2022年6月15日水曜日

完勝の再現となるか、黒太子  Nájera 1367 - Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ④

 テージョ隊(赤)の自殺的とも言っていい攻撃で損害を受けた黒太子隊だが、冷静に対処する。16歳でクレシーの戦いを経験し、以来約20年の戦歴を重ねてきているのだ。これぐらいの攻撃でうろたえるはずがなかろうが。


 カスティーリャ軍はテージョ隊に続けとデニア伯の騎兵部隊(茶)を前進させつつ、これまで忘れられていた観のあるデュ・ゲクラン隊(青)を動かす。いや、放置していたわけじゃないんだよデュ・ゲクラン君。君の活性化値5っていうのはうちのやる気のない諸将の中ではピカイチなので、切り札としてとっておいただけだよ。デュ・ゲクラン隊は正面のパーシー隊(青)を攻撃。損害を与える。



 ところでこのトーマス・パーシーだが、どこかで見たことのある名前だと思ったらボスワースの戦いのノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーと同じパーシー家じゃないですか。薔薇戦争を終結させた1485年のボスワースの戦いで、ヘンリー・パーシーはリチャード3世の側にいながら動かなかったのだが、一族の日和見行為を天国のトーマスはどういう風に見ていたんだろう。ランカスターとヨークどちらが王座を確保するかわからない状況では、貴族が生き残るためには当然のこと、とでも思っただろうか。というかこの時代、多くの諸侯にとってはお家大事で、王に忠実に仕えるなんて二の次だったんでしょうな。何せトーマス・パーシー自身がナヘラの戦いの三十数年後に兄弟や甥と一緒にイングランド王ヘンリー4世に対して反乱を起こしているし。


 デュ・ゲクラン隊に続いてその右隣のデニア伯の騎兵部隊(茶)が黒太子隊に攻撃をしかける。今回もイングランド軍の長弓兵によって次々と損害を受けていく投槍騎兵。8ユニットのうち半数が壊滅したが、黒太子隊の長弓兵1ユニットが壊滅。残り1ユニットも混乱状態になった。さらには、黒太子とスタックしている重装歩兵DMは最強の防御力を誇る精鋭なのだが、投槍騎兵の波状攻撃で混乱状態に。

よくやった投槍騎兵ども、お前らの犠牲は無駄にはしない、と重装騎兵が突撃。目指すは黒太子の首だ!   だが最強DMが奮戦、踏みとどまった。



 カスティーリャ軍は活性継続をしていたためさらに活性継続は難しい、と思いきや、ここでデュ・ゲクランの活性化値の高さが生きる。ゲクラン隊(青)が再び活性化、正面のパーシー隊(水色)の長弓兵を1ユニット壊滅させる。もっとデュ・ゲクラン隊に兵力があればイングランド軍にひと泡ふかせることができるはずなんだが…。

 デュ・ゲクランは小説『双頭の鷲』の主人公。低い出自で、「鎧を着た豚」と呼ばれたこともあったが、その軍事的能力が評価されフランス王軍の司令官にまでのし上がっている。このナヘラの戦いではイングランド軍の捕虜になっており、のちに身代金と引き換えに解放されている。エンリケがデュ・ゲクランの助言を聞いてナヘラでの黒太子との決戦を避けていれば、捕虜になんかならなくて済んだだろうにね。まあデュ・ゲクランはエンリケを支援しているフランスからの援軍、というか傭兵隊の指揮官という立場だから、カスティーリャ王であるエンリケの考えのほうが優先されざるを得なかったんだろうけれど。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月13日月曜日

完勝の再現となるか、黒太子  Nájera 1367 - Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ③

  ゴメス隊(紫)の右(マップ下方向)にいたエンリケの騎兵部隊(緑)を後退させたカスティーリャ軍は、そこにできたスペースにサンチョ(Sancho Alfonso)の歩兵部隊(黒)を前進させる。サンチョ隊は数は多いので、ゴメス隊の歩兵のロスをカバーしイングランド軍と殴り合いに持ち込むことをもくろむ。

 また、ほとんど騎兵で構成されているデニア伯アルフォンソ(Alfonso of Aragón and Foix, Count of Denia)の部隊(茶)が右翼に展開。うまくテージョ隊(赤)やゲクラン隊(青)と連携して、敵左翼の黒太子隊を攻撃できれば。


 一方イングランド軍は右翼のジャン隊(白)の長弓兵で着実にゴメス隊(紫)に損害を与えていく。ジャン隊に隣接するチャンドス隊(青)がそれに連携して前進してくれればいいのだが、継続活性に失敗し続ける。

 チャンドスは鉄人の異名を持ち、クレシーやポワティエなど戦場の経験も豊富なのに、動いてくれないとジャン隊がそのうち孤立してしまう。お願い動いて鉄人チャンドス、というイングランド軍の思いが通じたのか、やっと継続活性に成功。チャンドス隊が前進、ジャン隊の左翼をカバーする。

 また、カスティーリャ軍の騎兵集団がマップ下方に回り込んでいるのを見て、イングランド軍最左翼に位置する黒太子は防御態勢に入った。



 前進してきたチャンドス隊にカスティーリャ軍のサンチョ隊(黒)が攻撃をしかける。サンチョ隊の槍兵はイングランド軍の重装備の歩兵DMよりやや劣るが、チャンドス隊左翼(マップ下方向)に攻撃を集中。少しでも敵戦列を乱して混戦状態に持ち込むのだ。そうすればこちらの数の優位が生かせる。

 だがイングランド軍は冷静に対応。長弓兵でカスティーリャ軍に損害を与えつつ、歩兵は戦列を維持し攻撃を自重する。このゲームでは戦闘後前進が強制されるため、攻撃に成功して追撃したはいいもののその後敵に囲まれてしまう、ということがよくあるのだ。


 歩兵部隊ではらちが明かないと見るや、カスティーリャ軍はマップ下方に展開した騎兵集団で攻勢に出る。このままではじり貧だ。きれいに並んだイングランド軍の重装歩兵DMの戦列に槍兵で攻撃をしかけても、防御力の高いDMによって跳ね返されてしまうだろう。そしてにらみ合っているだけでは、長弓兵によって歩兵部隊が削り取られていくのを見ていくだけになりかねない。

 マップ下方の黒太子の部隊(黄)は長弓兵でかっちり防御態勢を敷いていて、投槍騎兵が正面から攻撃せざるを得ない。隣接した時点で長弓兵の対応射撃を受け、70%の確率で損害を受ける。そのあとに投槍で攻撃しても、同時に長弓兵から応射(Return Fire)されてしまう。つまり長弓兵を投槍で攻撃すると2回射撃を受けることになるのだ。

 だがテージョ隊(赤)には投槍騎兵が8ユニットいる。黒太子隊左翼の長弓兵2ユニットに的を絞って、全滅もいとわず連続攻撃をしかければ長弓兵を排除できるはず。そのあとに重装騎兵MMで突撃をかければさすがのイングランド軍も大きな被害を被るに違いない。


 テージョ隊(赤)の投槍騎兵が次から次へと黒太子隊の長弓兵に襲い掛かる。こいつらはクレシーやポワティエを知らんのか、とイングランド軍は射撃を加える。だが、バタバタと倒れていく味方の兵を顧みることなく攻撃を続けるソビエト軍、じゃなかったカスティーリャ軍。投槍騎兵は8ユニットのうち半数が壊滅したが、長弓兵も1ユニットが敗走、1ユニットが壊滅した。

 長弓兵のスクリーンを排除したところにテージョ隊(赤)の重装騎兵が突撃。損害を被りつつも、黒太子隊のDMを混乱状態にした。



 この時点でカスティーリャ軍の累積敗走ポイントは33。敗走レベルの60まではまだまだ余裕がある。黒太子隊に対応する余裕を与えることなく攻撃を続けることができるか。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月11日土曜日

完勝の再現となるか、黒太子  Nájera 1367 - Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ②

  マップ右端上部からカスティーリャ軍の側面を突く形で現れたイングランド軍は、右翼(マップ上方)から順にジャン(Jean III de Grailly, Captal de Buch)、チャンドス(Sir John Chandos)、パーシー(Sir Thomas Percy)、黒太子と展開。

 活性化値は上から順にジャン3,チャンドス4,パーシー3,黒太子4だ。最右翼のジャン隊(白)の右側は渡河不可の川で守られているため、活性化値が低めのジャンでもなんとかなるだろう。

 最左翼はパーシー隊(水色)が登場するのだが、オープンスペースとなっているため機動力に勝るスペイン軍が優位になるかもしれず、活性化値3のパーシーでは今一つ心配だ。そのため、パーシー隊のさらに左翼に黒太子隊を展開させる。やや交通渋滞気味になりながらも、イングランド軍は攻撃を焦ることなく戦列を整えることを優先する。


 一方カスティーリャ軍は機動力を生かしてテージョ(Tello Alfonso of Castile)の部隊(赤)がマップ下方に回りこむことをもくろむ。活性化値の高いゲクラン隊(青)は黒太子隊が最左翼に出ようと団子状態になっているときに先制攻撃をかけるか迷ったが、デュ・ゲクラン指揮下のユニット数が少ないため、自重して後方に下げておく 。こっちは側面を突かれて不利な態勢なのだ。無理に攻勢に出るよりは、騎兵部隊をマップ下方に迂回させてプレッシャーをかけつつ歩兵部隊の正面転換を目指す。



 イングランド軍は右翼(マップ上方)のジャン隊(白)から前進。長弓兵による射撃でゴメス(Gomez Carillo)の部隊(紫)の左翼にいたクロスボウに損害を与える。そしてジャンの左横のチャンドス隊(青)も前進。さらに黒太子(黄)も前進。東方(マップ右下)を向いて布陣していたカスティーリャ軍が方向転換する前に距離を詰めていく。


 ここでカスティーリャ軍のゴメス隊(紫)が動いた。ほとんどが槍兵で構成されているゴメス隊は数の優位を生かし、犠牲をいとわずイングランド軍の長弓兵に攻撃を仕掛ける。接敵すると長弓兵の対応射撃によって70%の確率で混乱状態になるのだが、白兵戦になったら混乱状態であっても長弓兵相手に互角以上に戦える。だが、肝心の白兵戦でNo resultの連発。おいおい、やる気あんのかー。

 すぐにジャン隊(白)が対応。長弓兵を下げ重武装の歩兵DMでゴメス隊(紫)の槍兵を攻撃していく。ゴメス隊もやり返し、チャンドス隊(青)の長弓兵を壊滅させる。


 カスティーリャ軍は継続活性でエンリケ王の騎兵部隊(緑)でチャンドス隊(青)を攻撃するか迷う。チャンドス隊の左翼には長弓兵がいないため、対応射撃を気にすることなくエンリケ隊の投槍騎兵でチャンドス隊のDMに攻撃を仕掛けることができる。だがその後が問題だ。一度投槍を使ってしまった騎兵は脆弱になるうえ、敵に自由活性が移ったらチャンドス隊の左側にいるパーシー隊(水色)が確実にエンリケ隊をしとめに来るだろう。活性化値の高いゲクラン隊(青)がエンリケの左翼から支援にいけるが、その正面には黒太子がいる。ここは無理せず、最初の方針の通りテージョをマップ下方に展開させてイングランド軍の左翼を脅かすことを目指す。




 イングランド軍は右翼のジャン隊(白)とチャンドス隊(青)で着実にゴメス隊(紫)に損害を与えていく。そんなもの、カスティーリャ軍にとっては計算のうちさ。ゴメス隊が時間を稼いでいる間にテージョ隊(赤)が敵の左翼に回りこむとともに、エンリケ隊(緑)はいったんマップ左方に後退して自軍の他の部隊とともにイングランド軍を待ち受ける体制を整える。




 この戦いは両軍のユニット数が多いことを反映してか、敗走レベルが高い。カスティーリャ軍は60もある。カスティーリャ軍のほとんどのユニットは敗走ポイント(FP)が2なので、20数ユニットまでの損害に耐えらえるのだ。

 一方のイングランド軍の敗走レベルは45。これも比較的高いが、イングランド軍の主力を構成するDMのFPは3だ。カスティーリャ軍としては戦列を広げて機動力と数の優位を生かせるようにし、そのうえで殴り合いの消耗戦に持ち込めば勝機が見えてくるはず。


 Men of Ironにはルールブックとは別に、収録の6つの戦いのセットアップや特別ルールが書いてあるBattle Bookという冊子があるのだけれども、そこにはイングランド軍が簡単に勝っちゃうよね、みたいなことが書かれてある。でもネットでAARをちらほら読んでみるとイングランド軍の負けとなったものもある。しかも黒太子が戦死した、なんてものまであった。実際、練習としてソロプレイしてみたんだけど、イングランド軍が調子に乗ってどんどん攻撃していくと、突出したチャンドス隊が騎兵に包囲され壊滅し指揮官が捕虜になる、なんてことが起きてしまった。イングランド軍が簡単にワンサイドゲームで勝てるというわけではないはずだ。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月9日木曜日

完勝の再現となるか、黒太子  Nájera 1367 - Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ①

  英仏百年戦争という比較的マイナーな戦争の中で、まだ名前が知られているのがエドワード黒太子じゃないだろうか。あ、ジャンヌ・ダルクがいたな。でもウォーゲーマー的には、ポワティエの戦いで寡兵でもってフランス軍を完膚なきまでに叩きのめした黒太子のほうが琴線に触れるんじゃないのかな。

 今回プレイするのはエドワード黒太子が大勝した戦いの一つ、ナヘラである。ゲームはMen of Iron Tri-pack。時代は百年戦争の前半にあたり、場所はスペインの太平洋側、ピレネー山脈近くのところ。


 イギリスとフランスが戦争していたのになんでスペインで戦い? と思って調べてみたら、1360年に英仏間で講和が結ばれていたが、スペインでは中央部のカスティーリャ王国の王位をめぐって英仏の代理戦争が行われていたらしい。確かGJの英仏百年戦争でもこの地域は含まれていたはず。カスティーリャ王ペドロ1世の異母弟トラスタマラ伯エンリケがフランスの支援を受けて王位を狙い、ペドロは当時フランス南部のアキテーヌ地方を支配してたエドワード黒太子に助けを求めた、というお家騒動である。

 この戦いには小説「双頭の鷲」の主人公、デュ・ゲクランも参加している。1360年の和平のあと、仕事にあぶれた傭兵たちがフランス国内で盗賊化していたため、その厄介払いも兼ねてデュ・ゲクラン指揮下のもとカスティーリャに派遣されていたからだ。


 街道沿いに東から進軍してくるイングランド軍に対しもっと有利な態勢で戦えるようデュ・ゲクランは退却を進言したが、エンリケはナヘラの町から川を渡って平原で迎え撃つことを決める。だが黒太子は山道を使って迂回し、エンリケ軍の側面に現れたのだった。

 初期配置では、エンリケ軍は東(マップ右下)を向いて布陣している。見事に川を背にしていて、あなた、韓信ですか。この戦いの一週間ほど前にイングランド軍の一部隊を壊滅させているから、相手をなめていたのかな。



 イングランド軍はエンリケ軍の左翼、マップ右端上方から登場するのである。エンリケは完全に虚を突かれている。さすが黒太子、グッジョブ。


 イングランド軍は数は少ないものの、重武装の歩兵(Dismounted Men-at-Arms, DM)と、百年戦争を通してその威力を発揮した長弓兵で構成されている。

 前衛であるチャンドスの部隊(青)から登場し、主力である3部隊が続く。4人の指揮官のうち半分が活性化値4,残りが3。後衛としてマヨルカ王ジャウメ4世の部隊(緑)がありイングランド軍の中では貴重な騎兵主体の部隊となっているが、活性化値が2と低いため登場させない(させられない)かもしれない。



 一方のエンリケ軍、というかこれ以降はMen of Ironの表記に従ってカスティーリャ軍と書くことにする。この戦いのときにはペドロを追い出してエンリケ2世としてカスティーリャ王になってたようだしね。そのカスティーリャ軍だが、指揮官の活性化値はデュ・ゲクランが5と突出して高いものの、ほかは3が3人、2が2人だ。活性化値が低めの指揮官を使ってこれだけの大軍の正面をイングランド軍側に転換しないといけないため、下手をすると大混乱が起きてしまう。


 しかも20ユニット以上ある投槍騎兵は移動力は8もあるものの、接敵しないと槍を投げられず、一度投げてしまうと再装備するまでかなり脆弱になる。さらに再装備には敵から3へクス以上離れた状態で何もしないせずに一活性化を使うことが必要で、つまり一度攻撃すると1回か2回の活性化を経ないと再び攻撃できるようになれない。イベリア半島で主な敵だったイスラム教徒相手にはある程度有効だったこの兵種は、イングランド軍にはほとんど通用しなかったらしい。どうなることやら。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月7日火曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ③

  一人突出していたリチャードに対し、ヘンリー隊のMM3ユニットが突撃する。結果は防御側混乱で継続攻撃。よし、今度こそシェイクスピアの名場面を再現するのだ。だがリチャードが奮戦し、結果はNo Result。リチャード強え。 

 オックスフォード隊よ続け、とヘンリーが命ずるも、リチャード側がSeizureカウンターで継続奪取。リチャードを大急ぎで後退させ、支援のユニットを前進させる。危ういところで窮地を脱したリチャードである。


 だが今度はヘンリーがSeizureカウンターで継続奪取。ヘンリーが陣頭指揮をとった突撃は敵歩兵を壊滅させる。リチャードばかり活躍させてたまるか。これまでだてに苦労してきたわけじゃないんだ。薔薇戦争が始まって2年後に生まれたヘンリーは、生まれたときにはすでに父親はこの世にいなかった。さらには幼くして母親と別れることを余儀なくされる。ランカスター朝のヘンリー6世と王太子エドワードが殺された後は、ランカスター家の血を引く唯一の男子としてヨーク派に命を狙われ、14歳にしてフランスのブルターニュ公国に逃げる。そして14年間の亡命生活ののち、イングランドに捲土重来。重耳みたいなもんなんだぞ。あんなに歳とってないけど。


 ランカスター軍のオックスフォードが部隊を後退させ戦列を整理するも、再びリチャードが猛攻。ヘンリー・チューダーが王位継承権を持っているなんてちゃんちゃらおかしい。百年戦争を始めた王エドワード3世の、王子の一人が生んだ私生児のひ孫ってだけじゃないか。こんな僭称者、王の威厳にかけて叩き潰してくれる。

 気がついたらランカスター軍のFPは14になっていた。敗走レベルは18なのでかなりやばい。だが敗北チェックのサイの目は3でヘンリーは耐える。


 ヨーク軍は継続活性に失敗し、今度はヘンリーが反撃。MM2ユニットによるMMへの攻撃はなんとサイの目ゼロで効果なし。だがヘンリー自ら突撃し、リチャード隊に損害を与える。そして敗北チェックも再び耐えた。苦労人ヘンリーの本領発揮である。オックスフォード隊が混乱状態のユニットの回復に努め、再びヘンリー隊が活性化。リチャード隊のMMと歩兵を壊滅させる。

 だがヘンリーの奮闘もここまでだった。ヨーク側に自由活性が移り、リチャード隊の攻撃ののち、敗北チェックでサイの目は5。敗走レベルを超えてしまい、ランカスター軍の敗北となった。


 リチャードは王位にとどまってヨーク朝が続き、シェイクスピアの書く「リチャード3世」は真逆の内容となったことだろう。いや、「冬の王」に描かれているようにボズワースの戦いの後もイギリスは不穏な状態が続き、ヨーク朝が転覆させられたかも。それよりなにより、1ミリも動かかなかった後衛のノーサンバランド伯、それに裏切らなかったにせよリチャードを助けることもなかったスタンリー兄弟の戦後の処遇はどうなるんでしょうね。ロンドン塔送り? それとも、beheaded?



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月5日日曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  ヨーク軍は射撃戦でオックスフォード隊(黄)の前衛に損害を与えたのち、ノーフォーク隊(緑)の歩兵と騎兵が攻撃に移る。オックスフォードは即座に対応。ノーフォーク隊の戦列の両端のユニットを混乱状態にさせる。


 そこにリチャード本隊が騎兵の機動力を生かしてノーフォークの左翼に突撃する。陣頭に立つリチャード。シェイクスピアがなんぼのもんじゃい。馬を失うことを恐れて突撃ができるか。

 このゲームの指揮官にはカリスマ(Charisma)という数値があり、スタックしているユニットが攻撃する際にサイの目修正ができるのだが、リチャードのカリスマは+2だ。強烈な突撃で敵歩兵を敗走させる。


 だがランカスター側のオックスフォード隊がすかさず反撃。長弓兵の射撃でリチャード指揮下のMMが強制下馬(Unhorsed)。馬を失った騎兵など物の数ではないわ、と歩兵(Infantry, Inf)2ユニットが攻撃。シェイクスピア「リチャード3世」の再現だ、と思いきや、防御側混乱で終わった。ふう、やばいやばい。歴史は繰り返すって言うからね。


 リチャード直属部隊の攻撃を受けているオックスフォード左翼の支援のため、ヘンリーは自分の直属部隊を派遣。だがスタンリーを裏切らせようとマップ右側に寄って行っていたため、すぐには間に合わない。

 トマス・スタンリーはこの戦いの13年前にヘンリーの母親と再婚しており、ヘンリーは継子になる。そのためリチャードはスタンリーが裏切らないように息子を人質に取っていた。このゲームでは自由活性化を使ってスタンリーの裏切りチェックを試みられるのだが、リチャード軍の猛攻でランカスター側は自由活性化をそんなことに使う余裕がなくなってきた。ヘンリーの母親と再婚してるんでしょ、早くこっちについて参戦してよー。


 リチャードとスタックしているユニットが混乱状態のうちに討ち取ってしまいたいランカスター軍。ヘンリー隊が間に合わないため、頼むぞオックスフォード。オックスフォードの活性化値は4で、ヘンリーの士気範囲にいるとサイの目が1有利になる。だが継続活性に失敗してしまう。リチャードは窮地を脱し、再び怒涛の攻撃。オックスフォード隊の左翼に大きな損害を与える。


 続いてヨーク軍のノーフォーク隊が活性化。長弓兵の射撃でオックスフォード隊に損害を与えるが、混乱状態の歩兵に対する攻撃はなんとサイの目0が出て攻撃側の混乱に終わった。10面体ダイスを振るのでこういうこと時々あります。


 ヨーク軍の連続攻撃に対して態勢を立て直したいランカスター軍。Seizureカウンターを使っての継続奪取を試みようか迷ったのだが、継続奪取成功の可能性は60%。リチャードの継続活性は60%の確率で失敗するはずなのでSeizureカウンター使用を見送る。だがヨーク側はリチャード隊の継続活性に成功。これは痛い。

 先ほどの攻撃で損害を受けていたオックスフォード隊に、リチャード隊が再び猛攻をかける。リチャードが陣頭に立ち、オックスフォードの軍旗(Standard)に迫った。敗走状態のユニットは軍旗まで逃げていたのだが、リチャードは2回連続の継続攻撃で3ユニットを壊滅させる。おそるべし、リチャード三世。


 リチャード三世は悪人というイメージがイギリスでは定着しているそうなんだけど、これはシェイクスピアの書いた「リチャード三世」の影響が大きいらしい。シェイクスピアが活躍したのはイングランドの黄金時代を築いたチューダー朝エリザベス1世の治世で、エリザベス1世はヘンリー7世の孫である。長きにわたった内乱に終止符を打った名君でチューダー朝の開祖、ヘンリー7世をシェイクスピアが悪く書くはずがなく、ヘンリー7世が打ち破ったリチャード三世は極悪人に描かれているのだ。

 だがそういったリチャード像は正確ではないようで、例えば「物語 イギリスの歴史(上)」という本なんかでは、リチャードは

「兄王エドワード4世からも絶大な信頼を寄せられ、劇中に見られるような兄クラレンス侯爵、妻アン、二人の甥(エドワード5世と弟リチャード)を次々と殺害したという証拠はいっさいない。むしろ勤勉で公正な支配を進めたと言われている」

とまで書かれている。このゲームのデザイナーもリチャードを正当に評価しようとする立場だって言っているしね。名前が一緒だからってわけでもなさそうだし。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月3日金曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  1455年から30年間続いたイギリスの内戦が薔薇戦争。ランカスター家とヨーク家が王位をめぐって争ったらしいが、GJ65号のリプレイマンガが自分の基本知識である。この戦争を締めくくったのが今回プレイしたボスワースの戦いで、ヨーク朝のリチャード3世をヘンリー・チューダー、のちのヘンリー7世が打ち破った戦いである。SNSで知り合ったこーちゃさんに教えていただいた、ヘンリー7世を描いた「冬の王」という本が面白かったので(実際に読んだのは"Winter King"のほうですが)ヘンリーの見せ場であるこの戦いをやってみた。アニメ「薔薇王の葬列」放送に便乗して、というわけではない、けど、ほんと日本の漫画・アニメっていろんなジャンルの作品があるよね。なおゲームは今回もMen of Ironシリーズで、使用したのはTri-pack版である。



 初期配置は上の写真のとおり。ヨーク側、リチャード軍の最後尾にはノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーの部隊(青)がいる。パーシー家は代々北イングランドの要職を歴任していたが、リチャード三世が甥にイングランド北部を任せるようになって、ノーサンバランド伯パーシーはリチャードの元での出世に見切りをつけたそうだ。そのためこの戦いの最中はリチャードの命令に反して動かなかったらしく、活性化値はなんと1である。しかも通常は活性化チェックが不要の自由活性化でも、ノーサンバーランドはチェックが必要となる。

 ヨーク軍の前衛、ノーフォーク公ジョン・ハワードの部隊(緑)は長弓兵中心で打撃力にはやや欠ける。主力はリチャードの直接指揮下の部隊(黄)となるだろう。

 一方のランカスター側は、オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの部隊(黄)の後ろにヘンリー直属部隊(黒)。ユニット数は5と少ないが、そのほとんどが重装騎兵であるMM(Mounted Men-at-Arms)である。

 マップ右下にはスタンリー兄弟の2部隊がいる。こいつらは一応リチャードの配下で、ヘンリーの右翼を攻撃してくれたらいいのだが、実際の戦闘ではずっと日和見で最終的にリチャードを裏切った。大まかに言って関ヶ原の小早川秀秋という感じか。このゲームでもランカスター側がスタンリーを裏切らせるルールがある。


 ゲームはヨーク軍の活性化から始まる。ノーフォーク隊(緑)は長弓兵が6ユニット、かたやオックスフォードの長弓兵は3ユニットに射程と威力に劣る弓兵が2と、ノーフォークのほうに分があるため、まずは射撃戦を仕掛ける。その間、リチャード隊は地形的に障害が少ないマップ左方に展開を目指す。

 これに対してヘンリーはスタンリーに近寄り、裏切りを促す。ヘンリーが近くにいればスタンリーの裏切りチェックでサイの目が有利になるのだ。またマップ右側にシフトすることで、騎兵にとって不利な地形である沼地にリチャード軍を誘導し、身動きが取れなくなったリチャードを討ち取れれば理想的である。シェイクスピアの史劇「リチャード三世」では、戦いの最後にリチャードが突撃。馬を失い、「A horse! A horse! My kingdom for a horse!(馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!)」と叫んで討ち取られる、というクライマックスがある。あのシーンを再現してやるのだ。




つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

『ナポレオンの騎兵とその指揮官たち』

  いつものことなんですが本って自分でなかなか選べずにほかの人が勧めているのを読むのが多いんですけどね、先日こういうポストを目にしまして。 『Napoleon's Cavalry and its Leaders』、読了しました。 1978年初版と古い本ですけど、フラン...