 移動, Combat 戦闘, and Direct Command 陣頭指揮. Direct Command is a special type of chit that allows a player to select a single unit and have it perform a move, attack, or rally action. This system makes coordinating orchestrated attacks quite difficult. For example, even if units move adjacent to an enemy to initiate an attack, the defender might slip away before the attacker’s Combat chit is played. Alternatively, the Combat chit might be played before the Movement chit, leaving the attacker unable to strike because they are not yet in position.

 Of the three Imaichi town hexes, the northernmost one is not protected by earthworks or a stream, leaving it exposed to attacks from two adjacent hexes to the east, where the coalition was positioned. However, due to the unpredictability of the chit-pull system and severely limited Movement Points (MPs), the coalition was unable to reach it. In this game, each unit has only 4 MPs, while entering a clear hex costs 2 MPs, which greatly limits maneuvering off the main roads.


- Turn 2

 A New Government reinforcement (a beige unit) arrived from the west, but this unit was so fragile that committing it to direct combat was deemed too risky. Instead, it was moved south to harass the enemy's flank, using Direct Command chit. Meanwhile, the Shogunate coalition brought forward its elite dark blue units to assault the unfortified town hex, but the attack once again yielded no results.


 In this game, each unit possesses three main attributes: Strength Points 戦力 (SP), Firepower 火力 (FP), and Cohesion 練度. While SP and FP are vital for conducting attacks, the latter also restricts enemy movement. Cohesion is a crucial defensive stat; it determines a unit's ability to mitigate damage in hazardous situations and to rally from a disrupted state. (Note on components: a unit's current SP is tracked by the number of markers placed underneath it plus one, rather than the number printed on the counter itself. Because this game utilizes the original counters from "The Boshin War 1868," this design adjustment was necessary.)

 During combat, the attacking player rolls a number of dice equal to their unit's current SP. Each die result equal to or less than the unit's FP counts as a successful hit. The defending player also rolls dice to negate these hits, checking their results against their Cohesion 練度 rating. The defender's dice number can be increased by favorable terrain or adjacent friendly units. If the attacker's successful hits exceed the defender's successes, the defending unit suffers an unfavorable result.

 In the assault by the coalition elite units on the unfortified town hex, each attacking unit had an SP of 2 and an FP of 3, while the red defending unit had a Cohesion of 3. Benefiting from the town's defensive terrain and support from an adjacent friendly unit, the defender was able to roll a total of three dice. One can easily see that securing a successful assault on that hex was no small task for the coalition. As for the other two Imaichi hexes, which were further protected by earthworks or a stream, granting even more defensive dice. They were virtually impregnable.


2026年5月21日木曜日

Battle of Imaichi (Chronicles of the Tosando - The Boshin War: Tactical Battalion-Scale Combat) AAR part1

  The Boshin War (戊辰戦争) was a civil war in Japan fought from 1868 to 1869. It marked a major political transformation, after which Japan began its rapid modernization and emerged as a rising global power. This conflict began shortly after the conclusion of the American Civil War and concluded just before the outbreak of the Franco-Prussian War in Europe. After nearly two and a half centuries of relatively peaceful rule under the Tokugawa Shogunate, Japan came under immense pressure from Western powers to open its borders to foreign trade and diplomacy. Observing that several Asian nations had already fallen under European colonial influence, and critical of the shogunate’s ineffective governance, particularly its financial struggles, several powerful western domains mobilized. Most notable among them were Satsuma and Chōshū, which had achieved economic prosperity and undergone partial military modernization. These domains rallied around the Emperor in Kyoto. Although the Emperor had long held largely symbolic authority, these forces sought to restore imperial rule and eliminate the political dominance of the Tokugawa house, even after the shogunate, or Bakufu, formally returned governing authority to the Emperor in 1867. Supporters of the Tokugawa formed alliances to resist these imperial efforts, triggering the outbreak of the Boshin War (戊辰戦争).

 The game "The Boshin War: Tactical Battalion-Scale Combat" (大隊級戊辰戦争) is a spin-off of "The Boshin War 1868 (1868 戊辰戦争)."  While the latter simulates the war at a strategic campaign level, the former focuses on individual tactical battles. The scale of the game is 30 to 60 minutes per turn, approximately 500 meters per hex, and companies or battalions per unit, with each strength point representing 50 to 100 infantrymen. Its scenario book, "Chronicles of the Tosando" (東山道戦記), features eight scenarios covering battles fought in eastern Japan between the Shogunate coalition forces and the New Government army.

 The scenario played this time, "The Second Battle of Imaichi," simulates a clash around the town of Imaichi 今市, located about 100 kilometers north of modern-day Tokyo. After evacuating Edo (now Tokyo), the remnants of the Shogunate forces, led by Otori Keisuke, retreated northeast into the allied Aizu domain to reorganize. Otori then launched an offensive to recapture Imaichi but was repulsed. He tried again by constructing a pontoon bridge over the Otani River, which runs north of the town, to assault Imaichi from the east. This Imaichi scenario begins with an offensive by the Shogunate coalition. However, New Government reinforcements eventually arrive from the east, forcing the former Bakufu forces to retreat north across the river.



2026年5月18日月曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part7

 ●第7ターン (15:00)

 最終ターンである。実はもう勝利得点はフランス軍のプラス2となっていて、連合軍の守りは固いものの積極的に反撃して仏軍に損害を与えられる可能性は低く、ましてや堡塁を奪還することはほぼ不可能なので、仏軍の勝ちはすでに決まっている。でも一応最後までやってみることにした。ソロプレイだからね。


 このターンも士気喪失は起こらず。連合軍は砲撃と射撃を行うものの、仏軍の一部が混乱状態になるだけである。仏軍はLeclaireが包囲中の敵騎兵を砲撃で混乱させ、そこに指揮官自ら突進し壊滅させた。結果、この戦いは仏軍が4点で共和国側の勝利となった。


 今回のプレイ、後半は仏軍の一方的な展開となったが、第4ターンの堡塁への攻撃は6分の5に近い確率で連合軍が持ちこたえていたはずなので、あそこで連合軍に粘られたらその後の展開がどうなっていたかわからない。それと、連合軍両翼は毎ターン後退することになり砲兵の牽引状態が続いたが、左翼(マップ下方)のHammersteinは第1ターンに命令を移動に変更して大きく後退しておけば、もっと効果的な防御態勢を築けたかもしれない。実際、史実では仏軍Jourdanの最初の攻撃は撃退され、連合軍のCochenhausenは堡塁から反撃に打って出ている。でも砲撃で両足を負傷して退却したそうだけど。

 あと、戦闘ボーナスを持つ連合軍中央の指揮官Cochenhausenは堡塁で守っていなかったけれども、これは両翼の支援に回した騎兵を指揮範囲に収めるため。このシリーズでは部隊指揮官から4へクス以内にいないと非指揮下(non-commandée)となり、士気が1低下して移動力が半減するのだ。Cochenhausenは堡塁に入れて、その指揮範囲内で騎兵を展開することを計算に入れて両翼の部隊が動けば、連合軍はもっと効果的に守れたんじゃないかと思う。つまりプレイヤーの用兵が拙かったということですな。

 それと、仏掲示板ではデザイナーさんが、砲兵の射程はこのゲームでは2ではなく3ヘクス、って書きこんでいたんだけど、待ち構える連合軍としては接近中の敵を砲撃できるチャンスが増えるわけで、もっと連合軍側が守りやすくなると思う。実際ヒストリカルノートに、Jourdanは堡塁への攻撃を撃退された後、再び攻撃を命じられるまで敵の砲火を浴びていたって書いてあるし。


 ヒストリカルノートと言えば、この戦いについてあまりにも知らなすぎてこのAARの一回目で紹介した「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」を読み返したんだけど、そこで何度も引用されている『La défense nationale dans le Nord en 1793 (Hondschoote)』を読んでみたら、仏総指揮官のHouchardが二人の派遣議員に部隊の指揮を執るよう要請したシーンが出てきて、議員たちはこの危険な任務を引き受け賞賛に値するような献身でもって実行した、なんて書かれているんだけど、

 Le brilliant courage de ces députés, la vue des panaches et des écharpes tricolors qui flottaient à leurs chapeaux, produisirent, comme toujours, un effet électrique.

 Bientôt les soldats s'animèrent les uns les autres par les cris mille fois répétés de Vive la nation! Vive la République! De la gauche à la droite, ils s'excitaient mutuellement et chantaient a tue-tête la Marseillaise et la Carmagnole.

と、議員たちの勇気と三色の飾りを見て兵たちが、グワッと士気が上がって「共和国万歳!」と叫びラ・マルセイエーズを大声で歌う、なんて言うシーンが出てきて、おお、なんか革命期のフランスって感じがしました。la Carmagnoleってなんじゃらほいと思って調べてみたら、革命歌のようですね。

 あと、この戦いの後のフランス軍は追撃が不十分だったってことには触れたけど、ちゃんと追撃されていたら連合軍は危うかったってシャルンホルスト関係の本に書かれていて、die Franzosen waren mehr die Freunde als die Feinde der Verbündeten. (フランス軍は連合軍の敵というよりは友だった)なんてハノーファーの老将軍(たぶん、この戦いの指揮を執ったWallmoden)の言葉をシャルンホルストはのちに嬉しそうに引用したとのこと。自分のへっぽこ用兵だったら敵からそんなふうに言われちゃうだろうなって思ってしまいましたよ。まあ今度は同じシリーズの『Tigre&Lions』をやってみよう。

2026年5月16日土曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part6

 ●第4ターン (12:00) つづき

 堡塁を奪取された連合軍は、敵に対して突出した形で残されたもう一つの堡塁にCochenhausenが入る。この指揮官は戦闘ボーナスがあるため、堡塁が袋叩きにあっても何とか抵抗できるだろう。そしてHondschooteの村に逃げ込んだ敗走歩兵は建物の中に入って少しは気が静まったのか、混乱状態レベル2に回復した。そこに総指揮官Wallmodenが急行、敗残兵の士気回復に努める。


●第5ターン (13:00)

 前ターンの堡塁をめぐる攻防で砲兵が1ユニット壊滅した連合軍Cochenhausenは士気喪失状態(État démoralisation)になるかどうかチェックしないといけない。Les soldats de la Républiqueシリーズでは、ステップロスを被ったり敗走状態のユニットがいる部隊は、各ターンの冒頭の命令変更を行うフェイズでそのようなチェックが課される。2D6を振って4以下だと士気喪失となるのだが、損害数や敗走状態のユニット数の分、不利な修正が付く(逆に部隊指揮官の指揮値は有利なDRMとなり、また防御命令下だと1有利になる)。つまり損害が蓄積していると士気を喪失してしまうのである。この辺は戦いが進むにつれて部隊全体が機能低下していく様子を簡単なルールで表しているのではないかと思う。士気喪失状態になった場合、各ユニットの士気が1低下し、敵ZOCにいるユニットはそこから離脱しなければならない。連合軍中央Cochenhausen部隊は今回のチェックに耐えたが、この後フランス軍の攻撃が激しさを増すと士気喪失に陥る可能性は高くなる。


 前ターンに堡塁を奪取した仏軍中央のJourdanが敵にたたみかける。堡塁を突破した結果、その右方の連合軍Hammersteinの砲兵と歩兵のスタックが側面をさらけ出す形になっていた。そこを攻撃、と思いきや、対応移動(mouvement de réaction)で正面を向かれてしまった。接敵されたユニットは、対応射撃ではなく対応移動としてユニットの向きをヘクスの1辺分、動かすことができるのだ。だがこの連合軍スタックの歩兵は戦力が1しかない。Jourdanはここでも銃剣突撃を命じる。結果は両者ステップロスで、連合軍歩兵は壊滅した。砲兵だけが残されたHammersteinは、急いで後退を命じ歩兵とスタックさせる。砲兵は単独でいるときに近接攻撃を受けると無条件で壊滅してしまうのだ。

 仏軍は左翼(マップ上方)でも猛攻。これまで連合軍右翼端を守り仏軍の攻撃をしのいできたDiepenbroikの騎兵を包囲、壊滅させた。さらに、繰り返し敗走しながらも指揮官の鼓舞によって踏みとどまってきた敵歩兵を、Leclaireが+8という圧倒的なDRMで攻撃、壊滅させる。仏軍3部隊のうち一番兵力の少ない右翼(マップ下方)のColaudも下方から敵にプレッシャーをかけた。連合軍は必死になって混乱状態のユニットの回復に努めると同時に、後退してHondschoote村を中心とした円陣を形成、守りを固めた。



●第6ターン (14:00)

 損害が増えていっている連合軍だが、このターンも士気喪失は起こらず。仏軍は混乱状態のユニットが次々と回復する。マップ上方のLeclaireが敵を押し込んでいくものの、連合軍側の射撃によってJourdanとColaudの部隊が混乱していき、特にColaudは歩兵と騎兵すべてが混乱状態に。この仏軍中央と右翼(マップ下方)の2部隊は守りを固めた敵に有効な攻撃が行えない。連合軍側は防御態勢が固まり砲兵が移動しなくなったことで、牽引状態になることなく至近距離から砲撃できるのが助かる。砲兵は2へクスの射程を持つが、隣接へクスへの砲撃はDRM+2となるのである。


(つづく)

2026年5月12日火曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part5

 ●第4ターン (12:00)

 仏軍は左翼(マップ上方)で敵を弱体化させ、右翼も攻撃態勢となった。敵は中央から騎兵を抽出し両翼の支援に回している。今こそ中央で攻撃に出る好機。これまで待機していた仏軍中央のJourdanも攻撃命令に変更した。

 仏軍は全軍で攻撃である。まずは左翼。このターンもほとんどのユニットが混乱状態から回復、指揮官Leclaireの陣頭指揮のもと、前ターンに敗走させて混乱状態レベル2で踏みとどまっている敵指揮官Diepenbroikの歩兵を攻撃する。DRM+3にしかならないところ、ここで一気に押し切ろうと仏軍は銃剣突撃(charger à la baïonnette)を宣言する。Les soldats de la Républiqueシリーズでは騎兵だけでなく歩兵も突撃ができる。突撃を行うと戦闘解決後に混乱状態となるのだが、銃剣突撃をするユニットごとに仏軍は+2DRMを得られるのでかなり強力な武器となる。なお連合軍の銃剣突撃はユニットごとに+1DRMにしかならない。ヒストリカルノートでは、この戦いで仏軍の兵士たちはVive la Nation!やVive la République!って叫びながら突進したそうだ。

 仏軍の銃剣突撃を受けた連合軍ユニットはステップロスを被ったうえに敗走した。Leclaireの猛攻を何とか持ちこたえようとする連合軍右翼のDiepenbroikは、敗走した兵の回復にまたも成功する。だがこれまで混乱状態になりながらも左翼端を守ってきた騎兵は戦闘前退却の士気チェックに失敗して混乱状態レベル2になっている。次ターンには包囲され壊滅してしまうだろう。

 仏軍右翼(マップ下方)のColaudも敵にとりつく。連合軍の対応射撃で士気チェックを課されたが、高い士気に支えられて損害なし。連合軍の歩兵の士気は7だが、仏軍は8と高いのである。そして攻撃。DRM-1だが、左翼のLeclaireが敵に大きな損害を与えている今、こちらの方面でも敵を追い込むのだ。仏軍2ユニットが銃剣突撃を宣言しDRM+3に。連合軍はその勢いに押されて後退、戦闘後前進によって騎兵が包囲された。

 Colaud正面の連合軍右翼Hammersteinは必死に反撃。先ほどの銃剣突撃で混乱状態になっている仏歩兵に砲撃を加え、混乱状態レベル2に。そして包囲された騎兵は混乱状態になりながらも包囲網を抜け出した。Les soldats de la Républiqueシリーズでは敵ZoCから敵ZoCへの直接移動は基本的にできないのだが、包囲されている場合は混乱状態にはなるが移動ができるのだ。

 そしてこれまでずっと待機していた仏軍中央、Jourdanの部隊がついに動く。正面にある二つの堡塁のうち、下方に戦力を集中攻撃。堡塁を守る連合軍の砲兵と歩兵が対応射撃を浴びせるも、1ユニットが混乱状態になるにとどまった。そして3方向から堡塁に向かって仏兵が殺到する。DRMは+2にしかならないが、Jourdanは銃剣突撃を命じた。Vive la République!と仏兵たちが喊声を上げる。2Dを振って目は10、+4で14となり、攻撃側は士気チェック、防御側は砲兵壊滅プラス3DR。仏軍は指揮官Jourdanに鼓舞されて士気チェックに成功、一方の連合軍は、3Dなので正常状態から3段階状態が悪化し、敗走となった。堡塁で守っている場合、R(退却)の結果が出ても士気チェックに成功すればその場に踏みとどまれるため、この攻撃でも連合軍が守り切った可能性は高かったのだが、3Dを食らって敗走となってしまったのだ。ちなみに、既述のように混乱からの回復チェックの際に敵ZoC内にいると不利な修正が付くのだが、堡塁内にいるとそのような効果は無効となる。そのため、混乱状態になっても堡塁に踏みとどまっていれば回復できる可能性が結構ある。さらには連合軍は自部隊活性化の際に、堡塁にとりついている仏軍に至近距離から射撃を浴びせられるのだ。今回は仏軍がサイの目に恵まれて一撃で陥落させたが、堡塁をめぐっては連合軍が頑強に抵抗し仏軍が消耗していく、というケースも珍しくない。だってハノーファー軍の砲兵部隊にはあのシャルンホルストもいたからね。

(つづく)


2026年5月5日火曜日

(幕間)『ナポレオン戦争の背景 - 18世紀フランスにおける戦術理論』

 Hondschooteの戦いのあったフランス革命戦争期での戦い方についてもうちょっと知りたいな、と思っていたんですが、つーか「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」で紹介されていたCamille Baruch Léviの『La défense nationale dans le Nord en 1793 (Hondschoote)』とか読んでもね、いろんな部隊の動きはわかるんですけど戦術的なところは自分にはわからんわけですよ。でも以前ブログで紹介した『La révolution militaire napoléonienne』の第二巻の第一章がDe la bataille linéaire à la bataille séquentielleってタイトルでプレ・ナポレオン戦争期の戦術と言いますか戦い方を数十ページ使って解説していて、17世紀から18世紀にかけての変遷が分かりやすくて助かりました。Hondschooteやほかの革命戦争期の戦いについても触れられていて面白かったです。でもbataille linéaireとbataille séquentielleってなんて訳せばいいですかね。

 もうちょっと知りたいなと思って、DSSSMさんが以前紹介されていた『Napoleonic Wars: The Essential Bibliography Series』で探してみたら、『The Background of Napoleonic Warfare: The Theory of Military Tactics in Eighteenth-Century France』がおすすめされていたので読んでみました。この本は、formed the cornerstone of traditional examinations of pre-revolutionary theories and their influence on French tactical reforms during the Revolutionだそうです。ほうほう。なんといってもInternet Archiveで公開されているのがありがたいです。小さなウォーゲーム屋さんで扱っている「ナポレオン戦争の背景」がこの本の和訳になるのかな。


 副題どおり18世紀フランスにおける戦術理論の変遷を扱っているんですけどね、革命戦争期どころかナポレオン戦争の戦術についての知識もおぼつかない自分、18世紀なんて知るはずもなく…。cadenceって言葉が出てきても、 あー、ケイデンスね、『弱虫ペダル』の。でも、あれ? 18世紀に自転車ってあったの? って感じでした。しかもcompanyやplatoonをどう配置して機動させるか、みたいな隊形的な話が多く、こういうのが好きな人にはたまらんのでしょうけどね。まあでもunitaryって言葉が何回か使われていましたが、プレ・ナポレオニックでの軍隊の機動って大変だったんだなってことはなんだか伝わってきました。

 しかもこの本、副題どおり理論的な話がほとんどで、七年戦争とか18世紀の実際の戦いを参照しながら読めばよかったのかな。ゲームだったらBattles from the Age of Reasonシリーズをやりながらとか。やったことないけど。まあでも、ordre profondとordre minceとか、1778年のThe Camp of Vaussieuxでの機動の検証とか、『La révolution militaire napoléonienne』で簡単に触れられていたので助かりました。

 でもTactics at the End of the Eighteenth Century and during the Great Warsっていう最後の章は特に面白く読めました。自分みたいに初心者だけどナポレオニックに興味がある人は、この章だけでも読むといいんじゃないかなって思います。ゲームだったらバタイユシリーズやっている人にも参考になるのかな。やったことないけど。フエンテス・デ・オニョーロの戦いの後の、「If Boney had been here, we should have been beaten.」っていうウェリントンの言葉が引用されていましたけど、結構ナポレオンを擁護するというかナポレオンのこと好きなんでしょ?って印象でした。

 あと、この章ではオマーンへの批判を結構書いていて、たぶん有名なcolumnとlineについての話とか、What is the misconception here? It is that the Revolutionary armies of 1793 and 1794 habitually fought in column, and that the column remained the fighting formation right through the Empire.って感じで、わりと字数を割いています。オマーンのNapoleon was essentially a strategist rather than a tacticianって言葉についても、the facts support Colin's judgment of Napoleon as a tactician rather than Oman's.って反論していていて、読んでいて楽しめましたよ。


2026年5月2日土曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part4

 ●第2ターン (10:00) つづき

 仏軍左翼(マップ上方)のLeclaire隊が防御射撃を受けながらも敵戦列に押し寄せ、戦闘セグメント(segment de combat)となる。戦闘セグメントでは各ユニット、射撃(tir)か近接攻撃(assault)が行える。仏軍は左翼端で敵騎兵に対し騎兵2,歩兵1ユニットが近接攻撃をしかけた。圧倒的不利と見た連合軍騎兵は、戦闘前退却(retraite de cavalerie)を選択。だが士気チェックに失敗し、攻撃を避け後退したものの混乱状態となった。

 Leclaire隊主力は射撃で連合軍の歩兵1ユニットを混乱状態にし、そこに指揮官Leclaire自ら陣頭に立って歩兵2ユニットで攻撃。Les soldats de la Républiqueシリーズの近接攻撃では、戦力比、士気差、地形効果などからDRMを算出し、2D6で結果を出すのだが、DRM+3以上でないと不利な攻撃という印象だ。そしてこのLeclaireの攻撃は、戦力比でDRM+4,士気差で+1、さらに指揮官の戦闘ボーナス(Bonus tactique)で+1の計+7。守る連合軍は防御命令下なのでDRM-2、さらに攻撃ユニットは、3つある自分の前面へクスに攻撃していない敵ユニットがいると-2が課される。結果、DRMは+3となり、戦闘結果は両者1ユニットずつが混乱状態に。防御側の連合軍ユニットは先ほどの射撃で混乱状態だったため、混乱状態のレベル2となった。


 このシリーズではユニットの状態は正常状態(en bon ordre)、混乱状態レベル1(désorganisée de niveau 1)、混乱状態レベル2、敗走状態(en déroute)の4つの段階がある。混乱状態レベル1は士気が正常状態よりも低下するもののそれ以外には特に不利なことはない(レベル2になると攻防ともに不利なDRMがつく)。さらに活性化時に移動の前に回復を試みることができ、敵ZoCにいても不利なDRMはつくものの回復チェックは可能だ。戦闘結果によってはステップロスもありうるが、高DRMでの攻撃でないとそのような損害を与えることはできない。なので簡単には敵ユニットの壊滅には至らず、混乱状態になった自軍ユニットをうまく回復させつつ、敵には回復の余裕を与えないことが重要になってくる。


 仏軍中央は堡塁前面で待機、攻撃命令への変更に失敗して接敵できない右翼(マップ下方)Colaudはさらにマップ右方に展開し、敵の背後に回り込む動きを見せる。中央Jourdanとの間隙が空いてしまうが、兵力の限られている連合軍は打って出てはこないだろう。一方の連合軍は、中央のCochenhousen部隊から騎兵2ユニットを左右両翼の支援に派遣。仏軍の攻撃を受けた右翼(マップ上方)のDiepenbroikはジワリと下がりつつも戦線を維持、左翼(マップ下方)のHammersteinは敵に回り込まれないよう後退した。



●第3ターン (11:00)

 フランス軍右翼(マップ下方)Colaudは、このターンも総指揮官の指揮値を使い、攻撃への命令変更が成功した。これでやっと接敵ができる。全力で前進するものの、ボカージュに阻まれて思うように進めず、騎兵だけがなんとか敵にとりついた。対する連合軍左翼のHammersteinは砲撃を行うものの、効果なし。防御命令だと射撃・砲撃の際に+1DRMがつくが、砲兵は移動をすると牽引状態(artillerie attelée)となり、-2DRMとなる。牽引状態の解消には1ターン動かないでいることが必要で、前ターンに移動したHammersteinの砲兵はこの状態のままだったのである。

 フランス軍左翼のLeclaireは、前ターンの敵の射撃や戦闘によって3ユニットが混乱状態になっていたが、すべて正常状態に回復、全ユニットが突進する。連合軍の対応射撃で歩兵2ユニットが混乱状態になったが、そんなことでひるんでられるか。敵指揮官Diepenbroikとスタックしている歩兵に対し、3ユニットで攻撃する。押し寄せる敵の攻撃を支えることができずに連合軍は敗走してしまった。そしてマップ上端、連合軍の最右翼を守る騎兵を仏軍は攻撃したが、またも連合軍騎兵は戦闘前退却。だが士気チェックに失敗して混乱状態レベル2となった。

 連合軍右翼の指揮官Diepenbroikは声を張り上げ、我先に逃げる兵たちを押しとどめる。Les soldats de la Républiqueシリーズでは回復(ralliement)の際、指揮官とスタックしているとその士気ボーナスが有利なDRMになる。先ほどの攻撃で敗走状態になった歩兵は指揮官のおかげで回復に成功したのだ。もし失敗していたら自軍マップ端に向かって3ヘクスの敗走移動をしなければならず、そうなっていたらこの方面に大きな穴が開いていたところだったので、連合軍としては助かった。だが混乱状態レベル2の騎兵と歩兵でなんとか突破を防いでいる状態である。



(つづく)

2026年4月28日火曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part3

 ●第2ターン (10:00)

 仏軍は右翼(マップ下方)のColaudの命令を移動から攻撃に変更しようとするも、総指揮官のボーナスもむなしく失敗。6分の5の確率で成功のはずだったのだが。このターンも右翼は攻撃ができないことになる。


 仏軍の総指揮官となっているHouchardは指揮値は1、士気ボーナス(Bonus de moral)はゼロとかなり能力が低い。Houchardは七年戦争からの長い軍歴があり、Hondschooteの戦いの前には仏軍のモーゼル方面軍の、この戦いのときには北方軍の司令官となっていたが、ヒストリカルノートにはLes historiens militaires s'accordent à reconnaître qu'il n'avait cependant pas les capacités pour exercer de telles fonctions.(しかしながら、軍事史家たちは彼がこのような任務に必要な能力を有していなかったということで意見が一致している)なんて書かれている。実際、例えばジョミニはフランス革命戦争について書いた『Histoire critique et militaire des guerres de la Révolution』の中で、Faux movement de Houchard(Houchardの誤った動き)なんて見出しを立ててたりする。Hondschooteでは勝利したものの敵を十分追撃しなかったことなどから、戦いの2か月後には革命裁判所で裁かれ断頭台送りとなっている。戦いに勝ってダンケルク解囲にも成功したのに処刑されるなんて、恐怖政治こえーよ。


 このゲームのフランス軍には総指揮官のHouchardのほかに派遣議員Levasseurも登場し、総指揮官とスタックしていると指揮値に+1が得られるので、無能なHouchardを補填するような存在になっている。派遣議員というのはフランス革命戦争中、国民公会がかなりの権限を持たせて軍隊などに派遣していたそうで、いろいろ作戦に口を出したり戦いに実際に加わったりしていたらしい。Levasseurもこの戦いの最中、仏軍の攻撃に参加して乗馬を撃ち殺されている。このゲームでは士気ボーナスは2で、Houchardよりも頼りになる感じである。


 前ターンに攻撃命令下になった仏軍左翼(マップ上方)のLeclaireの部隊が一斉に敵にとりつく。攻撃命令だと、敵に向かって全力で移動し、できる限り接敵しないといけないのだ(ただし部隊ごとに予備として指定できるユニット数が与えられており、予備は接敵義務が課されない)。だが守る連合軍の射撃を受け、一部が混乱状態(désorganisée)となった。


 Les soldats de la Républiqueシリーズでは敵が隣接へクスに移動してきた場合、歩兵や砲兵は対応射撃(tir de reaction)を行える(ただしすでに敵ZOCにいるユニットは対応射撃が行えない)。しかも射撃を行うユニットの部隊が防御命令下の場合、+1の有利なDRMがつく。待ち構えている敵に対して突進していくのはリスクがあるわけである。ただし砲兵と歩兵は別々に射撃をすることになるため、兵力が限られているこのゲームでは射撃の効果も低くせいぜい混乱状態になるぐらい。敵に向かって突進したはいいが強力な射撃を浴びて撃退された、という事態にはならない。射撃の結果、士気チェックとなっても仏軍歩兵の士気は8と高く、指揮官とスタックしていたらその士気ボーナスも得られるので士気チェックに耐えられる可能性は高い。先述のように敵ZoCにいるユニットは対応射撃ができないので、指揮官が先頭に立ってまず突っ込んで敵の射撃に耐えると、それに続く友軍は対応射撃を浴びなくていい場合も生じるのだ。革命精神に燃える仏軍兵士はガンガン突っ込んでいくべし、である。

 

(つづく)


2026年4月22日水曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part2

  このゲーム、連合軍が勝利得点3を持っている状態でスタートする。仏軍が中央の堡塁やHondschooteの村を占領するごとに仏軍が勝利得点を獲得(連合軍の点が減少)する。また両軍とも敵に与えた損害1ステップごとに1点得られる(敵の得点が減る)。最終的にプラスになっている側が勝利だ。つまり、仏軍は積極的に攻撃して堡塁やHondschooteの奪取を目指すとともに、敵に自軍以上の損害を与えないといけない。


●第1ターン (9:00)

 フランス軍は左翼(マップ上方)Leclaireの部隊の命令を、攻撃(offensifs)に変更する。Les soldats de la République(共和国の兵士たち)シリーズでは、各部隊は与えられた命令(ordre)によってできることが変わってくる。命令には攻撃(Ordre offensive)、移動(Ordre de manœuvre)、防御(Ordre défensive)の三つがあり、各ターンの最初のほうで命令の変更を試みることができる。またこの3つの命令の他に、損害が蓄積したり敗走中のユニットが多いと部隊は士気喪失状態(État démoralisation)になる可能性があり、行動がかなり制限される。

 フランス軍は初期配置の状態では3部隊とも命令は移動、連合軍はすべて防御だ。移動命令だと移動力が+1となるが接敵ができないため、命令を攻撃に変更する必要がある。この命令変更は2D6で8以上を出せば成功なのだが、攻撃命令への変更は-1の不利な修正が付く。だが各部隊の指揮官の指揮値(valeur de commandement)の分、有利な修正が付き、さらに各ターンに一回だけ、総指揮官(général en chef)の指揮値も使うことができる。積極的に攻撃したいフランス軍は、最大兵力を擁する左翼(マップ上方)のLeclaireの命令を、総指揮官の指揮値も使って攻撃に変更した。だが右翼のColaudは攻撃への変更に失敗。このターンは接敵できないことになる。

 残る中央のJourdanは様子見だ。左右両翼で回り込みつつ攻撃して敵兵力を誘引、中央の防御が手薄になってから攻撃を開始する予定である。というか、Jourdanの部隊は兵力が豊富にあるわけではなく、敵がしっかり守っているところに正面攻撃をかけても損害を被るだけの可能性が高いのだ。


 Les soldats de la Républiqueシリーズでは各ターンの最初に両プレイヤーが2D6を振り、総指揮官の指揮値を加えた値を比べる。値が大きいほうがイニシアティブを得て、先に部隊を活性化するかどうか選べる。部隊の活性化は両軍が交替で行っていくのだが、パスはできない。このターン、イニシアティブを得ていた連合軍が先に動き、最右翼(マップ上方)に騎兵を展開、仏軍に回り込まれないようにする。その正面の仏軍左翼Leclaireが全力で前進するも、ボカージュに阻まれて騎兵以外は接敵できない。連合軍は左翼(マップ下方)が後退、Hondschooteの村と堡塁を中心に守りを固めていった。

 命令の変更に失敗した仏右翼(マップ下方)のColaudは接敵できないため、敵の背後に回り込むように移動する。そして仏軍中央のJourdanの部隊はじわりと前進。正面では堡塁(Redoute)に連合軍が砲兵と歩兵がスタックして守っており、うかつに攻撃できない。また、仏総指揮官Houchardは右翼Colaudに近づいておく。次ターンにはColaudの命令を攻撃に変更して攻撃をしかけたいのだが、部隊の指揮官が総指揮官から6へクス以内にいないと、命令変更の際に不利なサイの目修正を受けるのだ。離れたところにいる指揮官は総指揮官の指令がなかなか届かないってことですかね。


(つづく)


2026年4月17日金曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part1

 

 もう今年の1月のことになるけど、VaeVictisから「Tigres & Lions」が出て、そういや同じLes soldats de la République(共和国の兵士たち)シリーズのVaeVictis146号「Hondschoote 1793」が手つかずだったな、と思い出して、ソロプレイしてみた。

 Les soldats de la Républiqueシリーズはその名のとおり、フランス革命戦争でナポレオンが活躍するちょい前、第一次対仏大同盟のころの戦いを扱っている。部隊ごとに活性化し移動・戦闘を行っていくという比較的シンプルなルールである。

 って言っても、フランス革命戦争って全然知らなくて、まあフランス革命戦争どころかナポレオン戦争の知識すらおぼつかないから当然なんだけど。そもそもHondshooteの戦いって読み方すらわからない。でもこんなときにも安心なのが、「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」。いやー、いつもありがたく参照させていただいています。Hondschooteについても詳細な記述があって助かりました。ほんと、日本語での資料って全然見つからないんだよね…。

 VaeVictisのヒストリカルノートも読んだんだけど、1793年のフランスは第一次対仏大同盟でヨーロッパのほとんどを敵に回しているうえ、ヴァンデ―の反乱が起こって踏んだり蹴ったりの状態。8月にはイギリスとハノーファーの連合軍を率いた英ヨーク公によってダンケルクが攻囲される。その救援に向かったフランス軍が、ダンケルク南東約20キロのところにある村Hondschooteで連合軍を攻撃した…というのがまあだいたいの状況らしい。両軍とも兵を分散していて、特に仏軍なんかはいろんなところに兵を派遣しなかったらHondshooteでもっと数的優勢となったのに、と指摘されている。Hondschoote周辺の戦いは9月6日から8日にかけて行われたが、このゲームは最後の8日、Hondschooteそのものをめぐっての戦闘を扱っている。時期的には、ナポレオンがトゥーロン攻囲戦で名をあげるちょっと前ですな。

 ちなみにこのHondschooteのハノーファー軍には若き日のシャルンホルストがいた。この戦いで連合軍が敗れ退却しなければならなくなった時に奮戦したそうで、ハノーファー軍の将軍はder Hauptmann Scharnhorst sei, ohne commandirt zu sei, aus eigenem Antriebe bei Hondschotten zurückgeblieben und dadurch dem ganzen Rückzuge nützlich geworden.(シャルンホルスト大尉は命令を受けることなく自らの判断でHondschooteにとどまり、全軍の退却を援護した)って報告しているそうだ。 

 初期配置は写真のとおり。両軍とも3つの部隊(formation)からなり、兵力的にはやや仏軍が優勢だ。マップ中央にHondschooteの村と2へクスの堡塁(redoute)があり、連合軍の防御拠点、それに仏軍にとっての勝利得点源となっている。またマップには森か林のように見える地形が中央左上から右下にかけて広がっているが、これはボカージュである。ボカージュって言ったらウォーゲーマー的にはノルマンディでD-Dayだけれども、デザイナーによるとこの地方のボカージュはノルマンディほど密ではなかったそうで、ゲームでは砲撃の際に視界をさえぎらないし、射撃に対する防御効果も低い。assaultとゲームでは呼ばれる接近戦では防御効果なしだ。これは、フランス軍は敵の防御射撃による損害のリスクを抑えつつ接近して攻撃できるから、というのがデザイナーの説明だ。ふーん。

 ちなみにles soldats de la Républiqueシリーズって言ったけど、このゲームが付いているVaeVictis146号にはこのシリーズの標準ルールではなく簡易ルールが載っている。でもVaeVictisのサイトのほうに標準ルールが公表されているので今回は標準ルールでやってみた。簡易ルールはシンプルすぎるし、標準ルールは「Tigers & Lions」とかシリーズの他のゲームともつながるからね。


(つづく)


共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part2

 ●第2ターン   反乱軍には砲兵支援マーカーと航空支援マーカーがそれぞれ1つ増援として登場。初期配置の砲兵マーカー1と併せて3個に増えたが、やっと共和国軍の半分である。   前ターンに紫へクスQuijorna(マップ左方中央)を占領した共和国軍は、主攻勢軸を南東方向(マップ右下...